数字と報道

警察が把握した犯罪が減ったら、被害も同じだけ減った?

警察が把握した犯罪の減少は、被害全体が同じだけ減ったことを直接示しません。届け出や記録、取締りの条件も件数に関わります。ここではカナダの公式方法を例に、警察報告統計と被害経験を聞く調査が答える範囲を分けます。

基本の用語

行政記録は把握の過程を通った事件を数えます。被害調査は別の入口から経験を聞きますが、対象犯罪や人口、質問の期間が異なるため、二つの総数をそのまま比較できるとは限りません。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

まず把握された範囲を読む

カナダ統計局のUCRは、連邦、州・準州、自治体の警察へ報告された犯罪事件を測るよう設計されています。対象の事件が警察へ届く入口を持つ統計であり、届けられない被害を直接全て数える資料ではありません。

「警察報告の件数」と「発生した全被害の件数」を同じものとして扱うと、観測された範囲を広げてしまいます。どの機関が何を把握して集計する資料かを確認することが、増減を読む前提です。

日本の認知件数も読む際に把握の範囲が問題になりますが、ここで用いるのはカナダ公式資料の方法例です。国が違えば対象の法的分類や数え方の規則も異なるので、UCRの細かな手続を日本へそのまま移しません。

届け出と取締りでも変わる

原報告は、警察報告犯罪に、被害者の届け出のほか、警察の資源、優先方針、手続なども影響すると説明します。例えば飲酒運転や薬物などでは取締り活動の違いが把握へ関わる場合があります。

したがって把握件数が増えた理由を全て被害の増加とすることも、全て記録の改善とすることもできません。被害の変化と把握過程の変化がどれくらい寄与したかは、別の情報を使って検討する必要があります。

比較する期間に届け出や活動の条件がどう変わったかを探します。件数の見出しだけで安全になった・危険になったと結論するより、資料がどの入口を通った出来事を示しているかを説明すると、分かる範囲が明確になります。

被害調査で別の入口を作る

カナダのGSS被害調査は、警察へ報告した出来事と報告しなかった出来事の両方を聞きます。行政記録へ載らない経験も調査の入口へ入る点で、警察報告統計を補う資料となります。

ただし質問に答えた経験は、記憶や回答、標本の不確かさを伴います。警察記録が全てでないことと、被害調査が完全な実数を与えることは別です。どちらも何を測る資料かを定義して使います。

原報告が説明する2019年GSSは、選ばれた犯罪種類の被害経験を対象にしています。最新の制度や現在の被害量をこの記事から判断せず、この時点の調査方法が示す統計の入口の違いを理解します。

二つの総数をそのまま引かない

GSSが質問するのは犯罪の一部であり、企業や施設に対する犯罪は含みません。警察報告統計とは犯罪の範囲も方法も異なります。被害調査の総数から警察総数を引けば未届け出の全件数になる、という計算はできません。

比較するなら同じ犯罪種類、被害対象、地域、参照期間をできる範囲でそろえます。合わない部分は合わないと示し、それぞれが補う情報を読みます。二資料の差が全て誤差か隠れた被害かという二択にしません。

こうした照合により、特定の犯罪の経験がどう動いたかと、把握された事件がどう動いたかを併せて考えられます。犯罪統計が減ったという報道では、どちらの資料の何の範囲を指したかが最初の確認点です。

届け出る割合も動いた模型

架空の同じ対象犯罪で、被害が100件から80件へ減り、届け出られて把握される割合が50%から75%へ上がったとします。単純な模型では把握件数は50件から60件へ増えます。

被害が減っても把握件数は増えるという例です。現実の把握にはもっと多くの過程がありますし、この割合は実測ではありません。把握件数の向きから被害の向きを一つに決められないことを示します。

考えるときの注意点

  • カナダの2021年警察報告とそこに説明された2019年GSSの方法例。日本の現行件数や制度の詳細を説明するものではない。

持ち帰る見方

  • 警察把握と全被害を分ける。
  • 届け出と取締りの条件も読む。
  • 被害調査とは対象をそろえて比較する。

次に広がる疑問

  • 行政が持つ記録を集めれば、社会全体の統計になる?
  • 回答率が高い調査ほど、必ず偏りが小さい?
  • 犯罪の被害者は、刑事裁判にどう関われる?

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出典

  • Police-reported crime statistics in Canada, 2021 — Text box 3 / Survey description(カナダ統計局)https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/85-002-x/2022001/article/00013-eng.htm

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

まず把握された範囲を読む

警察報告統計は警察が把握した犯罪を測るもので、把握されない被害を直接数えるものではない。カナダのUCRは警察へ届いた対象事件を収集する。

対象
2021年報告に示すカナダのUCR/GSSの方法定義。現行犯罪件数・日本制度には転用しない。
条件
カナダ公式方法の例。
例外・限界
日本の認知件数の細かな分類規則と同一とはしない。
  • Police-reported crime statistics in Canada, 2021 — Text box 3 / Survey description(カナダ統計局)https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/85-002-x/2022001/article/00013-eng.htm

届け出と取締りでも変わる

警察報告件数は被害者の届け出のほか、警察の資源・優先方針・手続や取締り活動にも影響される。

対象
2021年報告に示すカナダのUCR/GSSの方法定義。現行犯罪件数・日本制度には転用しない。
条件
同じ犯罪範囲/地域/時点の比較で把握過程を確認。
例外・限界
増加を全て取締りのせいと断定する根拠ではない。
  • Police-reported crime statistics in Canada, 2021 — Text box 3 / Survey description(カナダ統計局)https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/85-002-x/2022001/article/00013-eng.htm

被害調査で別の入口を作る

カナダGSS被害調査は警察へ報告された犯罪とされなかった犯罪の両方を質問する。行政記録と異なる入口から被害経験を測る。

対象
2021年報告に示すカナダのUCR/GSSの方法定義。現行犯罪件数・日本制度には転用しない。
条件
2021年報告が説明する2019年GSS、選ばれた犯罪種類。
例外・限界
記憶や回答の誤り、標本の不確かさもある。
  • Police-reported crime statistics in Canada, 2021 — Text box 3 / Survey description(カナダ統計局)https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/85-002-x/2022001/article/00013-eng.htm

二つの総数をそのまま引かない

GSSは対象犯罪の一部を質問し、企業・施設への犯罪を含まないため、警察報告統計と対象・方法をそろえず総数の差を未届被害と読めない。

対象
2021年報告に示すカナダのUCR/GSSの方法定義。現行犯罪件数・日本制度には転用しない。
条件
犯罪種類/被害対象/地域/参照期間を対応。
例外・限界
被害調査も全種類の犯罪の完全な実数ではない。
  • Police-reported crime statistics in Canada, 2021 — Text box 3 / Survey description(カナダ統計局)https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/85-002-x/2022001/article/00013-eng.htm