国際関係
オゾン層を守る条約は、対象の化学物質を一斉にゼロにする?
モントリオール議定書は、対象物質や国の条件に応じた時程で生産・消費などを規制します。全物質を同じ日に一斉にゼロにする一本の約束ではありません。ここでいう消費量は日常の使用量や排出量とも異なり、条文の算定で読む必要があります。
基本の用語
ここではUNEPの2018年統合本文から基本の仕組みを説明します。2026年の個別物質・国の最新削減率は、それぞれの適用条文とその後の決定を追加して確認します。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- パリ協定の目標と、各国の削減約束はどう結び付く?パリ協定は世界共通の温度目標を置き、各国が自ら決める貢献(NDC)を提出し、国内の対策や進捗の報告を行う仕組みです。
物質と国の区分で時程を読む
議定書は附属書の対象物質について、第2A〜2J条などで物質の群別の規制を定めます。基準とする期間、算定量、削減する時程を合わせて読みます。対象の物質名が分かるだけでは、どの段階の規制かは分かりません。
第5条は所定の条件を満たす開発途上国の特別な事情を扱います。国が同じ議定書に参加しても、条文上の国区分や物質別の条件によって時程を読み分ける必要があります。全加盟国へ一つの割合を当てはめません。
規制の存在と、実際にどこまで達成したかも別です。条文は何をすべきかを示しますが、現在の生産量や環境の実績の証拠ではありません。個別のニュースでは対象物質、国、基準期間、適用時程を先に特定します。
消費量は使った量そのものではない
第1条でいう消費量は、規定に沿う生産量へ輸入を加え、輸出を差し引く量です。家庭や工場がその年に使った量をそのまま数える定義ではなく、大気へ出た排出量とも同じではありません。
第3条の算定では、所定の物質群ごとに対象物質へ規定の係数等を使い、合計した量を扱います。物質別の単純な重量と、制度で算定する量を入れ替えないことが必要です。どの附属書・条文の量かを確認します。
輸出入を同じ物質、同じ期間、同じ単位で対応させて初めて比較できます。「消費が減った」という数字を読んだら、日常語の消費、条文上の消費、排出のどれを測ったものかを調べます。制度上の量の変化だけで排出の変化を同じ値として説明しません。
定義と報告で実績を確かめる
生産量の定義では、認められる技術で破壊した量や、他の化学物質の製造に全量使った原料用途の量等を控除します。再生・再利用した量も、生産とはみなしません。工場が扱った総量と、規制上の生産量を区別する仕組みです。
第7条では規定に従い生産・輸出入等の統計を事務局へ報告します。規制時程の説明と報告の実績をつなげるには、定義、対象物質、期間を揃えることが必要です。単に報告を出したことから、すべての条件の達成を推測しません。
物質や用途ごとの例外、適用する改正や決定は個別に確認します。2018年の収録本文の過去時程を、そのまま現在の全ての国の義務として紹介しないことが大切です。ここでは仕組みの読み方を示し、最新の国別遵守や将来の効果は判定しません。
- 生産
規定の控除等を反映する量
- 消費
規定の生産+輸入−輸出
- 排出・日常使用
条文上の消費と同じ量とは限らない
架空の計算は定義の説明で、全物質や輸出先の条件を省いたものです。
消費の定義で数量を読む
架空の同一物質・同一期間で、規定の生産量100、輸入20、輸出30と置くと、単純化した消費量は100+20−30=90です。家庭で90使った、又は大気へ90排出したことを示しません。
この例は係数や輸出先による算定条件等を省いた定義の説明です。実際の報告量では対象物質の規定を読み、生産控除も確認してから計算します。90という値は現実の国の実績ではありません。
持ち帰る見方
- 物質群と国の条件、基準期間、時程を合わせる。
- 消費という制度上の算定量を、使用量や排出量と分ける。
次に広がる疑問
- パリ協定の目標と、各国の削減約束はどう結び付く?
- 化学物質を作る工場は、化学兵器の禁止条約で全部閉鎖される?
- 外国で処分してもらう廃棄物は、業者どうしの契約だけで送れる?
順番に読んでいる方へ
出典
モントリオール議定書2018年ハンドブック 英語本文(UNEP Ozone Secretariat)https://ozone.unep.org/sites/default/files/2019-04/MP_handbook-english-2018.pdf
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
物質と国の区分で時程を読む
対象物質の群と国の条件等ごとに削減の基準年・時程を定め、全物質・全ての国を同時にゼロへする単一の規定ではない。
- 対象
- 2018年収録の統合条文第1・2A–2J・3・5・7条:第2A–2J・5条
- 条件
- 2018年統合本文の物質群別・国別時程、算定量・係数、生産控除と報告。
- 例外・限界
- 2026年国別削減率を確定しない。物質・使用目的の例外、再生分、原料用途、認可破壊量の定義に従う。
モントリオール議定書2018年ハンドブック 英語本文(UNEP Ozone Secretariat)https://ozone.unep.org/sites/default/files/2019-04/MP_handbook-english-2018.pdf
消費量は使った量そのものではない
消費量は条文上、生産量に輸入を加え輸出を差し引くもので、排出量や家庭使用量と同一ではない。算定では対象物質の規定の係数等を使う。
- 対象
- 2018年収録の統合条文第1・2A–2J・3・5・7条:第1条5–7項・3条
- 条件
- 2018年統合本文の物質群別・国別時程、算定量・係数、生産控除と報告。
- 例外・限界
- 2026年国別削減率を確定しない。物質・使用目的の例外、再生分、原料用途、認可破壊量の定義に従う。
モントリオール議定書2018年ハンドブック 英語本文(UNEP Ozone Secretariat)https://ozone.unep.org/sites/default/files/2019-04/MP_handbook-english-2018.pdf
定義と報告で実績を確かめる
生産量から所定の破壊量や全量原料使用分を控除し、再生・再利用分は生産とみなさない。締約国は規定に従って生産・輸出入等の統計を報告する。
- 対象
- 2018年収録の統合条文第1・2A–2J・3・5・7条:第1条5項・7条
- 条件
- 2018年統合本文の物質群別・国別時程、算定量・係数、生産控除と報告。
- 例外・限界
- 2026年国別削減率を確定しない。物質・使用目的の例外、再生分、原料用途、認可破壊量の定義に従う。
モントリオール議定書2018年ハンドブック 英語本文(UNEP Ozone Secretariat)https://ozone.unep.org/sites/default/files/2019-04/MP_handbook-english-2018.pdf