数字と報道
差が有意でなければ、二つの方法は同じといえる?
非有意だけでは同じといえません。実質的に同じと扱える差の幅を先に決め、その範囲より外の差を除けるかを調べるのが同等性検定です。ゼロとの差を調べる検定とは、答えようとする問いが違います。
基本の用語
p値が基準を上回ったことは、差ゼロが証明されたことではありません。推定の不確かさが大きく、重要な差をなお含んでいる場合もあります。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 「統計的に有意」なら、効果は大きく確実に役立つ?p値の条件、有意性と効果量・重要性の違い、非有意の読み方を理解する。
同じの意味を範囲で決める
二つの学習方法の点数差が、何点以内なら授業で同じと扱えるかを考えます。この下限と上限が同等性限界です。尺度と用途に応じ、意味のある最小の差を考えて調査前に定めます。
統計的に厳密な差ゼロを証明する設計ではありません。また結果の区間が入るように許容幅を後から広げれば、同じという結論の意味も変わります。幅の根拠と決めた時期を報告で確認します。
許容幅が点数なら、その点数差が利用者にどういう意味を持つかを考えます。測定単位が変われば数値も変わります。「±2以内」という数字だけでは判断を再現できず、何の尺度でなぜその幅かを残す必要があります。
両側の境界を一つずつ調べる
TOSTは二つの片側検定を使います。差が下の限界より大きいことと、上の限界より小さいことを調べ、両方に十分な証拠があるとき、許容範囲の外にあるという帰無仮説を棄却します。
例えば下限だけを除けても、大きな正の差が残れば同等とはいえません。差の推定方法が平均のt検定なら、その検定の独立性や分布・分散の条件も必要です。幅を決めただけで推論の条件がなくなるわけではありません。
二つの片側検定は片方ずつ別の境界を調べます。どちらか良い結果を選ぶ方式ではなく、両方が必要な判断です。下限と上限を同じものとして一つのp値の大小だけで説明すると、何を除いた証拠かが見えなくなります。
有意差と同等性は別の軸
ゼロとの差の検定と同等性検定は、異なる帰無仮説を調べています。そのため「有意差なし、同等とも判断できない」という結論があります。情報が足りず、大きな差も小さな差も残る状態です。
一方、推定が十分精密なら、小さい差がゼロとは有意に異なりながら、同等性の許容幅に収まる場合もあります。「有意」と「実質的に同じ」は反対語ではありません。どの境界を除けたかを分けて読みます。
逆に区間が広い研究では、ゼロも実質的な差も残ります。この状態を同等と表現すれば、知識の不足を同じという証拠へ変えてしまいます。差が検出できない理由と、許容範囲へ収まった理由を分けた結論にします。
区間を幅の内側と比べる
通常のTOSTで各片側検定をα=0.05とする場合、対応する90%の両側信頼区間が許容範囲の完全な内側に入ることが、同じ判定を表します。区間の一部が外へ出れば、その側を除けていません。
これは同じモデルと構成方法を使う区間についての関係です。常に95%区間を使う、と覚えたり、どんな区間でも置き換えたりしません。推定値、区間、事前の幅を一緒に描くと、何がまだ残るかが見えます。
区間を範囲と比較する表示では、中心点だけが内側にあっても足りません。上下端の両方を見ることが必要です。片端が境界と重なる場合も、完全に内側という条件を満たした場合とは区別して、採用した判定規則を示します。
- 非有意だけ
差ゼロを棄却しない。大きな差が残る場合もある。
- 同等性
事前の下限・上限の両方を除き、許容範囲の内側へ収まるかを調べる。
差ゼロの検定と同等性検定は異なる帰無仮説を調べる。
同じ幅でも精度で結論が変わる
架空の点数差で許容幅を−2点から2点と決めます。平均差0.5点でも90%区間が−3点から4点なら、重要な差を除けません。−0.5点から1.5点なら、区間は幅の内側です。
二つの例の差の中心が同じでも、同等性に答える情報量は異なります。これらは説明用の区間であり、実際の授業方法を評価した値ではありません。
考えるときの注意点
- ここでは両側の同等性を扱う。一方向の非劣性の判断へそのまま転用しない。
持ち帰る見方
- 許容幅は用途に応じて事前に決める。
- TOSTは両方の境界を除く。
- 非有意と同等性を分けて判断する。
次に広がる疑問
- 「統計的に有意」なら、効果は大きく確実に役立つ?
- 見つけたい差に応じて、調べる人数をどう決める?
- 研究の結果を見る前に、何を登録しておくの?
順番に読んでいる方へ
差の判断と、繰り返す観測を読む・3 / 6
出典
Improving Your Statistical Inferences — Equivalence Testing(Daniël Lakens(Eindhoven工科大学の研究者による原教材))https://lakens.github.io/statistical_inferences/09-equivalencetest.html
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
同じの意味を範囲で決める
同等性検定は厳密な差ゼロを証明せず、意味のある差の下限・上限を先に設定して、それより大きな差を除けるかを調べる。
- 対象
- 取得時オンライン第9章。頻度論のTOSTと事前の許容幅。
- 条件
- 尺度・用途に対応する同等性限界を事前指定。
- 例外・限界
- 結果が収まるように幅を後から広げない。
Improving Your Statistical Inferences — Equivalence Testing(Daniël Lakens(Eindhoven工科大学の研究者による原教材))https://lakens.github.io/statistical_inferences/09-equivalencetest.html
両側の境界を一つずつ調べる
TOSTでは下の境界より大きいことと上の境界より小さいことを、二つの片側検定で調べ、両方が有意なとき同等性の帰無仮説を棄却する。
- 対象
- 取得時オンライン第9章。頻度論のTOSTと事前の許容幅。
- 条件
- 平均差のt検定なら対応する独立性/分布/分散の条件を置く。
- 例外・限界
- 一つの片側検定だけの成功は両方向の同等性を示さない。
Improving Your Statistical Inferences — Equivalence Testing(Daniël Lakens(Eindhoven工科大学の研究者による原教材))https://lakens.github.io/statistical_inferences/09-equivalencetest.html
有意差と同等性は別の軸
差ゼロの検定で非有意でも同等性は未確定の場合がある。一方、十分精密ならゼロと異なる差が同時に実質的同等の範囲内と判断される場合もある。
- 対象
- 取得時オンライン第9章。頻度論のTOSTと事前の許容幅。
- 条件
- 二つの検定が異なる帰無仮説を持つ。
- 例外・限界
- 差が有意という言葉だけで実質的重要性は決まらない。
Improving Your Statistical Inferences — Equivalence Testing(Daniël Lakens(Eindhoven工科大学の研究者による原教材))https://lakens.github.io/statistical_inferences/09-equivalencetest.html
区間を幅の内側と比べる
通常のTOSTで各片側α=0.05なら、対応する90%両側信頼区間が同等性範囲の内部へ完全に入るかで同じ判定を表せる。
- 対象
- 取得時オンライン第9章。頻度論のTOSTと事前の許容幅。
- 条件
- 同じモデルと区間の構成、境界を厳密に内側へ除く。
- 例外・限界
- 95%区間や任意の区間へそのまま置き換えない。
Improving Your Statistical Inferences — Equivalence Testing(Daniël Lakens(Eindhoven工科大学の研究者による原教材))https://lakens.github.io/statistical_inferences/09-equivalencetest.html