税と再分配

会社の赤字は、翌年の利益からいつでも全額引ける?

いつでも全額を引けるわけではありません。法人税の欠損金を繰り越すには申告や記録の条件があり、使える期間と、その年度に引ける上限もあります。会計で赤字だったという記憶だけでなく、税務上の欠損金の発生年度、残高、会社の条件を確認します。

基本の用語

欠損金は法人税の計算上の額です。益金と損金の計算から生じるもので、会計の赤字や、個人の株式売却損の繰越しと同じ制度ではありません。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

会計の赤字と、繰り越せる欠損金は同じではない

会計の利益と法人税の所得は、計算のルールが違います。会計に赤字があっても、その額がそのまま翌年へ繰り越せる欠損金になるとは限りません。税務上の所得の計算と、その年度に生じた欠損金をまず確認します。

通常の欠損金の繰越しでは、欠損金が生じた年度に青色申告の確定申告書を提出し、その後の年度も連続して確定申告書を提出することなどが条件になります。後の申告が白色でも、欠損年が青色で、ほかの条件を満たせば対象になり得ます。単に毎年黒字か赤字かを並べるだけでは足りません。

帳簿書類の保存などの条件も関わります。青色申告をしていない年度の欠損金には、災害損失について別の特例があります。また、支配関係の変更などで利用が制限される場合もあります。赤字の会社を取得すれば、その赤字を自由に別の利益と相殺できるという説明へ広げません。欠損が生じた会社と年度の条件を追います。

いつ生じた欠損金かで、使える期間を読む

法人税法57条は、対象となる年度の開始日前10年以内に開始した事業年度の欠損金を、所定の条件で使う仕組みを定めています。2018年4月1日より前に開始した欠損年度には9年の扱いがあります。いつ生じたかが期限を読む出発点です。

赤字に気付いた日や会社を買った日から、新たに10年使えるという意味ではありません。申告の対象年度の開始日と、欠損金が生じた事業年度の開始日を対応させます。年度の途中の日付だけで年数を数えると、期限の基準を取り違えることがあります。

すでに所得から差し引いた額や、欠損金の繰戻しによる還付計算に使った額は除きます。同じ欠損金を繰り返し利用することはできません。繰越残高と呼ぶときも、最初の赤字額ではなく、すでに使った分を除いた額を、発生年度ごとに管理する必要があります。

残高があっても、その年の控除上限がある

一般には、欠損金を差し引く前の所得の50%が、その年度の損金算入の上限です。中小法人等には、その所得の額まで使える特例があります。欠損金の残高が十分にあっても、どちらの上限を使う会社かで、その年度の課税所得が変わります。

資本金が1億円以下だから必ず中小法人等の特例になる、と資本金だけで判定しません。大法人による完全支配などでは対象から除かれる場合があります。また、更生手続中や一定の新設法人の年度などにも例外があります。会社の規模の印象より、定義と対象年度を確認します。

複数年度の欠損金がある場合には、古い年度のものから使います。期限、残高、その年の上限を一緒に見ると、「過去に赤字があったから今期は税がない」という単純化を避けられます。まだ使っていない額があっても、期限を過ぎれば同じように控除できるとは限りません。発生年度ごとの残高を、その年度の申告と対応させます。

残高が所得より多くても、控除に上限がある

架空の会社に、要件と期限を満たす繰越欠損金800万円が残り、控除前の所得が600万円あるとします。一般の50%上限を使う会社なら、その年度に使える額は300万円で、控除後の所得は300万円です。

所得まで使える中小法人等の特例に該当する設定なら、使う額は600万円となります。この違いは欠損金が足りないからではなく、会社に適用される上限の違いです。会社の該当要件や実際の税額は別に確認します。

考えるときの注意点

  • 通常の青色申告による欠損金の繰越しを扱う。非青色申告年度の災害損失特例は、別の条件による。

持ち帰る見方

  • 会計の赤字と、税務上の欠損金を分ける。
  • 発生年度、使用済の額、期限を確認する。
  • 会社の条件に応じた、その年の控除上限も読む。

次に広がる疑問

  • 赤字があれば、どの所得の税金も減らせる?
  • 株で損をした年に税を払っていなくても、翌年に使える?

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出典

  • No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm

    確認日:2026-10-07

  • 法人税法 API2 CurrentEnforced 2026-10-01版(本則57条・58条)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/340AC0000000034

    確認日:2026-10-07

  • 法人税法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/340AC0000000034

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

会計の赤字と、繰り越せる欠損金は同じではない

通常の法人税の欠損金繰越は欠損年に青色確定申告し、その後連続して確定申告する等の条件がある。

対象
通常の青色欠損の繰越。NTA5762(2025-04-01法令等)と、API2 CurrentEnforced2026-10-01版本則57・58条を2026-10-07実読照合。
条件
通常欠損の青色条件を現施行57条と58条で併読。連続した確定申告と欠損年度の帳簿保存を要する。
例外・限界
後の申告が白色でも通常の欠損年が青色なら対象となり得る。非青色欠損の災害損失特例は58条に別規定。支配変更等で制限。
  • No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm

  • 法人税法 API2 CurrentEnforced 2026-10-01版(本則57条・58条)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/340AC0000000034

いつ生じた欠損金かで、使える期間を読む

各事業年度開始日前10年以内開始事業年度の欠損金が対象。2018-04-01前開始の欠損年は9年。使用済や繰戻し還付計算に使った額を除く。

対象
通常の青色欠損の繰越。NTA5762(2025-04-01法令等)と、API2 CurrentEnforced2026-10-01版本則57・58条を2026-10-07実読照合。
条件
法人税法57条・NTA5762。
例外・限界
発見日や会社を買った日から新たに10年ではない。
  • 法人税法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/340AC0000000034

  • No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm

  • 法人税法 API2 CurrentEnforced 2026-10-01版(本則57条・58条)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/340AC0000000034

残高があっても、その年の控除上限がある

原則50%の損金算入限度があり中小法人等には所得までの特例。古い欠損金から使い、資本金だけで中小特例を判定しない。

対象
通常の青色欠損の繰越。NTA5762(2025-04-01法令等)と、API2 CurrentEnforced2026-10-01版本則57・58条を2026-10-07実読照合。
条件
法人税法57条・NTA5762の上限/中小定義。
例外・限界
大法人完全支配子法人等は除外、更生・新設等一定事業年度には例外。
  • No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm

  • 法人税法 API2 CurrentEnforced 2026-10-01版(本則57条・58条)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/340AC0000000034