数字と報道
電話からネットへ調査を変えると、意見の数字も変わる?
調査の媒体を変えると、意見自体が変わらなくても、回答する人や答える場面が変わり、数字が動くことがあります。誰に届くかという経路と、同じ人でもどう答えるかという経路を分けます。前後の差を読むには、媒体と時点の変更を区別する材料が必要です。
基本の用語
インターネットで答えることと、参加したい人だけを選ぶことは同じではありません。対象の選び方、回答媒体、回答が返る仕組みはそれぞれ確認します。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 世論調査の数%の差は、どこまで信じられる?標本誤差と、非回答などの偏りを分ける。
- 調査の質問が意図どおり伝わるか、どう確かめる?言い換え・考えを話す面接・補足質問による質問票点検と、全工程の試験調査を区別する。
媒体と選び方を分ける
電話を使う調査とWebを使う調査では、対象への到達や回答しやすさが変わる可能性があります。同じ予定対象から始めても、最終的に答えた人の構成が違えば、数字の差には非回答の違いが混ざります。
別の経路として、同じような人でも質問をどう受け取り、どう答えるかが変わりえます。質問の実施媒体に由来する回答の違いをmode effectと呼びます。対象が変わった差と、回答場面が変わった差を一つにしないことが大切です。
答える場面が変わる
面接者と話す場合と画面へ自分で入力する場合では、他人からどう見られるかという意識が異なりえます。選択肢を耳で聞くか目で読むか、思い出す時間をどれだけ取れるかも、回答の過程に関わります。
媒体の影響は、質問や回答者によって同じとは限りません。質問の文言が同じでも、選択肢の提示方法などが違えば、その部分も点検します。どちらの媒体が常に正確、全質問が同じ方向へ何ポイント動く、と決めることはできません。
同時期に媒体を割り付けて調べる
Pew Research Centerは、2014年の同時期に、通常Webで回答する米国のパネル員を電話とWebへ無作為に割り付けた原実験を報告しています。質問によって回答差が見られるものと、見られないものがありました。
これは米国のその対象と時点の研究です。日本の現在の支持率へ同じ変化幅を加えるための数字ではありません。また割付が無作為でも、媒体によって誰が最終的に答えたかを点検する必要があり、原報告も非回答による構成の違いを検討しています。
変更前後だけでは原因を分けられない
前年は電話、今年はWebという比較だけでは、社会の意見変化と方式変更の影響を十分に分けられません。可能な資料として、同時期に方式を比べた結果や、対象、質問全文、選択肢、回収や重みの説明を探します。
方式を変えた際に比較期間が用意されているなら、何をそろえて何が違ったかを読みます。ただし媒体差が分かっても、どちらが真の意見に近いかが必ず決まるわけではありません。前後の数字をつなぐ理由と、残る比較の限界を具体的に示します。
電話で聞く際に明示しない選択肢をWebの画面には載せるなど、方式変更に伴って質問の提示も変わる場合があります。その差を媒体の名前だけでまとめず、何が実際に変わったかを、質問や選択肢の資料で確かめます。
比較の説明がないときは、観測された数字の差自体は示しながら、それを意見の変化だけとして説明する結論を保留します。確かめる対象を、前年と今年の方式、同時期の方式比較、回収後の対象構成へ具体化できます。
- 届く人・答える人
対象への到達や非回答が変わる。
- 答える場面
面接者、選択肢の提示、考える時間が変わる。
無作為に媒体を割り付けても、回収後の構成の違いは点検が必要です。
架空の例:支持率の差と方式の変更
前年の電話調査が支持率45%、今年のWeb調査が50%だったとします。観測した差は5ポイントですが、同時に時点と方式が変わっています。これだけで意見が5ポイント変わったとは決められません。
同じ時期の比較調査で方式を割り付け、対象・質問・選択肢を対応させれば、方式に関わる差を検討しやすくなります。その場合にも、回収後に回答者の構成が違っていないかを確認します。
持ち帰る見方
- 対象への到達と、質問へ答える過程を分ける。
- 方式と時点が同時に変わった差を、意見変化だけと読まない。
- 同時期の方式比較と、回収後の構成を確認する。
次に広がる疑問
- 媒体変更と、質問や選択肢の変更が重なっていないか。
- 同時期の方式比較で、回収後の構成も点検しているか。
出典
From Telephone to the Web: Mode-of-Interview Effects(Pew Research Center)https://www.pewresearch.org/methods/2015/05/13/from-telephone-to-the-web-the-challenge-of-mode-of-interview-effects-in-public-opinion-polls/
確認日:2026-10-05
本文の出典・補足
媒体と選び方を分ける
質問の実施媒体に由来する回答の違いはmode effectと呼ばれる。電話/Webへの変更には、回答過程の違いと対象者の構成・非回答の違いを分けて考える必要がある。
- 対象
- 2015年原実験/Methodology。
- 条件
- 同じ集団から媒体へ割り付けても回収後の構成を点検する。
- 例外・限界
- Web回答そのものが非確率抽出を意味しない。
From Telephone to the Web: Mode-of-Interview Effects(Pew Research Center)https://www.pewresearch.org/methods/2015/05/13/from-telephone-to-the-web-the-challenge-of-mode-of-interview-effects-in-public-opinion-polls/
答える場面が変わる
面接者の存在、選択肢を聞くか読むか、思い出す時間などが、媒体による回答の違いを生む経路になりうる。
- 対象
- Why Mode of Interview Effects Occur。
- 条件
- 質問内容・回答者による違いを考える。
- 例外・限界
- 全質問が同じ方向・同じ幅で変わるとは限らない。
From Telephone to the Web: Mode-of-Interview Effects(Pew Research Center)https://www.pewresearch.org/methods/2015/05/13/from-telephone-to-the-web-the-challenge-of-mode-of-interview-effects-in-public-opinion-polls/
同時期に媒体を割り付けて調べる
Pewの原実験は2014年の同時期に通常Web回答のパネル員を電話/Webへ無作為に割り付けた。質問により回答差が見られるものと見られないものがあった。
- 対象
- About the Study/Methodology。
- 条件
- 米国ATPの当該対象・時点の研究として読む。
- 例外・限界
- 日本の現行調査の差の大きさとして使用しない。
From Telephone to the Web: Mode-of-Interview Effects(Pew Research Center)https://www.pewresearch.org/methods/2015/05/13/from-telephone-to-the-web-the-challenge-of-mode-of-interview-effects-in-public-opinion-polls/
変更前後だけでは原因を分けられない
媒体変更と時点の変化が重なると、前後の回答差を社会の意見変化だけと決められない。同時期に方式を比べる情報や質問・対象・回収の条件を調べる。
- 対象
- 冒頭と研究方法からの編集上の整理。
- 条件
- 同じ概念/選択肢/対象の比較を目指す。
- 例外・限界
- 媒体差が分かっても、どちらの回答が真の値に近いかは必ず決まらない。
From Telephone to the Web: Mode-of-Interview Effects(Pew Research Center)https://www.pewresearch.org/methods/2015/05/13/from-telephone-to-the-web-the-challenge-of-mode-of-interview-effects-in-public-opinion-polls/