経済の基礎
交互に提案する交渉では、待てる人の取り分が大きくなる?
交互に提案する交渉では、合意を待つ負担が、今受け入れる最低額を変えます。交渉の順番と各人の割引率を指定した模型で、次の提案を待つ価値から現在の分配を求めます。
基本の用語
交渉が決裂したときの利益と、合意を一回待つことの損失は別です。ここでは決裂への外部選択肢を加えず、一定の総額を二人で分け、拒否すると次の人が提案する状況に絞ります。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 順番に提案と返事をする交渉は、最後の選択からどう解く?順番のある交渉は、最後に返事をする人が何を選ぶかから逆に考えます。
- 交渉で強いのは、相手を説得できる人だけ?実行できる不合意時の選択肢を、合意の便益と比べる。
拒否した次に誰が提案するか
Aが総額の分け方を提案し、Bは受諾するか拒否します。受諾すれば分配が実現し、拒否すれば次回はBが提案します。この往復を期限なしで繰り返す、完全情報の模型を考えます。
同じ額でも一回遅れれば、Aには割引率δA、BにはδBを掛けた価値になると置きます。どちらも0より大きく1より小さい数です。率が1に近いほど、同じ一回の遅れを軽く評価します。
時間の長さそのものに共通の価値を付けるのでなく、各人が待つ損失を別々に置きます。実際の人の性格を測った値ではありません。継続できる交渉、同じ総額、線形の金銭評価など、計算の条件を指定します。
待って得る額と今の提示を比べる
自分が相手の提案を拒否した場合、次回には自分が提案する側になります。今受け入れる額と、次回の提案側として得られる額を一回割り引いた価値を比べます。将来の応答も合理的であるという見通しが、現在の提案へ入ります。
毎回同じ役割には同じ分配を提案する定常的な均衡では、提案者は相手が待って得る価値だけを渡します。相手はその額で受け入れ、より少なければ拒否するという応答を考えます。
現在の最低受諾額を、次回に自分が得る額から求め、次回の額も現在の継続価値から求めます。一方の要求額を外から好きに置く計算ではなく、二つの継続価値を一緒に解く点が交互提案の特徴です。
待てる度合いで取り分が変わる
Aが最初に提案し、総額を1とすると、この均衡でAの取り分は(1−δB)/(1−δAδB)です。Bの率も、A自身の率も関わります。先に提案したという事実だけで、いつも同じ分配になるわけではありません。
両者が同じ率なら、先の提案者が多めに受け取ります。Aの待つ損失が小さくなれば、他の条件を固定した式でAの取り分は増えます。拒否の後にも続けられることが、その交渉力を支えています。
現実に期限、資金切れ、私的情報、決裂時の別の相手があれば、継続価値と応答条件が変わります。この式を一般的な正当報酬とは読みません。以下の計算も、指定した提案順序と待つ価値の下での分配です。
- 両者の率0.8
A先行:約55.56 / B約44.44。
- A0.9、B0.8
A先行:約71.43 / B約28.57。
- 次回を待つ比較
各人が次の役割で得る額を一回割り引く。
総額100・無限の交互提案・完全情報・線形効用・決裂への外部選択肢なしの架空模型です。表示は小数を丸め、同額で受諾する応答を置きます。
架空の例:総額100を一回待つ価値
両者の率が0.8でAが先に提案すると、Aは100×0.2/0.36=約55.56、Bは約44.44です。次回にBが提案するならBが約55.56を取れるため、Bの現在の最低受諾額はその0.8倍、約44.44となります。
Bの率0.8を固定しAの率だけ0.9へ上げると、Aの最初の取り分は100×0.2/0.28=約71.43です。次回のB提案ではAに約64.29、Bに約35.71を渡し、Bの現在の継続価値は35.71×0.8=約28.57になります。
持ち帰る見方
- 提案順序と、両者の遅れへの評価を指定する。
- 受諾額を拒否後の継続価値と照合する。
次に広がる疑問
- 時間の手順を置かない分配原理は?
- 本人の行動タイプを相手が知らないときは?
順番に読んでいる方へ
出典
Single-Deviation Principle and Bargaining — MIT 14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/0c31bb15a0fb73c568f12d3d855b6c22_MIT14_126S16_bargaining.pdf
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
拒否した次に誰が提案するか
交互提案模型では、提案を拒否すると次期は相手が提案者になり、合意までの期間の利得を割り引く。
- 対象
- 無限交互提案と割引の標準模型で次期受諾額を現在提案へ戻し、即時合意と取り分を計算する。
- 条件
- 二人、分割可能な便益、完全情報、無限交互提案、0<δ_i<1、拒否すると一期間後に交替、外部退出なし、金銭に線形効用。
- 例外・限界
- 有限期限/私的情報/外部退出/異なる選好へ同じ取り分式を延長しない。待つほど必ず得る現実の助言ではない。
Single-Deviation Principle and Bargaining — MIT 14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/0c31bb15a0fb73c568f12d3d855b6c22_MIT14_126S16_bargaining.pdf
待って得る額と今の提示を比べる
定常均衡の受諾下限は、次期に自分が提案者として得る利得を一期間割り引いた値とつり合う。
- 対象
- 無限交互提案と割引の標準模型で次期受諾額を現在提案へ戻し、即時合意と取り分を計算する。
- 条件
- 二人、分割可能な便益、完全情報、無限交互提案、0<δ_i<1、拒否すると一期間後に交替、外部退出なし、金銭に線形効用。
- 例外・限界
- 有限期限/私的情報/外部退出/異なる選好へ同じ取り分式を延長しない。待つほど必ず得る現実の助言ではない。
Single-Deviation Principle and Bargaining — MIT 14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/0c31bb15a0fb73c568f12d3d855b6c22_MIT14_126S16_bargaining.pdf
待てる度合いで取り分が変わる
標準の無限交互提案模型では、定常戦略で構成した部分ゲーム完全均衡が成立する。
- 対象
- 無限交互提案と割引の標準模型で次期受諾額を現在提案へ戻し、即時合意と取り分を計算する。
- 条件
- 二人、分割可能な便益、完全情報、無限交互提案、0<δ_i<1、拒否すると一期間後に交替、外部退出なし、金銭に線形効用。
- 例外・限界
- 有限期限/私的情報/外部退出/異なる選好へ同じ取り分式を延長しない。待つほど必ず得る現実の助言ではない。
Single-Deviation Principle and Bargaining — MIT 14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/0c31bb15a0fb73c568f12d3d855b6c22_MIT14_126S16_bargaining.pdf