経済の基礎
職場のハラスメント対策は、相談窓口を置けば終わり?
相談窓口の名前があるだけで、ハラスメント対策の義務を果たしたとは限りません。事業主には、相談に応じ、適切に対応する体制などの措置が必要です。相談したことや、対応に協力して事実を述べたことを理由に、不利益な扱いをすることも禁止されます。
基本の用語
ここでは2026年10月1日施行版の労働施策総合推進法31条が定める、職場のパワーハラスメントの措置を扱います。個別の言動の違法性や賠償額を判定するものではありません。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 労災保険があれば、職場の事故防止はしなくてよい?災害後の給付と、事前の防止措置を分ける。
厳しい指導を、すべて同じに扱わない
法が防止の対象とする言動は、職場の優越的な関係を背景とし、業務上必要かつ相当な範囲を超え、それによって就業環境が害されるものです。嫌だと感じる言葉をすべて同じに扱うのでも、仕事の指導という名前ならすべて対象外とするのでもありません。関係、言動の内容、仕事の必要性、環境への影響を対応させます。
したがって、厳しい表現があったという一文だけでは、すべての条件を確認できません。何の仕事について、誰がどのような言動を、どの場面で行ったかを具体的に見る必要があります。一方で、判断が未確定であることを理由に、相談する場所自体が不要になるわけではありません。認定の問いと、相談へ対応する体制の問いを分けます。
相談に応じ、適切に対応する体制が要る
31条は、労働者からの相談に応じて適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を求めます。窓口の表示はその入口ですが、相談を受け取れない、誰も対応しないという状態なら、適切に対応する体制があるかをさらに確認する必要があります。
会社としては、相談をどこへ伝え、誰が扱い、どう対応するかが問題になります。働く人が確認する際も、窓口名だけでなく連絡方法や対応先を見ます。ただし、措置義務があることは、すべての相談で本人が望む結論が必ず出るという保証ではありません。対応の仕組みと、具体的な事実関係や措置の妥当性は別に確認します。
相談したことによる不利益取扱いも禁止される
会社は、労働者が相談したことや、事業主による対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをしてはなりません。相談窓口があっても、相談したために不利になるなら利用しにくくなります。相談への対応と、相談者等をその理由で不利に扱わないことは、一緒に確認する項目です。
実際の扱いがこの禁止に当たるかには、どの行為を理由として、何の不利益が生じたかを見る必要があります。相談後に起きたすべての変化が自動的に同じ理由と確定するわけではありません。相談の内容、会社の説明、その後の扱いの記録を対応させます。法律上の防止措置があることと、現場で十分な対策が行われたことも区別します。
不利益取扱いの禁止は、相談者だけでなく、事業主の対応へ協力する際に事実を述べた労働者にも関わります。自分は被害の相談をしていないから、関係する事実を説明した場合の保護もない、と一律には読めません。逆に、この保護の規定があることは、調査の結論や処分の内容まで自動的に決まることを意味しません。誰が何を述べ、そのことを理由としてどんな扱いがされたかを対応させます。相談の入口と、その後に安心して説明へ協力できる条件の両方を読むことが必要です。
架空の相談窓口で、次の対応を確認する
会社の掲示に相談先が書かれていて、ある人が言動について連絡したとします。掲示の有無だけで確認を終えず、相談が受け取られたか、誰が扱うか、適切な対応へつながる体制があるかを見ます。
相談したことを理由に担当から外すと説明された場合は、不利益な取扱いの禁止という別の論点が生じます。例には言動や配置の全事情を置いていないため、違法だと判定したものではありません。窓口、対応、相談後の扱いを分けて確かめる例です。
持ち帰る見方
- 言動の認定条件と、相談へ対応する措置義務を分ける。
- 窓口の存在、適切な対応、相談等を理由とする不利益取扱いの禁止を確認する。
次に広がる疑問
- 相談で解決しない争いには、どんな手続を使えるだろう?
順番に読んでいる方へ
出典
労働施策総合推進法(2026-10-01施行版)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/341AC0000000132
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
厳しい指導を、すべて同じに扱わない
31条は職場の優越的関係を背景とし、業務上必要相当範囲を超えた言動で就業環境が害されることを防ぐ措置を求める。
- 対象
- 第31条(旧第30条の2のパワーハラスメント措置、今回施行版で条番号変更)・第32条
- 条件
- 職場の優越的関係を背景とし業務上必要相当範囲を超えた言動で就業環境が害されることを防ぐ事業主措置。
- 例外・限界
- 適正な業務上の指導を一律に認定しない。個別事件の判断や被害回復額は確定しない。
労働施策総合推進法(2026-10-01施行版)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/341AC0000000132
相談に応じ、適切に対応する体制が要る
事業主は相談に応じ適切に対応する体制整備その他の雇用管理上必要な措置を講ずる義務がある。
- 対象
- 第31条(旧第30条の2のパワーハラスメント措置、今回施行版で条番号変更)・第32条
- 条件
- 職場の優越的関係を背景とし業務上必要相当範囲を超えた言動で就業環境が害されることを防ぐ事業主措置。
- 例外・限界
- 適正な業務上の指導を一律に認定しない。個別事件の判断や被害回復額は確定しない。
労働施策総合推進法(2026-10-01施行版)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/341AC0000000132
相談したことによる不利益取扱いも禁止される
相談や事業主の対応へ協力して事実を述べたことを理由とする解雇等の不利益取扱いは禁止される。
- 対象
- 第31条(旧第30条の2のパワーハラスメント措置、今回施行版で条番号変更)・第32条
- 条件
- 職場の優越的関係を背景とし業務上必要相当範囲を超えた言動で就業環境が害されることを防ぐ事業主措置。
- 例外・限界
- 適正な業務上の指導を一律に認定しない。個別事件の判断や被害回復額は確定しない。
労働施策総合推進法(2026-10-01施行版)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/341AC0000000132