経済の基礎

全体の満足を最大にするとき、誰の満足を重く数える?

全員の効用を足すには、各人をどの重みで数えるかを決める必要があります。正の重みで最善の実現可能配分を選べば効率的でも、重みや効用尺度を変えると取り分が変わりえます。

基本の用語

効率性は、誰も悪くせず改善できるかの判定です。効用は本人の好みを表す数で、別の人と共通の幸福単位とは限りません。複数人の効用を一つの目的にまとめるとき、この二点が関わります。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

足し合わせる前に重みを決める

社会計画者の模型では、Aの効用にλ_A、Bの効用にλ_Bという正の重みを付け、その和を最大化します。資源が全体で何量あるかという制約も一緒に置きます。個人の好みだけでなく、社会目的をどうまとめるかという追加の設定です。

重みは実在の計画者が必ず使う係数でも、観測済みの人の価値でもありません。異なる重みでどの配分が選ばれるかを比べるための模型の条件です。「全体の満足を最大にする」と聞いたら、誰の効用をどの数で足すかを確かめます。

全ての重みが正なら、誰も悪くせず誰かを良くする変更があれば、目的の和も増えます。したがって真の最大点にはそのような改善が残りません。これが効率性へつながる理由であり、均等な分配へつながる理由ではありません。

重みで配分が変わる

増加する凹効用の内点では、資源一単位をAからBへ移す得と損を、重み付きで比べます。Bの重み付き限界効用の方が高ければ、少量の移転で目的を増やせます。最善の内点ではそれがつり合います。

本人の限界効用が同じになるとは限りません。Aを重く数えるなら、Aに多くの量を渡し、追加一単位の本人効用が小さくなっても、重みを掛けた増分ではつり合うことがあります。本人の評価と社会的な重みを別々の要素として読みます。

どの量で増分が小さくなるかは、置いた効用の形次第です。重い人ほど必ず全ての財を多く得るという一般的な実測法則を、この一財の内点例から作ることはできません。資源制約と好みの形をそろえて比較します。

尺度と分配判断を分ける

個人の確実な好みは、効用を厳密に増加する別の数へ置き換えても同じに表せます。しかし足し算した社会目的まで同じになるわけではありません。Aの効用だけを二倍にし重みを据え置くと、Aを以前の二倍重く数える形になります。

同じ分配目的を保つには、Aの効用を二倍にした分、その重みを半分にするなど、尺度と重みを対応させます。さらに任意の非線形変換では単に一定係数を調整するだけで同じ目的を保てるとは限りません。順位の保存と和の保存は違います。

効率的配分を選ぶための重みと、公平な配分をよいとする判断も同じではありません。効率性だけでは重みは一つに定まりません。政策の評価表でも、測定尺度と集計の重みが何を意味するかを分けて確認します。

架空の例同じ資源制約でも、重みで分配が違う
  • Aの重み0.5

    A50、B50。

  • Aの重み0.8

    A80、B20。

  • 尺度の変更

    Aの効用を二倍にするなら、同じ目的ではAの係数を半分にする。

目的λ log c_A+(1−λ)log c_B、総量100、両者の量が正の架空計算です。効率性を、特定の重みの公平さと同一視しません。

架空の例:一財100を分ける

総量100の一財について、目的をλ log c_A+(1−λ)log c_Bと置きます。正の量の内点で条件λ÷c_A=(1−λ)÷c_Bとc_A+c_B=100を合わせると、Aは100λ、Bは100(1−λ)です。

λ=0.5なら50/50、λ=0.8なら80/20です。どちらも効率的ですが、取り分は違います。Aの効用log c_Aを2log c_Aへ変えた場合、同じ目的を保つにはAの係数を半分へ直す必要があります。これは実際の幸福の計測値ではありません。

持ち帰る見方

  • 正の重みの最大化は効率性を説明しても、その重みを選ぶ理由までは決めない。
  • 個人効用の尺度と、社会目的の係数を対応させる。

次に広がる疑問

  • 目標配分を市場で支えられる?
  • 合計所得だけで全体需要を表せる?

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出典

  • Lecture 16: Fundamental Welfare Theorems — transcript, MIT 14.04 (2020)(MIT OpenCourseWare / Robert Townsend)https://ocw.mit.edu/courses/14-04-intermediate-microeconomic-theory-fall-2020/1gcajw7hbthjPcO8f8wCXWoKIBXEYkUEH_transcript.pdf

    確認日:2026-10-05

本文の出典・補足

足し合わせる前に重みを決める

計画者問題では、各人の効用へウェイトを付けた和を、資源制約の下で最大化する。

対象
社会計画者の正の厚生ウェイトと効率的配分、効用尺度と分配判断の関係を示す。
条件
実現可能配分の集合固定、各人効用増加凹、全ウェイト正。独自例λ log c_A+(1−λ)log c_B、総量100、0<λ<1。
例外・限界
効用は共通の幸福単位ではない。個人効用を付け直すなら同じ分配目標を保つためウェイトも調整。一般に順序比較だけから社会ウェイトは決まらない。
  • Lecture 16: Fundamental Welfare Theorems — transcript, MIT 14.04 (2020)(MIT OpenCourseWare / Robert Townsend)https://ocw.mit.edu/courses/14-04-intermediate-microeconomic-theory-fall-2020/1gcajw7hbthjPcO8f8wCXWoKIBXEYkUEH_transcript.pdf

重みで配分が変わる

凹効用の内点解では、資源一単位のウェイト付き限界効用を人どうしでそろえる。

対象
社会計画者の正の厚生ウェイトと効率的配分、効用尺度と分配判断の関係を示す。
条件
実現可能配分の集合固定、各人効用増加凹、全ウェイト正。独自例λ log c_A+(1−λ)log c_B、総量100、0<λ<1。
例外・限界
効用は共通の幸福単位ではない。個人効用を付け直すなら同じ分配目標を保つためウェイトも調整。一般に順序比較だけから社会ウェイトは決まらない。
  • Lecture 16: Fundamental Welfare Theorems — transcript, MIT 14.04 (2020)(MIT OpenCourseWare / Robert Townsend)https://ocw.mit.edu/courses/14-04-intermediate-microeconomic-theory-fall-2020/1gcajw7hbthjPcO8f8wCXWoKIBXEYkUEH_transcript.pdf

尺度と分配判断を分ける

正のウェイトの最大化は効率的配分を選ぶが、効用尺度を変え同じ数のウェイトを据え置くと同じ社会目的とは限らない。

対象
社会計画者の正の厚生ウェイトと効率的配分、効用尺度と分配判断の関係を示す。
条件
実現可能配分の集合固定、各人効用増加凹、全ウェイト正。独自例λ log c_A+(1−λ)log c_B、総量100、0<λ<1。
例外・限界
効用は共通の幸福単位ではない。個人効用を付け直すなら同じ分配目標を保つためウェイトも調整。一般に順序比較だけから社会ウェイトは決まらない。
  • Lecture 16: Fundamental Welfare Theorems — transcript, MIT 14.04 (2020)(MIT OpenCourseWare / Robert Townsend)https://ocw.mit.edu/courses/14-04-intermediate-microeconomic-theory-fall-2020/1gcajw7hbthjPcO8f8wCXWoKIBXEYkUEH_transcript.pdf