財政と公共サービス
日銀が利益を出すと、全部が政府の収入になる?
全部がそのまま政府の収入になるわけではありません。日銀は経費や税などを支払った後の剰余金から、準備金と出資者への配当を差し引き、残りを国庫へ納付します。資産の利息収入、最終的な利益、国庫納付額は別の数字です。
基本の用語
日銀も資産と負債を持ち、年度ごとに決算します。国庫納付金は、その決算上の利益処分に基づいて政府へ納めるお金で、国債を買った額そのものではありません。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 日本銀行は、どう景気や物価に関わる?中央銀行の役割と波及の条件
国債などの利息収入と、最終的な利益は別
日銀は保有する国債などの有利子資産から利息収入を得ます。銀行券という負債には利息が付かない一方、すべての負債や活動に費用がないわけではありません。資産から収入が入る仕組みと、収入から費用等を差し引いて利益が残る仕組みを分けて読みます。
日銀の説明では、経費や税などを支払った後の当期剰余金から、国庫納付を行います。受け取った国債利息の総額を、そのまま政府へ渡すという計算ではありません。資産の収益が増えたかを見ても、最終的な剰余金が同じだけ増えたとはいえません。
国債の買入額や、銀行券の発行額も国庫納付額とは違います。資産を取得する取引、負債となる銀行券を出すこと、利益を処分して納付することは別の場面です。「日銀から政府へお金が入る」という表現を読むときは、どの取引とどの数字を指すかを確認します。
剰余金から準備金と配当を差し引く
日銀法53条は、当期剰余金の5%を原則として準備金に積み立てると定めています。財務大臣の認可を受けて、それを超える額を積み立てる場合もあります。準備金は剰余金の一部を日銀に残す扱いで、国庫へ渡る額とは分けます。
同条は、出資者への配当を、払込出資金額に対して年5%以内に限っています。準備金の5%と配当の5%は、掛ける元の額が違います。どちらも同じ割合だから、剰余金の10%を必ず差し引くという計算にしてはいけません。
準備金と配当を差し引いた残額を、事業年度終了後2か月以内に国庫へ納付します。法には概算で納付する場合の規定もあります。日銀の案内では国庫納付金は一般会計の歳入になります。年度の利益が決まることと、実際にどの額が国庫に入るかの段階を区別します。
収益だけでなく、支払利息や引当金を見る
日銀の2025年度決算は、補完当座預金制度による利息などの支払増加が、経常利益の減少に関わったと説明しています。日銀が銀行券を発行するという一面だけから、支払利息がないと考えることはできません。資産側の利息収入と負債側等の支出を両方見ます。
同じ決算には引当金への積立、税、準備金、配当を経て、国庫納付額が示されています。収益が大きい年でも、それぞれの処理を省いて国庫納付額を出すことはできません。決算表の上の収入と下の利益処分の数字には、違う役割があります。
この例は2026年5月27日に公表された2025年度の決算です。2026年度の実績や今後の納付額を示すものではありません。将来の金利や支払費用が変わる場合の予想は、過去の実績と区別します。国庫納付を読むには、対象年度と、利益を残すまでの収支の両方を確かめることが必要です。
- 利息等の収入
国債などの有利子資産から収入を得る
- 経費・税等の処理
支払費用等を反映して当期剰余金を求める
- 利益処分
準備金と、払込出資金を基にする配当を差し引く
- 国庫納付
残額を原則年度終了後2か月以内に国庫へ納める
収入全額や国債買入額が、そのまま国庫納付額になる流れではない。
二つの5%の分母を分ける
架空の中央銀行で、当期剰余金100億円、払込出資金1億円とし、原則の準備金5%、配当は法定上限の年5%を使うと仮定します。準備金は5億円、配当は500万円で、残額は94億9,500万円です。
準備金と配当を両方とも剰余金へ5%ずつ掛けて、残り90億円とする計算ではありません。実際の日銀の当期数値や配当の決定を再現した例ではなく、同じ割合でも分母が違うことを示しています。
持ち帰る見方
- 資産の利息収入と、費用・税の後の剰余金を分ける。
- 準備金5%と、配当上限5%の分母を確認する。
- 国庫納付は残額の利益処分で、年度をそろえて読む。
次に広がる疑問
- 日銀が国債を買うなら、国の赤字を直接引き受けている?
- 予算が成立していれば、国庫のお金はいつでも十分ある?
出典
日本銀行の利益はどのように発生しますか? 通貨発行益とは何ですか?(日本銀行)https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/outline/a24.htm
確認日:2026-10-07
日本銀行の利益はどのように使われていますか? 国庫納付金とは何ですか?(日本銀行)https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/outline/a25.htm
確認日:2026-10-07
日本銀行法(e-Gov法令検索/法令所管府省)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/409AC0000000089
確認日:2026-10-04
第141回事業年度(令和7年度)決算等について(日本銀行)https://www.boj.or.jp/about/account/zai2605a.htm
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
国債などの利息収入と、最終的な利益は別
日銀の利益は有利子資産の利息等から生じ、経費・税等を支払った後の当期剰余金から国庫納付を行う。
- 対象
- 日銀Q&A利益・国庫納付。 2026-10-07取得本文に照合した範囲。
- 条件
- 日銀Q&A利益・国庫納付。
- 例外・限界
- 国債買入額や銀行券発行額を国庫納付額としない。
日本銀行の利益はどのように発生しますか? 通貨発行益とは何ですか?(日本銀行)https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/outline/a24.htm
日本銀行の利益はどのように使われていますか? 国庫納付金とは何ですか?(日本銀行)https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/outline/a25.htm
剰余金から準備金と配当を差し引く
日銀法53条は原則剰余金5%の準備金、認可による追加積立や払込出資年5%以内の配当を定め、残額を2か月以内に国庫納付する。
- 対象
- 取得日現行の日銀法53条。 2026-10-07取得本文に照合した範囲。
- 条件
- 取得日現行の日銀法53条。
- 例外・限界
- 剰余金5%と払込出資金5%は計算の分母が違う。概算納付も法定。
日本銀行法(e-Gov法令検索/法令所管府省)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/409AC0000000089
収益だけでなく、支払利息や引当金を見る
日銀2025年度決算は補完当座預金制度利息の増加等による経常利益減少、引当金積立、税・準備金・配当と国庫納付の計算を示す。
- 対象
- 2025年度(第141回事業年度)の決算資料、2026-05-27公表。 2026-10-07取得本文に照合した範囲。
- 条件
- 2025年度(第141回事業年度)の決算資料、2026-05-27公表。
- 例外・限界
- この過去年度の額を2026年度実績や将来予測に置き換えない。
第141回事業年度(令和7年度)決算等について(日本銀行)https://www.boj.or.jp/about/account/zai2605a.htm