数字と報道
研究の結果を見る前に、何を登録しておくの?
結果を見る前に、何を測り、誰を比べ、どう分析するかを登録すると、初めの計画と後から生まれた問いを読み分けられます。登録したという印だけでなく、登録の時点、計画の内容、最終報告からの変更を確認します。
基本の用語
多数の比較から目立つ結果を選ぶと、最初から一つを調べる場合とは推論の条件が変わります。事前登録は、その選択の経緯を見えるようにする方法です。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- たくさん調べて見つけた一つの差は、そのまま信じてよい?一つの検定の有意水準と、多数の比較・結果からの選択による誤検出を分ける。
- 「統計的に有意」なら、効果は大きく確実に役立つ?p値の条件、有意性と効果量・重要性の違い、非有意の読み方を理解する。
計画を先に残す
研究の結論には、データを集める前から調べる予定だったことと、結果を見て気付いたことがあります。事前登録は、研究計画を前もって登録先へ残し、この二つを区別できるようにします。計画があることと、その計画がいつ存在したかを確かめられることは違います。
計画を読む際は、主要な結果の指標、比べる対象と期間、分析の方法を確かめます。登録日も必要です。新たな調査の前だけでなく、まだ分析していない既存データを使う前に登録する場合もあります。その場合は、既にデータについて知っていた情報も区別します。
変更を見えるようにする
研究が進むと、当初の計画で想定しなかった問題が見つかることがあります。変更すること自体を禁止する仕組みではありません。何を変更し、なぜ変更し、その時点でどんな結果を知っていたかを示すことで、変更後の結果を適切に読めます。
最終報告に都合のよい結果だけが載っていないか、登録した主要な指標が別の指標へ置き換わっていないかを照合します。記録が改訂されているなら、最終版だけでなく、当初の計画と改訂の関係が手がかりになります。
例えば「6か月後」を「1か月後」へ変えたなら、測る結果は同じ就職でも、答える期間は変わります。変更理由が妥当かと、当初の問いに何が分かったかは別々に説明できます。旧計画の結果がなくなったときは、その結果を計算できなかった理由も確認します。
探索にも役割がある
探索は、未知の関係を発見し、次に調べる問いを作る仕事です。探索を予定して研究することもできます。問題は、探索から生まれた問いを、初めから狙った一つの仮説が独立に確かめられたかのように示すことです。
結果を見て思い付いた説明は、次のデータで確かめる候補として価値があります。予定した検証結果と探索結果を分けて報告すれば、読者は、どの結論を今回の研究で確かめ、どの結論にさらに確認が必要かを判断しやすくなります。
登録の印だけで判断しない
多くの比較を登録した後、目立つ少数だけを解釈しても、多重比較の問題がなくなるわけではありません。Center for Open Scienceも、事前の計画は必要であっても、それだけで統計的な推論の妥当性を保てるとは限らないと説明しています。
登録は、測定の正確さ、比較対象の妥当性、効果の大きさや実用性を保証する合格証ではありません。登録された計画と実際の研究を並べ、変更と欠けた結果を確認したうえで、効果の推定値、不確かさ、研究設計を読みます。
登録先へのURLが示されていても、登録内容を最終報告と比べなければ、その対応までは分かりません。予定した指標が報告のどの表にあり、追加分析がどこに区別されているかを追うと、登録を読解の資料として使えます。
架空の例:主要な指標を変えた研究
訓練の提供を比べる研究で、開始前に「6か月後の就職率」を主要指標として登録したとします。結果を見た後、差の大きかった「1か月後の応募件数」だけを主要な成功として示せば、初めの問いが変わっています。
応募件数の発見を捨てる必要はありません。登録した就職率の結果も報告し、応募件数を探索から見つかった結果として示すと、今回確かめたことと次に確かめたいことを分けられます。
持ち帰る見方
- 登録の時点と、結果を見る前に決めた内容を読む。
- 当初計画、変更、探索結果を最終報告と照合する。
- 登録の有無だけで、効果や研究の質を決めない。
次に広がる疑問
- 主要な結果の指標は、登録と最終報告で対応しているか。
- 変更はいつ行われ、そのとき何の結果を知っていたか。
順番に読んでいる方へ
出典
事前登録の説明とFAQ(Center for Open Science)https://www.cos.io/initiatives/prereg
確認日:2026-10-05
本文の出典・補足
計画を先に残す
事前登録は、研究の計画を前もって登録し、計画した分析と結果を見てから選んだ分析を区別する方法である。
- 対象
- データ収集前または未分析の既存データを扱う前。
- 条件
- 何を既に知っていたかを明示する。
- 例外・限界
- 既に結果を見た後の記録を事前計画と呼ばない。
事前登録の説明とFAQ(Center for Open Science)https://www.cos.io/initiatives/prereg
変更を見えるようにする
事前計画からの変更を報告することで、当初の計画に沿う結果と変更後の結果を読み分けられる。
- 対象
- 登録と最終報告の対応。
- 条件
- 変更の内容と理由を透明にする。
- 例外・限界
- 計画を変更すること自体が不正という意味ではない。
事前登録の説明とFAQ(Center for Open Science)https://www.cos.io/initiatives/prereg
探索にも役割がある
探索と仮説の検証にはそれぞれ役割がある。結果を見て生まれた仮説を、同じデータで独立に確かめたものとして示さない。
- 対象
- 研究計画と探索結果の区別。
- 条件
- 探索した範囲を報告する。
- 例外・限界
- 事前に探索を計画することもできる。
事前登録の説明とFAQ(Center for Open Science)https://www.cos.io/initiatives/prereg
登録の印だけで判断しない
多数の分析を計画して一部だけを解釈すれば、事前登録があっても誤解を招きうる。登録だけでは比較全体への配慮や研究の質を保証しない。
- 対象
- FAQの選択的報告/解釈。
- 条件
- 計画した主要結果と最終報告を照合する。
- 例外・限界
- 登録の有無から効果の実在や実用性は決まらない。
事前登録の説明とFAQ(Center for Open Science)https://www.cos.io/initiatives/prereg