財政と暮らし
病院の保険診療の値段は、病院ごとに自由に決められる?
保険診療の費用は、病院が自由に付けた値札だけで決まるのではなく、国が定める診療報酬の算定表に基づきます。ただし、同じ病名でも受けた診療や施設の条件が違えば、合計額は変わります。その総費用と、患者が窓口で払う一部負担金も別の金額です。
基本の用語
診療報酬は、保険診療を行った医療機関等に支払われる費用の仕組みです。「診療にいくら掛かったか」と「そのうち誰がいくら払うか」を分けると、領収書の金額を理解しやすくなります。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 医療保険があると、医療費は全部無料になる?医療費全体と患者の支払いを分ける。
保険診療の費用は、国の算定表で計算する
日本の健康保険法では、療養の給付に要する費用を厚生労働大臣の定めにより算定します。医科の診療報酬点数表は、初診、再診、検査、処置などの項目と算定する条件を定めています。病院が患者ごとに好きな価格を付ける通常の商品販売とは、価格の決まり方が違います。
点数は、診療内容を費用の計算へつなげるための単位です。実際の請求では、どの項目を、どの条件で算定できるかを確認します。点数表には改定があるため、昔の表に書かれた点数を、そのまま今受けた診療へ当てはめることはできません。
この仕組みは保険診療についての説明です。自費診療の価格全般を、同じ表だけで決めるわけではありません。また、健康保険法には、保険者が大臣の認可を受け、定められた費用の範囲内で医療機関と別の額を契約する規定もあります。
同じ病名でも、受けた診療と算定条件を比べる
「同じ風邪だったのに支払が違う」とき、まず比べるのは病名だけではなく受けた診療です。診察だけだった場合と検査も受けた場合では、費用を構成する項目が異なり得ます。全国に共通の算定表があっても、全ての受診の合計が同額になるわけではありません。
点数表の初診料にも、患者の年齢、時間外や休日の受診、医療機関の施設基準などに応じた規定があります。施設基準を満たして届け出た医療機関で算定する項目を、全病院が無条件に加えるわけではありません。領収書の総額だけでは、この条件の違いは分かりません。
診療の総費用と、窓口で払う額は違う
患者は、給付の費用に法定の割合を掛けた一部負担金を支払い、保険者は患者の負担分を差し引いた費用を医療機関等へ支払います。医療機関に支払われる総費用が、患者の財布から全額出ているわけではありません。
負担割合は制度や年齢等によって異なります。ここで使う3割負担の例は、健康保険法の70歳未満の被保険者本人という条件を置きます。別の年齢区分や制度、自費の費用まで、どの人も請求総額の3割になると考えないようにします。
支払を比べるときは、項目と負担割合を確認する
二つの領収書を比較するときは、保険診療の項目、各項目の算定条件、患者の負担割合を順に見ます。診療費そのものの差と、同じ診療費を誰が負担したかという差が混ざると、「病院が値上げした」と早合点しやすくなります。
医療保険による負担軽減を考える問いと、診療報酬の算定が妥当かという問いはつながっていますが、比べる対象が異なります。前者は患者と保険の分担、後者は診療内容と費用の対応です。どちらの話をしているのかを確かめることが、金額を読む出発点になります。
1万円の保険診療費を、二つの支払に分ける
架空の例
給付の費用が1万円で、一部負担金を3割で計算する受診を考えます。この仮定では患者の負担は3,000円、保険者が医療機関へ支払う部分は7,000円です。個別の点数や請求の端数処理は置かず、支払を分ける関係を示しています。
患者が3,000円だけ払ったとしても、診療の総費用が3,000円になったわけではありません。別の受診と比較する際は、同じ負担割合か、同じ診療内容かをそれぞれ確かめます。
持ち帰る見方
- 保険診療は国の算定表と条件に基づく。
- 同じ病名でも、総費用まで必ず同じとは限らない。
- 総費用と患者の一部負担金を区別する。
次に広がる疑問
- 医療保険は、自己負担をどこまで軽くする?
- 医療費を保障しても、近くの診療体制は整う?
順番に読んでいる方へ
出典
健康保険法(現行施行版)(e-Gov法令検索/デジタル庁)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/211AC0000000070_20261001_507AC0000000087
確認日:2026-10-04
令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
確認日:2026-10-04
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(厚生労働省告示第69号)(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001665291.pdf
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
保険診療の費用は、国の算定表で計算する
保険診療の療養の給付に要する費用は厚生労働大臣の定めにより算定し、医科診療報酬点数表が診療ごとの算定内容を定める。
- 対象
- 健康保険法76条2項、令和8年度医科点数表
- 条件
- 日本の保険診療、2026年6月適用の点数表
- 例外・限界
- 自費診療の全料金は対象外。76条3項の認可契約による別段の定めがある。
健康保険法(現行施行版)(e-Gov法令検索/デジタル庁)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/211AC0000000070_20261001_507AC0000000087
令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
診療報酬の算定方法の一部を改正する件(厚生労働省告示第69号)(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001665291.pdf
同じ病名でも、受けた診療と算定条件を比べる
点数の算定には診療内容や患者・時間・施設基準等の条件があり、同じ傷病名なら全医療機関の総費用が同じになるわけではない。
- 対象
- 初診料通則・A000注1・6・7・10等
- 条件
- 個別条件に応じた点数算定
- 例外・限界
- 特定の加算を全病院・全患者へ適用せず、病名だけから費用を算定しない。
令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
診療の総費用と、窓口で払う額は違う
患者の一部負担金は給付の費用に法定割合を掛けて算定し、保険者は患者の負担分を差し引いた費用を医療機関等へ支払う。
- 対象
- 健康保険法74・76条
- 条件
- 健康保険法の被保険者本人の療養の給付。一例は70歳未満の3割負担に限定
- 例外・限界
- 本人の年齢・報酬で割合が異なる。家族、国保、後期高齢者医療、自費費用、減免や高額療養費の個別算定へ一般化しない。
健康保険法(現行施行版)(e-Gov法令検索/デジタル庁)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/211AC0000000070_20261001_507AC0000000087
支払を比べるときは、項目と負担割合を確認する
点数の算定には診療内容や患者・時間・施設基準等の条件があり、同じ傷病名なら全医療機関の総費用が同じになるわけではない。
- 対象
- 初診料通則・A000注1・6・7・10等
- 条件
- 個別条件に応じた点数算定
- 例外・限界
- 特定の加算を全病院・全患者へ適用せず、病名だけから費用を算定しない。
令和8年度診療報酬改定 医科診療報酬点数表(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
患者の一部負担金は給付の費用に法定割合を掛けて算定し、保険者は患者の負担分を差し引いた費用を医療機関等へ支払う。
- 対象
- 健康保険法74・76条
- 条件
- 健康保険法の被保険者本人の療養の給付。一例は70歳未満の3割負担に限定
- 例外・限界
- 本人の年齢・報酬で割合が異なる。家族、国保、後期高齢者医療、自費費用、減免や高額療養費の個別算定へ一般化しない。
健康保険法(現行施行版)(e-Gov法令検索/デジタル庁)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/211AC0000000070_20261001_507AC0000000087