数字と報道
人数の少ない表でも、賛成割合の差を検定できる?
少人数の2×2表でも、周辺人数を条件に表の確率を直接計算するFisher正確検定があります。「正確」はその条件付き計算の意味です。調査の偏りがない、因果関係が分かった、推定が必ず精密という保証ではありません。
基本の用語
2×2表は、二つの分類それぞれが二カテゴリの人数表です。ここでは同じ対象を重複なく数え、行合計と列合計を条件にする検定を考えます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 「統計的に有意」なら、効果は大きく確実に役立つ?p値の条件、有意性と効果量・重要性の違い、非有意の読み方を理解する。
- 検査が陽性でも、病気のある人の割合が違うのはなぜ?「病気なら陽性」と「陽性なら病気」は分母が違う。
周辺人数を固定した表を考える
二つの対象群と、賛成・反対の人数を表にします。Fisher検定では、行と列の合計を固定した条件の下で、行と列が独立という帰無仮説を調べます。その合計を保ったまま、各セルにどんな人数が入り得るかを考える方法です。
この固定は、実際の調査で行列の両方を必ず先に決めて募集したという意味だけではありません。検定の計算が周辺度数を条件にすることを指します。対象の選び方と、計算で条件にした値を区別して、報告に用いた方法を確認します。
入力するのは非負整数の度数です。割合だけの表や、重み付きの推定人数を、独立な実人数として無条件に入れません。同じ人の前後の回答などでは観測が対応しており、独立な二群の表と同じ設計かを先に確かめます。
小さい表の確率を直接計算する
2×2表の計算では、固定した周辺度数の下で超幾何分布を用います。大標本のカイ二乗近似による計算とは原理が違います。期待人数が少ない表を考える際にも、近似の条件だけでなく、検定がどの表の分布を扱うかを見ることが役立ちます。
2×2表の条件付き独立は、オッズ比が1という帰無仮説に対応します。オッズ比が1より大きい方向だけを調べる片側と、両方向を考える両側は異なります。良さそうな結果になる方向を観測後に選ぶことと、先に決めた問いを検定することは分けます。
正確な計算でも、標本数が少なければ関連の大きさの推定に不確かさが残ります。調査の偏り、質問の誤解、観測間の依存は、p値を正確に計算することで自動的に解決しません。方法名からデータの質まで保証されたと考えないようにします。
両側の極端さの規則を読む
採用したRの公式マニュアルでは、両側検定は観測した表以下の確率を持つ表を、より極端と扱い、それらの確率を足します。平均との差の左右を単に対称に倍にする説明とは違い、表が取り得る離散的な確率を使います。
表の人数が少ないという理由だけで、問う関連の方向を変える必要はありません。事前の問いが両側なら両側として、割合の差と不確かさも示します。方法を選んだ理由を近似の条件と結びつけ、良いp値が出たことを選択理由にしません。
したがって片側p値を常に2倍すれば、この両側p値になると覚えません。報告で両側とだけ書かれていても、何を極端と数える規則かを確認します。正確検定でも、検定の問いや採用した実装の定義を明示すると数字を追いやすくなります。
結論には人数表、比較する割合、p値の側、関連の大きさを残します。有意でないなら同じ割合の証明ではなく、有意でも介入の原因の証明ではありません。少人数で計算できるという利点と、読める結論の範囲を一緒に考えます。
8人の表で周辺人数を保つ(架空)
8人をA4人、B4人に分け、賛成はA3人、B1人、反対はA1人、B3人とします。行合計4・4、列合計4・4を保つと、Aの賛成人数は0、1、2、3、4人のいずれかです。
観測した表はAの賛成3人の表です。帰無仮説の下で各表の確率を計算し、採用した両側規則で合計します。この例は周辺固定の意味を示すもので、割合差や因果効果を判定した実調査ではありません。
持ち帰る見方
- 正確の意味を条件付き計算として読み、偏り・因果の保証と混同しない。
- 片側p値を常に単純に2倍すれば同じという規則ではない。
次に広がる疑問
- 期待人数が十分な表で使うカイ二乗検定とは、何が違う?
順番に読んでいる方へ
出典
R stats Documentation: Fisher's Exact Test for Count Data(R Core(stats公式実装者マニュアル))https://stat.ethz.ch/R-manual/R-devel/library/stats/html/fisher.test.html
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
周辺人数を固定した表を考える
Fisher正確検定は周辺度数を固定した分割表で、行と列の条件付き独立を帰無仮説とする。
- 対象
- 行合計と列合計を固定した、人数・件数の分割表の条件付き独立性。
- 条件
- 重複のない独立観測を非負整数の度数に集計。
- 例外・限界
- 正確という名称は調査の偏りがないという意味ではない。
R stats Documentation: Fisher's Exact Test for Count Data(R Core(stats公式実装者マニュアル))https://stat.ethz.ch/R-manual/R-devel/library/stats/html/fisher.test.html
小さい表の確率を直接計算する
2×2表では周辺度数を条件に、超幾何分布に基づいてp値を計算する。独立の帰無仮説はオッズ比1に対応する。
- 対象
- 周辺度数を固定した2×2の度数表のFisher正確検定。
- 条件
- 2×2表、指定した片側/両側と帰無オッズ比。
- 例外・限界
- カイ二乗の大標本近似と計算原理が異なる。
R stats Documentation: Fisher's Exact Test for Count Data(R Core(stats公式実装者マニュアル))https://stat.ethz.ch/R-manual/R-devel/library/stats/html/fisher.test.html
両側の極端さの規則を読む
RのFisher両側検定は、観測表以下の確率を持つ表をより極端として、それらの確率を足す。
- 対象
- Rのfisher.testにおける、2×2表の両側p値の定義。
- 条件
- R statsマニュアルで指定される両側規則。
- 例外・限界
- 片側p値を常に単純に2倍すれば同じという規則ではない。
R stats Documentation: Fisher's Exact Test for Count Data(R Core(stats公式実装者マニュアル))https://stat.ethz.ch/R-manual/R-devel/library/stats/html/fisher.test.html