数字と報道

二つの測定値の相関が高ければ、どちらで測っても同じ?

相関が高くても、二つの方法の測定値を交換して使えるとは限りません。同じ対象で測った値の差を調べ、用途に合う許容差と比較します。平均差が小さいことと、一人ごとの差が小さいことも別です。

基本の用語

相関は二つの値が一緒に動く強さを表します。一致を調べる問いは、新方法の値を旧方法の代わりに用いたとき、差がどれくらい生じるかです。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

相関と一致は別の問い

二つの測定方法が所得額などの同じ対象を測るとき、相関は方法間の関連をまとめます。片方が常にもう片方の倍なら、値は一直線に並んで完全な相関になります。しかし二つの数値は同じではなく、そのまま交換して使えません。

相関は対象の値の広がりにも関わります。低い値から高い値まで幅広い対象を集めることと、二方法の差が用途上小さいことは別の確認です。相関の大きさを示しただけの報告では、何円や何点の差が残るかを探します。

方法を交換する目的なら、まず許容できる差を用途から定めます。少しの差でも判断を変える場面と、影響しない場面があります。データを見た後に差が収まるよう許容幅を広げると、判断の意味が変わるので、幅を決めた根拠を残します。

対応差を平均に対して描く

同じ対象について二方法の差を作り、差の平均を調べます。一方が一貫して高いというずれを把握できます。ただし平均差が0付近でも、対象ごとに大きな正負の差が打ち消されている場合があります。平均だけでは交換可能性を判断できません。

Bland–Altmanの方法では、差を縦軸、二測定値の平均を横軸にして図示します。値が高い対象ほど差が大きいなど、測定水準との関係を見ます。二方法のどちらか一方だけを横軸にすると、差に同じ値が含まれるという関係にも注意が要ります。

差の分布がほぼ正規で水準による系統変化がなければ、平均差±1.96×差の標準偏差を一致限界の推定に使えます。これは差の約95%を考える幅であり、平均差そのものの精度を示す信頼区間ではありません。

一致限界と許容差を比べる

推定した一致限界を、用途から定めた許容差と比べます。一致限界はデータから推定し、許容差は使い方から定めます。どちらも上下の数字で示せますが、何を根拠にした幅かが異なります。「95%」という表示だけで用途に十分とは判断しません。

報告で「差は小さい」と書かれていたら、平均差が小さいのか、個々の差の幅が小さいのかを尋ねます。前者なら一方向のずれ、後者なら交換時に起こるずれの範囲に関わります。どちらを改善した結果かで、使い方の判断が変わります。

一致限界自体も標本からの推定です。別の標本なら変わり、少数の対象では不確かさが残ります。また差が水準によって広がる場合、一つの一定幅だけでは低い側と高い側の両方を適切に説明できないことがあります。

二方法が一致しても真値が分かったとは限りません。両方法に同じ系統的なずれがある可能性は別の問題です。相関、平均差、一人ごとの差の幅、用途の許容差、真値への正確さを分けると、何を確認した比較かが明確になります。

相関・一致・用途の許容差
  • 関連

    二方法の値が一緒に動く強さ

  • 一致

    同じ対象での二方法の差の幅

  • 許容

    使い方から先に定めた許容差

模型と用途を区別する説明図です。実際の調査や測定の結果を示していません。

平均差0でも残る約20点の幅(架空)

二方法で同じ対象を測り、差の平均が0、差の標準偏差が10点と推定されたとします。正規性などの条件を置けば一致限界は約−19.6〜19.6点です。平均差0でも、一人ごとには大きな差が残る模型です。

用途上の許容差を事前に±5点と定めていたなら、平均差0だけで交換できると判断しません。この数値は説明用の模型で、実際の測定方法の性能を評価した結果ではありません。

持ち帰る見方

  • 関連の強さと測定の一致を分け、許容差と一致限界を照合する。
  • 平均差の信頼区間や、何の用途にも使える許容差ではない。

次に広がる疑問

  • 方法間の差に、同じ方法自身の反復変動はどう関わる?

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出典

  • Statistical methods for assessing agreement between two methods of clinical measurement(J. Martin Bland / Douglas G. Altman(原著論文・著者York公開))https://www-users.york.ac.uk/~mb55/meas/ba.htm

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

相関と一致は別の問い

相関係数は二変数の関連の強さを測り、同じ数値になるという測定方法間の一致を測らない。

対象
同じ対象を二つの方法で測った数値の比較。方法間の一致と相関を区別する。
条件
同じ対象を二方法で測定する。
例外・限界
一方が常に倍でも完全な相関はあり得る。
  • Statistical methods for assessing agreement between two methods of clinical measurement(J. Martin Bland / Douglas G. Altman(原著論文・著者York公開))https://www-users.york.ac.uk/~mb55/meas/ba.htm

対応差を平均に対して描く

二方法の対応差を二測定値の平均に対して図示し、差の平均と差の標準偏差から一致を検討する。

対象
二方法の測定差と測定値の平均を対応させる一致の点検。
条件
差と測定水準の関係も調べる。
例外・限界
差が水準によって変わると一つの一定幅は適切でない場合がある。
  • Statistical methods for assessing agreement between two methods of clinical measurement(J. Martin Bland / Douglas G. Altman(原著論文・著者York公開))https://www-users.york.ac.uk/~mb55/meas/ba.htm

一致限界と許容差を比べる

差が正規分布で水準による系統変化がなければ、母集団の差の約95%を平均差±1.96標準偏差で表す。推定した一致限界自体にも不確かさがある。

対象
二方法の測定差の分布と一致限界。差と標準偏差は同じ測定単位で扱う。
条件
差の正規性・水準依存を確認。実測の平均差/SDは推定値。
例外・限界
平均差の信頼区間や、何の用途にも使える許容差ではない。
  • Statistical methods for assessing agreement between two methods of clinical measurement(J. Martin Bland / Douglas G. Altman(原著論文・著者York公開))https://www-users.york.ac.uk/~mb55/meas/ba.htm