お金と金融
金利が上がると、なぜ債券の値段は下がる?
受け取る利息や元本が固定されている債券では、市場金利が上がると、新しい金利で運用する選択肢に比べて魅力が下がります。同じ将来の支払を買ってもらうには、今日の価格を下げる必要があるためです。信用や支払条件をそろえた比較が前提です。
基本の用語
債券の利息は契約で決まる支払で、価格はその債券を今いくらで売買するかです。市場の金利が変わったときに、固定された契約上の利息と、途中売却の価格を混同しないことが出発点です。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 金利は、何の値段?借入期間・リスクと名目実質
支払額を固定して、新しい金利と比べる
以前に発行された債券の利息と元本が固定されているとします。同じ信用・期間の新しい債券から、より高い利回りを得られるようになった場合、旧債券を以前と同じ価格で買う魅力は相対的に下がります。投資家に旧債券を選んでもらうには、安い購入価格によってその差を埋める方向に価格が動きます。
逆に市場金利が下がれば、固定された将来の支払は相対的に魅力を増し、価格を押し上げる方向に働きます。ここで比べているのは、受取条件や発行者の信用をそろえた場合です。実際の価格には、発行者が返せる見込みや売りやすさの変化も重なるので、金利の変化だけから毎日の価格を正確に予測することはできません。
将来の100円と、今日の100円
一年後に受け取るお金を、今日の価格へ引き直すことを現在価値を求めるといいます。一年後に100円を確実に受け取れ、比較できる一年の金利がrなら、今日の価格を100÷(1+r)と置くと、金利を付けて一年後に100円になります。rには2%なら0.02を入れます。
この単純な式では、分母の金利が大きくなるほど今日の価格は小さくなります。債券の支払が途中の利息と満期の元本に分かれる場合も、それぞれを受け取る時期に対応する今日の価値として考えます。ただし、ここでは一年後の一度の支払だけを計算し、将来支払が確実で、税や手数料がないという条件を置きます。
「市場金利が上がったのに、持っている債券の利息が増えない」という場合でも、矛盾ではありません。既存の契約は固定されたままで、その支払を市場で買うための価格が変わるのが、ここでの仕組みです。利息を計算する基準の額と、今日売買する価格を区別すると、固定利息と値動きが同時にある理由を理解できます。
満期まで待つ場合も、別のリスクがある
途中で売る価格が下がることと、契約上の元本が同額だけ減らされることは違います。支払条件が変わらず発行者が履行するなら、満期には契約どおりの元本を受け取ることになります。しかし、途中にお金が必要になって売る場合は、その日の価格が自分の結果へ関わります。
また、待てばリスクが全部消えるわけでもありません。発行者が払えない可能性は残り、物価が上がれば受取金で買える量が減ります。より高い金利の運用機会を選べなかったことも、固定した契約を持つ意味の一つです。固定金利の債券で成り立つ価格関係を、利息が見直される債券や、信用が急変した債券へそのまま当てはめないようにします。
ニュースの「債券が下落」が、価格の下落を指すのか、受取の約束が変更されたことを指すのかも確認します。価格が下がっただけなら、低い価格で買う人は同じ将来支払を安く得られます。一方、以前に高い価格で買って今日売る人には損失が出る場合があります。同じ値動きでも、買う時点と売る時点によって関わり方が変わります。
- 一年後の支払
100万円で固定
- 比較金利2%
今日の価値は約98万392円
- 比較金利5%
今日の価値は約95万2,381円
一年後の一度だけの支払。支払確実、税・費用なしと仮定。現実の債券価格ではない。
一年後の100万円を今買う
架空の例
一年後に100万円だけを受け取り、途中の利払いはなく、必ず支払われるものと仮定します。税や費用も省きます。比較する金利が2%なら、現在価値は100万円÷1.02で約98万392円です。5%なら100万円÷1.05で約95万2,381円となります。
将来受け取る100万円を変更していなくても、比較する金利が上がると、今日の価格は約2万8,011円下がります。これは現在価値の仕組みを見る架空の計算です。現実の国債の価格や、どの債券を買うべきかを表す数字ではありません。
考えるときの注意点
- 固定支払で、信用等の他条件をそろえた価格比較。
- 実際の売買価格や将来の金利の予測はしない。
持ち帰る見方
- 固定した将来支払は、市場金利の上昇で現在価値が下がる。
- 契約上の利息と、市場で売る価格は別。
- 満期保有は信用リスクや物価のリスクをなくさない。
次に広がる疑問
- 債券が約束する支払を読む
- 日銀の金利操作と市場をつなぐ
順番に読んでいる方へ
出典
Bonds(米国証券取引委員会(SEC) / Investor.gov)https://www.investor.gov/introduction-investing/investing-basics/investment-products/bonds-or-fixed-income-products/bonds
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
支払額を固定して、新しい金利と比べる
固定支払の債券は他条件一定で市場金利が上がると既発債の相対的魅力が低下し、価格が下がる。
- 対象
- 支払額を固定して、新しい金利と比べる
- 条件
- 信用リスク・支払額等を固定
- 例外・限界
- 変動金利や信用条件の変化を同時に含めない
Bonds(米国証券取引委員会(SEC) / Investor.gov)https://www.investor.gov/introduction-investing/investing-basics/investment-products/bonds-or-fixed-income-products/bonds
将来の100円と、今日の100円
一年後に100を受け取る支払の現在価値を100/(1+r)とする単純比較では、rの上昇で現在価値が低下する。
- 対象
- 将来の100円と、今日の100円
- 条件
- 一年・単一支払・不履行なし・税と費用なし
- 例外・限界
- 単純な比較計算であり、実際の商品価格を提示しない
Bonds(米国証券取引委員会(SEC) / Investor.gov)https://www.investor.gov/introduction-investing/investing-basics/investment-products/bonds-or-fixed-income-products/bonds
満期まで待つ場合も、別のリスクがある
途中売却価格の変動と、契約上の満期支払は別で、債券の信用リスクや購買力低下は残る。
- 対象
- 満期まで待つ場合も、別のリスクがある
- 条件
- 上記出典の確認範囲内
- 例外・限界
- 現実の個別商品・将来収益は保証しない
Bonds(米国証券取引委員会(SEC) / Investor.gov)https://www.investor.gov/introduction-investing/investing-basics/investment-products/bonds-or-fixed-income-products/bonds