経済の基礎

誰も選ばない行動を消すと、相手の選択も絞れる?

全ての相手行動で劣る行動を消すと、残った表で相手の比較も変わります。厳密な劣位の削除と、同点を許す弱い劣位の削除を分け、相手も合理的と分かっているという仮定を確認します。

基本の用語

利得表は行動の組合せごとの結果を各人の評価で表します。相手の行動ごとに自分の得を比べる最適反応と、全ての相手行動で劣る被支配行動を区別します。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

全ての相手行動を比べる

行動Aが、相手がどれを選んでも行動Bより低い利得を与えるなら、AはBに厳密に支配されています。Aを除く判断には、相手がどの行動を取るかの一つの予想に賭ける必要がありません。表の全ての相手候補を比較することが条件です。

ある一列だけで負ける行動や、平均で負ける行動とは違います。別の相手行動では得になるなら、その行動を厳密な被支配として消せません。相手の候補を勝手に狭めることと、全候補で比較して消すことを分けます。

理論では別の純粋行動だけでなく、複数行動を混ぜた戦略に支配される場合もあります。本記事の数例はまず純粋行動の比較で手順を見ます。純粋比較で残ったというだけで、あらゆる混合による支配まで否定したとはしません。

消した後の表で比べ直す

相手のある行動が全候補で劣ると分かり、相手がそれを使わないと分かれば、自分は残った相手行動だけで比較できます。そこで初めて自分の別の行動が全候補に対して劣ることがあります。削除を一回で止めず、新しい表を調べ直すのが逐次削除です。

ただし、自分が合理的なだけでは足りません。相手も利得を知り合理的に選ぶ、自分もそれを知っている、相手も自分が知ることを知っている、といった共通知識を置きます。比較を次の段へ進めるたび、他人の判断を予想する条件が関わります。

有限な表なら削除は有限回で止まります。何行動も残ることもあり、逐次削除だけでいつも一つの結果が決まるわけではありません。残った行動から均衡を調べる目的と、削除できる候補を減らす目的は別です。

弱い劣位を同じように消さない

有限ゲームの厳密被支配の削除では、どの順に削除しても最終的な残存集合が同じになります。消した行動が残りの比較で再び必要になるという心配を、この条件の下では避けられます。条件は「全候補で厳密に劣る」です。

全候補で悪くなく少なくとも一つで高いという弱い支配は、同点の候補を許します。弱被支配の削除では順序が最終結果へ影響しうるため、厳密支配と同じ手順の性質を移せません。同点にある最適反応を消してしまう可能性も確認します。

現実の競争相手が必ず消去計算をしているという実証ではありません。表に省いた目的、利得への認識の違い、合理性を互いに知る範囲が変われば、模型の予測を使う条件も変わります。削除で使った仮定を、利得表と一緒に読むことが大切です。

架空の例利得表の逐次削除
  1. Bの比較

    上でも下でも左の利得が右より高い。右を除く。

  2. 残った左の列

    Aは上3と下2を比べ、下を除く。

  3. 残る行動

    上/左。最初にAの下を消す根拠はなかった。

利得と合理性を互いに知る架空の有限ゲームです。削除の後に相手候補が変わり、残った表で改めて比較します。

架空の例:相手の列を消すと、自分の行も消せる

二人の行動をAの上/下、Bの左/右とします。利得は上左(3,2)、上右(1,0)、下左(2,1)、下右(4,−1)で、括弧はA/Bの順です。Bは上のときも下のときも左が右より高いので、右を消せます。

残った左の列ではAの上3が下2より高く、下を消せます。初めの全表では右に対して下4が上1より高いため、Aの下を先に厳密被支配として消すことはできません。残る上/左の利得は3/2です。

持ち帰る見方

  • 全ての相手行動で厳密に劣るかを調べる。
  • 逐次の予測には他人の合理性への知識が要り、弱支配は別に扱う。

次に広がる疑問

  • 相手の事情が本人にしか分からないときは?
  • くじに混ぜた戦略はどう比べる?

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出典

  • Non-Cooperative Games — MIT 14.126 notes (2017)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/a4d0a3949ab29c2a2f55442a9723d205_MIT14_126S16_noncoop.pdf

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

全ての相手行動を比べる

ある行動が他の戦略より全ての相手行動で厳密に低い利得を与えるなら、厳密被支配である。

対象
厳密被支配の逐次削除を小利得表で実行し、弱い被支配の削除順依存と共通知識を区別する。
条件
有限の利得表、利得/合理性の共通知識、厳密被支配を比較。本文は純粋行動の比較で手順を示す。
例外・限界
弱被支配の削除は順序依存しうる。消去で唯一候補を得ても現実の行動の実証ではない。混合による被支配も理論では可能。
  • Non-Cooperative Games — MIT 14.126 notes (2017)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/a4d0a3949ab29c2a2f55442a9723d205_MIT14_126S16_noncoop.pdf

消した後の表で比べ直す

共通知識の合理性を置くと、被支配行動を削除した残りの表で再び被支配を探す逐次手順を考えられる。

対象
厳密被支配の逐次削除を小利得表で実行し、弱い被支配の削除順依存と共通知識を区別する。
条件
有限の利得表、利得/合理性の共通知識、厳密被支配を比較。本文は純粋行動の比較で手順を示す。
例外・限界
弱被支配の削除は順序依存しうる。消去で唯一候補を得ても現実の行動の実証ではない。混合による被支配も理論では可能。
  • Non-Cooperative Games — MIT 14.126 notes (2017)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/a4d0a3949ab29c2a2f55442a9723d205_MIT14_126S16_noncoop.pdf

弱い劣位を同じように消さない

有限ゲームの厳密被支配戦略の削除結果は手順によらないが、弱被支配では同じ性質は成立しない。

対象
厳密被支配の逐次削除を小利得表で実行し、弱い被支配の削除順依存と共通知識を区別する。
条件
有限の利得表、利得/合理性の共通知識、厳密被支配を比較。本文は純粋行動の比較で手順を示す。
例外・限界
弱被支配の削除は順序依存しうる。消去で唯一候補を得ても現実の行動の実証ではない。混合による被支配も理論では可能。
  • Non-Cooperative Games — MIT 14.126 notes (2017)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/a4d0a3949ab29c2a2f55442a9723d205_MIT14_126S16_noncoop.pdf