経済の基礎

労働組合があると、会社と何を交渉できる?

労働組合は、働く人が団体として賃金や労働条件などを会社と交渉するための組織です。会社は正当な理由なく団体交渉を拒めませんが、要求がすべて通るという保証ではありません。交渉の権利、合意した労働協約、その基準が個別の契約へ及ぶ効果を分けます。

基本の用語

民間企業の労使関係を考えます。労働組合法の組合には、働く人が主体となり、会社の支配から独立して、労働条件の維持改善などを主な目的とする要件があります。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

働く人が団体として交渉する

個人で給料や勤務条件を相談することと、団体の代表を通じて交渉することは違います。労働組合法6条は、組合の代表者や組合から委任された人が、組合や組合員のために、会社や使用者団体と労働協約その他の事項を交渉する権限を定めています。

組合という名前が付けば、どんな団体も同じ法律上の組合になるわけではありません。使用者の利益を代表する人の参加を許す団体、福利事業だけを目的とする団体、政治・社会運動を主な目的とする団体などには、法定の除外があります。目的と自主性を合わせて確かめます。

一般職公務員には別の制度があり、民間企業の交渉や協約の説明をそのまま当てはめられません。また、労働組合法上の「労働者」と、労働基準法の労働者性の判断を当然に同じとすることもできません。どの法律のどんな保護を問うかが重要です。

会社は正当な理由なく交渉を拒めない

会社が正当な理由なく団体交渉を拒むことは、労働組合法7条の不当労働行為に当たります。組合に加入したことや、正当な組合活動をしたことを理由に解雇等の不利益を与えることも禁止されます。組合の結成や運営への支配・介入も問題になります。

この禁止は、会社が話合いに応じるという積極的な行為を求める仕組みです。ただし、交渉に応じる義務と、要求した賃上げ幅や勤務案を必ず受け入れることは違います。交渉の過程、拒否の理由、活動の正当性など、法律上の条件を飛ばして結論は出せません。

働く人の共同の交渉には、条件をまとめて伝えるという意味があります。しかし、組合があれば必ず給料が上がるとは、この制度の条文だけから分かりません。法が保障する手続や権利と、実際の交渉の成果を区別します。

話合いの結果を労働協約にする

労働協約は、組合と会社などが交渉して合意した労働条件等を定めるものです。2026年6月24日施行版の労働組合法14条は、書面を作成し、双方が署名又は記名押印することで効力を生じると定めます。交渉中の提案や口頭の返答を、それだけでこの方式の協約と扱いません。

同法16条は、労働協約が定める労働条件その他の待遇の基準に違反する個別の労働契約部分を無効とし、その部分を協約の基準によるとします。契約で定めていない部分にもその基準が関わります。合意した基準が個人の契約へ及ぶ点に、協約の意味があります。

ただし、どの協約が誰に適用されるかを確認する必要があります。組合と会社の話合いの結果が、常にすべての従業員へ同じ範囲で適用されるとはしません。要求を出す段階、協約を成立させる段階、その人の労働条件へ適用する段階を分けて読みます。

交渉中の案と、成立した協約を分ける

架空の職場で、組合が勤務表を早く知らせるよう要求し、会社が「検討する」と返答したとします。この返答だけで、要求どおりの労働協約が成立したとは扱いません。何を合意したかと、協約の方式を確かめる必要があります。

その後、双方が対象者と通知時期を定めた書面へ署名したと設定すれば、合意した基準と実際の勤務表の扱いを比べる段階になります。これは手続の違いを考える設定で、実在企業の交渉成果や個別の違反を判定する例ではありません。

持ち帰る見方

  • 団体として交渉する権利と、要求が通ることは違う。
  • 正当な理由のない交渉拒否や組合活動を理由とする不利益は禁じられる。
  • 労働協約の成立と、個人の契約への適用範囲を確かめる。

次に広がる疑問

  • 契約の成立・有効性・履行を分ける
  • 契約名と労働基準法の労働者性を区別する

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出典

  • 労働組合法 第2条・第3条・第6条・第7条・第14条・第16条(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/324AC0000000174

    確認日:2026-10-04

  • 令和8年度 労使関係セミナー 基本講座「労働基本権・労働組合」(皆川宏之(中央労働委員会東日本区域地方調整委員会議委員長)/中央労働委員会掲載)https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/dl/R080728-1.pdf

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

働く人が団体として交渉する

日本の労働組合法は労働者が主体となる自主的な組合を定め、代表者等が労働協約その他の事項について労働者を代表して交渉できる。

対象
労働組合法第2条・第3条・第6条/中央労働委員会2026年度講義(一般制度の補完)
条件
同法適用の民間労使を想定。自主性と法定除外を満たす組合。法文は明示2026-06-24施行表示版の採用条文。
例外・限界
雇用主の利益代表者参加や主たる政治運動等の除外を保持。すべての労働法で労働者の定義が同じとはしない
  • 労働組合法 第2条・第3条・第6条・第7条・第14条・第16条(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/324AC0000000174

  • 令和8年度 労使関係セミナー 基本講座「労働基本権・労働組合」(皆川宏之(中央労働委員会東日本区域地方調整委員会議委員長)/中央労働委員会掲載)https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/dl/R080728-1.pdf

会社は正当な理由なく交渉を拒めない

使用者が正当な理由なく団体交渉を拒むことや、組合加入・正当な活動を理由とする不利益取扱い等は、不当労働行為として禁止される。

対象
労働組合法第7条第1〜4号/中央労働委員会2026年度講義(一般制度の補完)
条件
法定の不当労働行為要件・正当な組合活動。法文は明示2026-06-24施行表示版の採用条文。
例外・限界
拒否に正当な理由がある場合や法定の例外を無視しない。要求をすべて受け入れる義務としない
  • 労働組合法 第2条・第3条・第6条・第7条・第14条・第16条(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/324AC0000000174

  • 令和8年度 労使関係セミナー 基本講座「労働基本権・労働組合」(皆川宏之(中央労働委員会東日本区域地方調整委員会議委員長)/中央労働委員会掲載)https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/dl/R080728-1.pdf

話合いの結果を労働協約にする

労働協約は書面にして双方が署名又は記名押印すると効力を生じ、協約の基準に反する労働契約部分は無効となり、その部分等は基準に従う。

対象
労働組合法第14条・第16条/中央労働委員会2026年度講義(一般制度の補完)
条件
適用される労働協約の方式と労働条件基準。法文は明示2026-06-24施行表示版の採用条文。
例外・限界
すべての話合いが労働協約になる、すべての従業員に同じ範囲で適用されるとはしない。第14条の方式は明示版法文に限定し、講義で方式全文を確認したとはしない。
  • 労働組合法 第2条・第3条・第6条・第7条・第14条・第16条(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/324AC0000000174

  • 令和8年度 労使関係セミナー 基本講座「労働基本権・労働組合」(皆川宏之(中央労働委員会東日本区域地方調整委員会議委員長)/中央労働委員会掲載)https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/dl/R080728-1.pdf