財政と暮らし
年金を早く受け取ることと、遅く受け取ることは何が違う?
早く受け取れば受給する期間は前へ広がりますが、年金額は減額されます。遅く受け取れば待つ間の年金は受け取らず、その後の年金額は増額されます。増減率だけでなく、待つ期間の生活費、他の給付への影響、受け取る年数を合わせて比べる必要があります。
基本の用語
繰上げは原則65歳より前、繰下げは原則66歳以後へ受給開始を動かす請求です。ここでは老齢基礎・厚生年金の通常の制度を比べます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 公的年金は自分の積立を返してもらう制度?公的年金は個人の積立預金の返却ではない。
受け取りを始める月が、年額を変える
老齢年金は原則65歳からです。60歳から65歳前に繰上げると、請求した月数に応じて減額され、その減額は生涯続きます。1962年4月2日以後生まれの人の月当たり減額率は0.4%で、それ以前生まれの人は0.5%です。年齢だけでなく、生年月日の区分を確認します。
繰下げは原則66歳から75歳までに請求し、月当たり0.7%の増額が生涯続きます。ただし1952年4月1日以前生まれの人や、2017年3月31日以前に受給権が発生した人などには70歳までの上限があります。すべての人が75歳まで同じ増額計算を使えるわけではありません。
特別支給の老齢厚生年金には繰下げ制度がありません。また基礎年金と厚生年金は別々に繰下げを選ぶことができます。年金という一つの名前だけで決めず、どの給付の開始時期を動かすのかを確かめます。
待つ間の所得と、ほかの給付への影響も見る
繰上げを請求した後は取り消せません。国民年金の任意加入や保険料の追納もできなくなるため、受給開始を早める選択と、納付記録を増やす選択を同時に自由に使えるとは考えません。後から別の条件へ変更できるかも、選択の重要な部分です。
繰下げを待つ間は、その老齢年金を受け取りません。加給年金等も増額の対象とならず、待機中に受け取れない場合があります。大きくなった後の年金額だけを見て、待つ間に諦める給付や生活費を計算から落とさないようにします。
在職老齢年金で支給停止となる部分を除いて繰下げ加算を計算するなど、働き方も条件に関わります。他の年金を受け取る権利による制限、増えた年金が税・社会保険料や医療の自己負担へ影響する場合もあります。額面の増額分が全て手元へ残るとは限りません。
総額の比較には、受け取る年数の条件がある
繰下げを選ぶと、待った期間の受取額がなくなり、その後の年額が大きくなります。二つの案の総額は、どこまでの期間を計算するかで変わります。増額率が高い方が、どんな受給年数でも必ず大きな合計となるという関係ではありません。
説明用に同じ基準年額を置き、税や物価改定を省けば、年額と年数を掛けた比較ができます。しかし実際には受け取る年数は確定していません。待てる資金、健康や生活の状況、他の給付の条件も合わせるので、一つの総額計算を全員への推奨にしません。
早期の受取と後の増額を比べる問いは、年金制度全体の財源がどうなるかという問いとも別です。個人の開始時期を選ぶときは、対象の年金、開始月、条件の変化、待機中と受給後の家計を順に確かめます。
65歳から受け取る案と、70歳まで待つ案
架空の例で、65歳からの年額を120万円とし、通常の月0.7%の繰下げを60か月行える人を考えます。70歳開始なら増額率42%、年額170万4,000円です。税・物価改定・他給付は省きます。
85歳までの比較を、65歳開始20年、70歳開始15年と置くと、前者は2,400万円、後者は2,556万円です。もっと短い期間なら結果は変わりえます。説明用の満年数であり、寿命の予測や本人の最適な請求時期を示す数字ではありません。
持ち帰る見方
- 開始月と生年月日で、増減の条件が変わる。
- 待つ間の所得と、取消し・他給付の条件を見る。
- 総額は受取期間を置いた比較である。
次に広がる疑問
- 免除期間の追納と年金額を読む
- 今日と将来の使えるお金を比べる
順番に読んでいる方へ
出典
年金の繰上げ受給(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-01.html
確認日:2026-10-04
年金の繰下げ受給(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
受け取りを始める月が、年額を変える
老齢年金は原則65歳からで、60〜65歳前繰上げは月単位減額、原則66〜75歳繰下げは月単位増額が生涯続く。
- 対象
- 日本の老齢基礎/厚生年金の繰上げ繰下げ
- 条件
- 1962-04-02以後生繰上げ0.4%/月、繰下げ0.7%/月。
- 例外・限界
- 以前生繰上げ0.5%、繰下げ70歳上限区分、特別支給厚生に繰下げなし。
年金の繰上げ受給(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-01.html
年金の繰下げ受給(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html
早く受け取る額と増額を待つ期間の受取なしを比較し、繰上げ取消不可や追納不可、繰下げの他給付・在職停止等条件を確認する。
- 対象
- 老齢年金請求時期の注意点
- 条件
- 基礎厚生繰下げは別選択可能、加給等増額対象外。
- 例外・限界
- 繰上げ後は任意加入/追納不可、他年金権利で繰下げ制限。税社会保険料等にも影響。
年金の繰上げ受給(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-01.html
年金の繰下げ受給(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html
待つ間の所得と、ほかの給付への影響も見る
早く受け取る額と増額を待つ期間の受取なしを比較し、繰上げ取消不可や追納不可、繰下げの他給付・在職停止等条件を確認する。
- 対象
- 老齢年金請求時期の注意点
- 条件
- 基礎厚生繰下げは別選択可能、加給等増額対象外。
- 例外・限界
- 繰上げ後は任意加入/追納不可、他年金権利で繰下げ制限。税社会保険料等にも影響。
年金の繰上げ受給(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-01.html
年金の繰下げ受給(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html
総額の比較には、受け取る年数の条件がある
総受取額の比較はいつまで受け取るか、税等、手元資金の条件に依存し、月の増減率だけで全員に最適な時期は決まらない。
- 対象
- 老齢年金開始時期の額と期間の比較
- 条件
- 同じ基準年額・物価改定等条件を置く説明用比較。
- 例外・限界
- 寿命/税保険料/働く状況を一律仮定しない。架空算術は個人推奨ではない。
年金の繰上げ受給(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-01.html
年金の繰下げ受給(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-02.html