経済の基礎
確率が分かるくじと、確率が不明なくじは同じ?
結果が不確かなだけでなく、その結果の確率自体が分からない場合があります。既知の確率へ賭ける方を好む選び方は、単一の固定確率による期待効用では説明できない組合せになることがあります。曖昧さ回避はその説明の一つですが、全員の行動を決める法則ではありません。
基本の用語
リスクの計算には確率が要ります。ここでは、確率が分かる不確実性と、確率を一つに決められない状況を分けます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 平均でもらえる金額が同じなら、くじと確実なお金は同じ?期待金額は、一回の結果を保証しない。
結果の不確かさと、確率の不明さを分ける
壺に赤玉10個、青玉と緑玉を合わせて20個入っています。合計30個から無作為に一個引くなら、赤の確率は3分の1です。青と緑の個数の内訳が不明なので、青が出る確率は0から3分の2まで考えられます。
青と緑の合計が分かっても、どちらも10個ずつだとは限りません。構成を知らないことを、その構成が半々であるという知識へ置き換えることはできません。確率を固定する通常のくじ計算をするには、観測や信念の追加情報が必要です。
経済学では、確率を数量化できる不確実性をリスク、確率が一つに定まらない状況を曖昧さとして分けることがあります。区別の仕方や現象の解釈には議論がありますが、既知の確率と不明な確率を同じ入力として扱わないことは有用です。
一つの確率で説明すると、矛盾する選び方がある
赤なら賞金をもらう賭けと、青ならもらう賭けを比べます。赤を厳密に好む選択を単一の主観確率で説明すると、赤の確率が青より高いという評価になります。次に、赤以外なら賞金をもらう賭けと、青以外ならもらう賭けを比べます。
後の比較でも「赤以外」を厳密に好むなら、1−赤の確率が1−青の確率より高く、赤の確率が青より低いことになります。前の比較と逆です。一つの固定した確率で両方を説明することはできません。賞金と、それ以外が無賞金という条件は同じにしています。
これがEllsberg型の問いで注目する組合せです。一つの選択で赤を選ぶだけなら、青の確率が低いと考えた説明でも足ります。異なる賭けを合わせたときの整合性を見ることが要点であり、未知確率を避ける人がいるという感想だけの比較ではありません。
最も悪い候補を気にする模型もある
一つの説明は、可能な確率を複数持ち、それぞれの案を最も不利な候補で評価するmaxmin期待効用です。赤なら当選の最悪確率も3分の1ですが、青なら0かもしれません。赤以外の最悪確率は3分の2、青以外なら3分の1まで下がりえます。
この模型なら両方の比較で赤に関する既知の賭けを好むことを表せます。ただし、壺の中身が本人の選択で変わるわけではありません。候補の中の最悪値で評価するルールが、通常の単一確率の模型と違うのです。
曖昧さ回避は唯一の解釈ではなく、選択の背景をどう理解するかには他の説明もあります。現実の判断では、未知の範囲、追加情報を得る方法、どの確率を採用したかを確かめます。不明な確率へ勝手に半々を置くことと、未知のまま評価することを分けます。
未知の構成を追加調査できるなら、情報を得る前後の選択を別に比べられます。曖昧さがある時点の評価と、構成を知って一つの確率で選ぶ時点の評価を混ぜず、どの時点に何が分かるかを示すと、計算に勝手な確率を置かずに済みます。
- 赤10個
全30個のうち3分の1。
- 青と緑計20個
それぞれの個数は不明。青の確率は0〜3分の2。
合計30個を無作為抽出し、青と緑の内訳は知らない設定です。
30個の壺で二つの賭けを比べる架空の例
赤10、青と緑計20とします。単一確率で「赤当選」を「青当選」より好むならp赤>p青です。同じ人が「赤以外当選」を「青以外当選」より好むなら1−p赤>1−p青、つまりp赤<p青です。
両方を厳密に好む選択を、同じ一つの確率へ押し込めると矛盾します。壺の中身が不明でも青と緑を同数だと仮定すればよい、という解決にはなりません。
持ち帰る見方
- 構成を知らないことは、等確率を知っていることと違う。
- 複数の賭けの選択を、一つの主観確率で説明できるかを見る。
- 最悪候補での評価は一模型であり、唯一の解釈ではない。
次に広がる疑問
- 情報を得ることで、判断の得はどれだけ増える?
- 全ての金額で有利なくじとは?
順番に読んでいる方へ
出典
Critiques of Expected Utility — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/1ac0e4133adb6b8d4523c875ba24e94b_MIT14_121F15_8S.pdf
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
結果の不確かさと、確率の不明さを分ける
Ellsberg型の壺では一色の個数を知る一方、残る二色の構成を知らない状況を比較する。
- 対象
- Ellsberg型の壺の対比から、既知リスクと未知確率の曖昧さを分け、単一確率での説明の制約を示す。
- 条件
- 赤玉100、青と緑合計200で構成不明の壺模型を教材で実読。本文は等比の小型例へ換算する。選択ごとの厳密な好みを一つの固定主観確率で説明する比較。
- 例外・限界
- 構成不明は等確率の証拠ではない。曖昧さ回避が唯一の解釈ではなく、全員が既知確率を好むという実証結論を作らない。maxminも一模型。
Critiques of Expected Utility — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/1ac0e4133adb6b8d4523c875ba24e94b_MIT14_121F15_8S.pdf
一つの確率で説明すると、矛盾する選び方がある
既知の色に賭ける場合とその色でないことに賭ける場合の双方を厳密に好む選択は、一つの主観確率による期待効用と両立しない。
- 対象
- Ellsberg型の壺の対比から、既知リスクと未知確率の曖昧さを分け、単一確率での説明の制約を示す。
- 条件
- 赤玉100、青と緑合計200で構成不明の壺模型を教材で実読。本文は等比の小型例へ換算する。選択ごとの厳密な好みを一つの固定主観確率で説明する比較。
- 例外・限界
- 構成不明は等確率の証拠ではない。曖昧さ回避が唯一の解釈ではなく、全員が既知確率を好むという実証結論を作らない。maxminも一模型。
Critiques of Expected Utility — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/1ac0e4133adb6b8d4523c875ba24e94b_MIT14_121F15_8S.pdf
最も悪い候補を気にする模型もある
複数の確率候補のうち最悪の期待効用を評価するmaxmin模型は、この選択を表現できるが、別の説明もある。
- 対象
- Ellsberg型の壺の対比から、既知リスクと未知確率の曖昧さを分け、単一確率での説明の制約を示す。
- 条件
- 赤玉100、青と緑合計200で構成不明の壺模型を教材で実読。本文は等比の小型例へ換算する。選択ごとの厳密な好みを一つの固定主観確率で説明する比較。
- 例外・限界
- 構成不明は等確率の証拠ではない。曖昧さ回避が唯一の解釈ではなく、全員が既知確率を好むという実証結論を作らない。maxminも一模型。
Critiques of Expected Utility — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/1ac0e4133adb6b8d4523c875ba24e94b_MIT14_121F15_8S.pdf