政治の仕組み

金額が小さい裁判は、必ず近くの簡易裁判所でできる?

通常の民事裁判では、裁判所の種類と地域の管轄を別に確かめます。簡易裁判所は原則140万円以下の請求を扱いますが、金額だけで近所の簡裁を選べるわけではありません。被告の住所等による管轄、請求内容に応じた別の管轄、合意や移送の条件も関わります。

基本の用語

少額訴訟の60万円以下という条件は、簡易裁判所が通常の訴訟を扱う範囲と別です。まず何を請求し、どの種類・場所の裁判所が扱うかを整理します。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

裁判所の種類を確認する

裁判所法33条は、訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求を、簡易裁判所の第一審の対象とします。ただし行政事件訴訟の請求は除きます。日常的な「少額」という印象ではなく、請求の内容と訴訟目的の価額を確認します。

地方裁判所はそれ以外の請求などの第一審を扱い、不動産に関する訴訟についても第一審の裁判権を持ちます。金額の分け方にはこのような規定もあるため、全ての民事事件を請求額だけで簡裁か地裁かの二択にしません。

少額訴訟は、60万円以下の金銭支払請求についての特別な手続です。簡裁一般の140万円の基準と、少額訴訟を選べる条件を混ぜません。請求が簡裁の対象になることと、少額訴訟方式を使えることは別々に確かめる必要があります。

同じ種類でも地域の管轄がある

次に、同じ種類の裁判所でもどの地域が管轄するかを確認します。民事訴訟法4条では原則として被告の普通裁判籍所在地の裁判所に属します。人なら住所、法人なら主たる事務所・営業所等によって普通裁判籍を定めます。

自分の家から近い裁判所が、必ずその事件を扱うとは限りません。一方、5条は財産権上の訴えについての義務履行地など、請求の種類に応じた管轄も定めます。全ての訴えを被告住所の裁判所にしか出せない、という説明でもありません。

契約内容や当事者の住所、義務を履行する場所を整理すると、管轄を確認する材料になります。ここでの地域の説明は日本国内の一般民事の仕組みです。海外の相手などが関わる国際裁判管轄を、同じ住所だけの説明で済ませません。

合意と移送の条件もある

当事者は、第一審について、一定の法律関係に基づく訴えの管轄を合意で定められます。民訴11条は書面によることを要し、内容を記録した電磁的記録を所定の書面とみなします。契約書に裁判所の指定があれば、その条件も確認します。

管轄に属しない事件は、裁判所が申立てや職権で管轄裁判所へ移送する規定があります。また地裁は、管轄地域内の簡裁事件でも相当と認める場合、自ら審理・裁判できることがあります。専属管轄の特則などは別に注意が必要です。

したがって、請求額、裁判所の種類、場所の管轄、合意の有無を別の欄に置くと整理しやすくなります。金額が小さいという一つの情報から、手続の種類や提出先の全てを決めないことが、裁判所の案内を読む際にも役立ちます。

他の事件で使われた裁判所を、そのまま今回の提出先としてコピーしないようにします。相手の住所や契約の条件が違えば、管轄を確認する資料も違います。必要な規定をそろえ、提出する前に具体的な請求に対応する裁判所を確認します。

請求の金額を少なく見積もることと、訴訟の目的の価額を法の規定に沿って確認することも別です。単純な金銭支払以外の請求では、日常の価格の感覚だけで裁判所を選ばず、請求内容を示して管轄の扱いを確かめる必要があります。

裁判所を選ぶ三つの問い
  • 事物管轄

    請求内容・価額から簡裁や地裁等を確認

  • 土地管轄

    被告住所、義務履行地等の根拠

  • 合意・特則

    管轄合意、専属管轄、移送の規定

請求の価額だけでなく、専属管轄や移送の規定も確認します。

80万円の支払を求める(架空の例)

80万円の金銭支払を求める一般の民事事件を考えます。金額は原則として簡裁が扱う範囲に入っても、少額訴訟の60万円以下という条件とは異なります。

次に、被告の住所や義務履行地、管轄合意の有無を確かめます。自宅近くに簡裁があるというだけで、その場所へ必ず提起できるとは決めない例です。

持ち帰る見方

  • 簡裁は原則訴訟目的価額140万円以下の請求の第一審を扱い、行政事件訴訟は除く。
  • 第一審について一定法律関係の訴えの管轄を書面等で合意できる。

次に広がる疑問

  • 少額訴訟なら、どんな争いでも一日で決着する?
  • 民事裁判で「言った・言わない」はどう確かめる?
  • 契約は紙に署名しないと成立しない?

順番に読んでいる方へ

学習地図で、ほかの分野とのつながりを見る

出典

  • 裁判所法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/322AC0000000059

    確認日:2026-10-07

  • 民事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/408AC0000000109

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

裁判所の種類を確認する

簡裁は原則訴訟目的価額140万円以下の請求の第一審を扱い、行政事件訴訟は除く。地裁はそれ以外に加え不動産に関する訴訟の第一審も扱う。

対象
日本法。2026-10-07取得版本則と指定規則のみ。
条件
裁判所法の事物管轄。
例外・限界
地裁の自庁処理等・専属管轄の特例あり、請求額だけで一律判断しない。
  • 裁判所法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/322AC0000000059

同じ種類でも地域の管轄がある

訴えは原則被告の普通裁判籍所在地の裁判所に属し、人は住所、法人は主事務所等で定まる。財産権訴えの義務履行地等にも法定管轄がある。

対象
日本法。2026-10-07取得版本則と指定規則のみ。
条件
日本国内の一般民事訴訟の土地管轄。
例外・限界
近所の裁判所ならどこでもよいとはしない。国際裁判管轄は別確認。
  • 民事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/408AC0000000109

合意と移送の条件もある

第一審について一定法律関係の訴えの管轄を書面等で合意できる。管轄違いは移送し、地裁が所管地域の簡裁事件を相当として自ら扱う場合もある。

対象
日本法。2026-10-07取得版本則と指定規則のみ。
条件
民訴11・16条。
例外・限界
専属管轄等の特則は別。少額訴訟の60万円要件と簡裁一般の140万円を混同しない。
  • 民事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/408AC0000000109