数字と報道

区間別の人数だけで、正確な平均を計算できる?

通常は正確な平均を計算できません。区間別の人数は、その区間の中のどこに値があるかを残していないためです。各区間の中点で代表させれば近似の平均を作れますが、その仮置きを元の観測値と区別して報告します。

基本の用語

例えば0以上10分未満に3人という表は、3人の正確な待ち時間を示していません。人数の合計が分かることと、時間の合計が分かることは別です。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

区間の中央で代表させる

平均には全ての値の合計と個数が必要です。区間別度数表から全人数は分かりますが、各人の値は分かりません。0以上10分未満に3人なら、3人が1分でも9分でも同じ行の人数になります。したがって表だけでは、元の時間の合計を一つに決められません。

近似を作る方法として、各区間の中点を代表値にします。0以上10分未満なら5分、10以上20分未満なら15分です。全員が本当に中点の値だったと確かめたのではなく、失われた区間内の位置を中点に置き換えて計算します。

区間の上下の境界から中点を求めるので、表示された階級名だけでなく、境界と単位を確認します。年齢10代という分類と、10以上20未満という連続的な区間の表記では、記録の単位に応じた扱いが必要です。近似に使う代表値を明示してから計算します。

近似の合計を作る

各区間で「中点×人数」を計算し、それを全区間で足します。この近似の合計を全人数で割るのが階級値を使う平均です。区間が三つなら中点を三つ足して3で割る、という計算ではありません。人数の多い区間ほど合計への比重が大きくなります。

同じ表で区間内の値が下側へ集まっていれば、中点を使う計算は実際より大きくなり、上側へ集まれば逆になります。区間別人数だけでは、その集まり方も確認できません。中点の近似がどちらへ何分ずれるかを、根拠なく決めないようにします。

「30分以上」のように上限がない区間には、両境界の平均としての中点を作れません。便宜的に35分などを置けば、その仮定で平均が変わります。上限のない区間を含む表で厳密な平均が必要なら、区間内合計か、公表されている別の平均を探します。

正確さが必要な問いへ戻る

大まかな中心をつかむ目的なら、中点を使った近似が役立つことがあります。一方で、全利用者が待った時間の合計や、細かな変化を比較したい目的では、近似の差が判断に関わることもあります。表示された平均に「推定」「概算」などの注記があるかを読みます。

元の個別値か、各区間の時間の合計が追加で得られれば、単純な区間人数表より詳しい情報を使えます。全部の個別値を公開しなくても、同じ対象の合計と人数があれば平均は計算できます。必要なのは人数を増やすことではなく、表が省いた位置や合計の情報を補うことです。

例の10分という近似平均は、各区間の中点に全員を置いた仮の合計40分を、4人で割った値です。4人が実際に合計40分待ったという記録を得たのではありません。近似平均に人数を掛ければ近似合計へ戻りますが、元の合計が復元できたことにはならないので、合計時間を報告するときも近似の条件を残します。

区間別表が残すものと省くもの
  • 分かること

    各区間の人数、全人数、境界までの累積人数。

  • 省かれること

    区間内の個々の位置、元の値の正確な合計。

  • 中点による近似

    区間内の位置を代表値に置き換えて平均を作る。

追加で区間内合計が公表されていれば、その情報を使える。

同じ度数表から違う平均が生まれる(架空の例)

待ち時間0以上10分未満が2人、10以上20分未満が2人の表を考えます。中点は5分と15分なので、近似平均は(5×2+15×2)÷4=10分です。

元の値が1、2、11、12分なら平均6.5分、8、9、18、19分なら13.5分です。両方とも同じ区間人数表に合います。区間内の位置を残さない表から10分と近似することと、正確な平均が10分と判明することは違います。

持ち帰る見方

  • 中点×度数の合計を全度数で割るのは近似の平均。
  • 上限のない区間や厳密さが必要な用途では、追加の合計情報を探す。

次に広がる疑問

  • 区間の人数から、境目までの割合は正確に読める?

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出典

  • OpenStax Introductory Statistics 2e: Measures of the Center of the Data(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/2-5-measures-of-the-center-of-the-data

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

区間の中央で代表させる

区間と度数しか分からない集計では、個々の値が不明なので正確な平均は計算できない。

対象
元の個別値がなく、階級別度数だけある場合。
条件
同じ単位・期間・対象の階級表を使う。
例外・限界
別途区間内合計が得られる場合には、その情報を用いる。
  • OpenStax Introductory Statistics 2e: Measures of the Center of the Data(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/2-5-measures-of-the-center-of-the-data

近似の合計を作る

階級別度数表の平均の推定では、各区間の中点を用いる方法がある。

対象
閉じた区間の境界から中点を定義できる表。
条件
中点×度数を合計し、全度数で割る。
例外・限界
上限のない最上位区間などでは中点を自動的に決められない。
  • OpenStax Introductory Statistics 2e: Measures of the Center of the Data(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/2-5-measures-of-the-center-of-the-data