経済の基礎
機械を増やし続ければ、豊かさも同じ速さで増え続ける?
同じ働き手と同じ技術で機械だけを増やすと、産出は増えても、追加の機械一台の効果は小さくなる模型があります。資本の限界生産逓減です。機械の台数を増やすことと、使う技術や仕事の方法を改善することを分けると、長期の成長を考えやすくなります。
基本の用語
ここでの資本は生産に使う設備などです。一人あたりの資本を増やすことを資本深化と呼びます。お金の残高や、会社の株主資本と同じ指標ではありません。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 生産性が上がるとは、忙しく働くこと?産出と投入の両方を確認する。
一人あたりの機械と、追加の産出を分ける
機械を十台持つ工場と二十台持つ工場でも、働く人の数が違えば、機械だけの効果は比べられません。まず同じ労働投入と技術を置き、一人あたりの機械が増える場合を考えます。そのとき一人あたりの産出がどう変わるかを表すのが、生産関数の一つの読み方です。
追加の機械を一台使うことで、産出がどれだけ増えるかが資本の限界生産です。今あるすべての機械一台あたりの平均産出とは違います。働く人が一台の機械を使っているときにもう一台を増やす場合と、すでに多くの機械を管理しているときに増やす場合では、追加分の効果が同じとは限りません。
限界生産逓減と規模の経済も別です。ここで変えるのは機械だけで、労働者数は同じです。労働も機械も一緒に増やす場合には、別の比較になります。一つの投入を増やすと追加効果が小さくても、すべての投入を増やした場合の産出の変化が同じになるとは限りません。また、同じ台数でも機械の性能が違うなら、資本量をどう測るかが必要です。「機械を二倍にした」という言葉を、物理的な台数、性能を調整した量、取得代金のどれで表したかをそろえてから、産出との関係を読みます。
限界生産が下がっても、産出総量は増えうる
限界生産が逓減するとは、資本を増やすほど追加の増加分が小さくなることです。機械を増やして総産出が減る、という意味ではありません。総産出は増え続けていても、その増加が緩やかになる曲線を考えられます。追加の効果、総量、平均の比率を区別する必要があります。
この条件では、同じ種類の機械を増やすことだけで、産出をいつまでも同じ速さで伸ばせるとは限りません。投資する人も、追加設備の費用と追加の便益を比べます。効果が十分に小さくなれば、ほかの資金の使い方の方がよいと判断する場合があります。これは投資が多いほど無意味という話ではなく、現在の設備量によって追加投資の比較が変わるという模型です。
技術の改善は、機械を増やすことと別の経路
新しい技術や仕事の方法を使えば、同じ設備量でも産出を増やせる場合があります。これは同じ生産関数の上で機械を追加する動きとは別で、関数自体が上へ移る変化として考えます。技術の改善が機械の使い道を広げ、その後の投資を有利にすることも模型の対象になります。
現実の成長では、設備量、設備の質、働く人数や技能、仕事の組合せなどが一緒に変わりえます。産出が増えたという数字だけで、機械の追加が何割を説明するかは決まりません。固定した技術の曲線と、技術も変わった経路を分けて読みます。ここで説明する逓減は会計上の減価償却とは別で、資産の取得代金を費用へ配分する規則を示す概念でもありません。
架空の産出表で、追加分を読む
同じ一人・同じ技術で、機械1台なら産出10、2台なら18、3台なら24と仮定します。2台目の追加効果は8、3台目は6です。総産出は10、18、24と増えていますが、追加の効果は小さくなっています。
新しい技術で、機械3台の産出が30になったとします。これは機械をもう一台増やした結果ではなく、同じ3台を使う方法を変えた設定です。表の数字は実在の工場の推計値ではありません。設備量だけを変えた比較と、技術を変えた比較の違いを示します。
持ち帰る見方
- 資本の追加効果が小さくなることと、総産出が減ることを分ける。
- 同じ技術での資本深化と、技術を変える成長の経路を区別する。
次に広がる疑問
- 労働生産性の上昇は、本人の能力向上だけを表すだろう?
順番に読んでいる方へ
出典
The Economy 1.0 Unit 16 Technological progress, employment, and living standards in the long run(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/16.html
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
一人あたりの機械と、追加の産出を分ける
労働と技術を固定した生産関数で、資本/労働者を増やすと産出/労働者が増えるが追加増加分は逓減しうる。
- 対象
- §16.1 Technological progress and living standards、Figure 16.2
- 条件
- 労働者数・技術を固定した資本/労働者と産出/労働者の関係。
- 例外・限界
- 限界生産逓減は産出総量の減少ではない。設備の質、労働、技術も変える現実を一つの曲線へ当てはめない。
The Economy 1.0 Unit 16 Technological progress, employment, and living standards in the long run(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/16.html
限界生産が下がっても、産出総量は増えうる
資本の限界生産逓減は追加一単位の効果が小さくなることであり、産出総量の減少とは違う。
- 対象
- §16.1 Technological progress and living standards、Figure 16.2
- 条件
- 労働者数・技術を固定した資本/労働者と産出/労働者の関係。
- 例外・限界
- 限界生産逓減は産出総量の減少ではない。設備の質、労働、技術も変える現実を一つの曲線へ当てはめない。
The Economy 1.0 Unit 16 Technological progress, employment, and living standards in the long run(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/16.html
技術の改善は、機械を増やすことと別の経路
同じ種類の資本の追加だけでは成長を持続できない模型に対し、技術進歩は生産関数を上へ移す別の経路である。
- 対象
- §16.1 Technological progress and living standards、Figure 16.2
- 条件
- 労働者数・技術を固定した資本/労働者と産出/労働者の関係。
- 例外・限界
- 限界生産逓減は産出総量の減少ではない。設備の質、労働、技術も変える現実を一つの曲線へ当てはめない。
The Economy 1.0 Unit 16 Technological progress, employment, and living standards in the long run(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/16.html