数字と報道
同じ方法で二度測った差は、どれくらいなら普通?
同じ対象を同じ方法で繰り返し測り、二回の差の分布を調べます。これが反復性の確認です。差が小さいことは同じ条件での安定性に関わり、真値への正確さや、別の方法との交換可能性まで保証するものではありません。
基本の用語
異なる二方法の一致とは区別し、ここでは同じ方法の一回目と二回目を比べます。対象自身が変わっていない条件で、測定の変動を考えます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 数値の測り間違いは、平均すれば全部消える?平均0の偶然誤差と、同じ方向に残るずれを区別する。
- 平均が同じでも、ばらつきが大きいと何が違う?標準偏差は個々の値、標準誤差は推定値のばらつき。
同じ方法で同じ対象を繰り返す
同じ対象を同じ方法で二度測り、二回目−一回目を作ります。一人だけを何度も測るのでなく、複数の対象から反復測定を集めると、差が対象の値の大小と関わるかも見られます。対象の定義と測定間隔、担当などの条件を残します。
ここで知りたいのは、一つの方法を繰り返したときに値がどれくらい動くかです。二つの方法を交換できるかという方法間の一致の問いとは違います。旧方法自身に大きな反復変動があれば、それとの比較で新方法が一致しない理由にも関わります。
同じ条件で測ったという範囲を外へ広げません。同じ担当が同じ環境で短時間に測った反復は、別の担当や別の季節での変動をすべて評価したものではありません。どこまで条件を固定したかが、安定性を読める範囲を決めます。
差の水準依存と平均を確認する
反復差を、二測定値の平均に対して図示します。値が高いほど差が広がるなら、すべての対象を一つの一定幅でまとめることを再検討します。平均との差や標準偏差だけを出す前に、差の分布や測定水準との関係を確かめます。
同じ方法の反復では、差の母平均が0という条件を考えます。平均差が明確に0と異なるなら、二回目に一回目の値を知った影響、測定することで対象が変わった可能性などを調べます。同方法だからすべての差が偶然誤差と決まるわけではありません。
状態が本当に変わる長い期間の前後を比べるときは、差に実際の変化が入り得ます。反復性を確認したいなら、測定変動を考えられる設計が必要です。平均差の大きさを小さく補正するだけでは、何が原因だったかという確認を終えられません。
反復差の幅と真値への近さを分ける
原論文の正規近似では、反復差の平均0を置き、差の標準偏差のおよそ2倍を反復係数として、反復差のおおよその幅を考えます。差の標準偏差は各測定値全体の標準偏差とは違います。対象間の違いが大きいだけで測定が不安定とはいえません。
反復結果を表にするときは、一回目と二回目の順序も残します。差の向きが混在すると平均差の意味が変わります。同じ方法という名前だけで条件を省かず、どちらからどちらを引き、何を固定して二回測ったかを説明します。
この幅は真値からの距離ではありません。毎回同じだけ高く測る方法は反復差が小さくても、系統的なずれを持ち得ます。反復性と正確さを分け、真値や基準値との比較が必要な問いでは、そのための別の資料を確認します。
報告では対象ごとの組、条件、差の平均、差のばらつきを対応させます。次に同方法の反復差の幅なのか、異方法間の一致限界なのかを見ます。どちらも上下の幅で示せますが、その幅が答える問いを取り違えないことが大切です。
- 同方法内の反復
同条件の二測定の差を調べる
- 異方法間の一致
方法を交換したときの差を調べる
- 真値への正確さ
基準との系統的なずれを別に調べる
模型と用途を区別する説明図です。実際の調査や測定の結果を示していません。
4組の反復差と真値からのずれ(架空)
4対象の反復差を−2、0、0、2点とします。原論文の反復差の母平均0を置く計算では、差の二乗和を組数で割り、平方根を取ります。この例は√(8÷4)=約1.41点で、その約2倍は2.83点です。正規近似の条件の下で反復差の幅を考えます。
4組だけで正規性や安定した性能を確認したわけではありません。また全測定が真値より5点高くても反復差は同じになり得ます。例は同方法内の差と、真値への距離を分ける計算です。
持ち帰る見方
- 同条件反復の差の分布を見て、安定性と真値への正確さを区別する。
- 小さい反復差は系統的なずれがないという証明ではない。
次に広がる疑問
- 二つの方法を交換するときは、反復差以外に何を見る?
順番に読んでいる方へ
出典
Statistical methods for assessing agreement between two methods of clinical measurement(J. Martin Bland / Douglas G. Altman(原著論文・著者York公開))https://www-users.york.ac.uk/~mb55/meas/ba.htm
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
同じ方法で同じ対象を繰り返す
反復性は同じ対象を同じ方法で繰り返し測った値の変動を調べる。
- 対象
- 同じ対象を同じ方法で繰り返し測った値の変動。
- 条件
- 同じ測定条件の反復を対象ごとに得る。
- 例外・限界
- 別担当・別環境まで同じ変動と保証するものではない。
Statistical methods for assessing agreement between two methods of clinical measurement(J. Martin Bland / Douglas G. Altman(原著論文・著者York公開))https://www-users.york.ac.uk/~mb55/meas/ba.htm
差の水準依存と平均を確認する
同方法の反復でも差と平均の図を調べる。平均差が0と異なるなら、初回の知識の影響や測定で対象が変わる問題を確認する。
- 対象
- 同方法の初回と反復測定の差を、測定値の水準と合わせて点検する方法。
- 条件
- 対象の真の状態が反復間で変わらない条件。
- 例外・限界
- 差をすべて測定誤差と決めつけない。
Statistical methods for assessing agreement between two methods of clinical measurement(J. Martin Bland / Douglas G. Altman(原著論文・著者York公開))https://www-users.york.ac.uk/~mb55/meas/ba.htm
反復差の幅と真値への近さを分ける
原論文の正規近似による反復係数は、同方法の反復差の標準偏差のおよそ2倍を使う。
- 対象
- 同方法の反復差を正規近似する場合の反復係数。係数は測定差と同じ単位。
- 条件
- 反復差の平均0、差の分布/水準依存を確認。
- 例外・限界
- 小さい反復差は系統的なずれがないという証明ではない。
Statistical methods for assessing agreement between two methods of clinical measurement(J. Martin Bland / Douglas G. Altman(原著論文・著者York公開))https://www-users.york.ac.uk/~mb55/meas/ba.htm