政治の仕組み
会社の不正を知らせれば、どんな告発でも保護される?
すべての告発が同じ条件で保護されるわけではありません。対象者と通報する事実を確かめ、内部・権限ある行政機関・その他の外部という通報先ごとの要件を分けます。
基本の用語
公益通報者保護法は、一定の法令違反などを知らせた人への解雇や不利益な取扱いを制限する法律です。ここでは日本の2026年10月5日時点の制度を扱い、通報先ごとの要件は主に労働者について比較します。
誰が、何について知らせるかを確かめる
公益通報の対象となる人には、労働者や派遣労働者、一定の退職者、役員が含まれます。退職者などについては、通報日前1年以内に使用されていたなど、仕事の関係にも範囲が定められています。役員は労働者と保護要件が異なるため、役職を問わず同じ扱いとはしません。
知らせる内容も限定されています。対象となるのは、この法律や別表に掲げる法律の犯罪行為、過料という金銭上の制裁の理由となる事実などです。対象となる違反が生じた、又はまさに生じようとしていることを知らせます。仕事への不満や道徳的な疑問が、すべて同じ対象になるわけではありません。
不正な利益を得る目的や、他人に損害を加える目的などの不正な目的がないことも必要です。どの会社の仕事に関する通報なのか、法が定めるどの相手に伝えたのかと合わせて判断します。
内部の窓口へ知らせるときの条件
働いている会社などの役務提供先、又はその先があらかじめ定めた窓口への通報では、対象事実が生じた又はまさに生じようとしていると考えることが要件です。法律の「思料する」は、このように考えることを指します。
公益通報の定義とこの内部通報の要件を満たす労働者について、通報したことを理由に使用する事業者が行った解雇は無効になります。ただし、内部通報の要件を満たすことと、別の通報先の要件を満たすことは分けます。
権限のある行政機関へ知らせる二つの経路
行政機関へ知らせる場合、相手は対象事実について処分や勧告等をする権限のある行政機関などです。その事実が生じた又はまさに生じようとしていると信じるに足りる相当の理由がある場合は、保護要件の一つの経路を満たします。
もう一つは、そうした事実があると考え、所定事項を記載した書面を提出する経路です。氏名や住所、事実の内容、そう考える理由、適切な措置が必要だと思う理由を記します。電子的な記録も含まれます。書面なら何を書いてもよい、どの行政窓口へ送ってもよいという意味ではありません。
その他の外部へ知らせるときは追加の事情が要る
その他の外部の相手は、違反の発生や被害の拡大を防ぐために、通報することが必要と認められる者です。不特定の相手への公開投稿が、いつでもこの範囲に入るとは限りません。
この経路では、対象事実を信じるに足りる相当の理由に加え、法が定める追加の事情が必要です。たとえば、内部通報をすれば証拠が隠滅されるおそれがあると信じるに足りる相当の理由がある場合や、内部に書面で通報して20日たっても調査を行う旨の通知がない場合などがあります。
追加の事情にはほかにも条件があります。いずれかの要件を満たすかを確かめるのであって、内部への通報を先に行うことが、すべての外部通報に共通して必要なわけではありません。
通報を理由とする解雇や降格を区別する
保護要件を満たす通報を理由とする解雇の無効に加え、降格、減給、退職金の不支給などの不利益な取扱いも禁止されています。通報の内容や相手だけでなく、その通報を理由として不利益を受けたかが問題になります。
派遣労働者には派遣先の契約解除や交代要求についての規定もあります。役員の報酬減額等と解任、公務員の免職等は、それぞれの規定を分けて見ます。また、この法律の要件に当たらないからといって、他の法律による保護まで全くないとは限りません。
同じ情報でも、知らせる相手を変えると条件が変わる
架空の例
製造会社で働くAさんが、公益通報の対象となる違反が生じたと考え、不正な目的なく会社の内部窓口へ知らせたとします。まず内部通報の要件を見て、会社による解雇がその通報を理由としているかを確かめます。
同じ内容を行政機関へ送る場合は、その機関に処分や勧告等の権限があるか、相当の理由又は所定書面のどちらの経路を満たすかが問題です。さらにその他の外部へ知らせるなら、相手の範囲と追加の事情が必要です。内容が同じだから、通報先を変えても要件は同じとはいえません。
持ち帰る見方
- 対象者と対象事実を確認し、通報先ごとに保護要件を分ける。
- 要件を満たす通報を理由とする解雇や不利益な取扱いかを確かめる。
次に広がる疑問
- 職場の相談一般と、公益通報の対象事実を分ける
- 公務員の立場に関わる法と義務を読む
- 通報内容と不利益取扱いの事情を資料で確かめる
出典
公益通報者保護法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/416AC0000000122_20260717_508AC0000000062
確認日:2026-10-05
本文の出典・補足
誰が、何について知らせるかを確かめる
公益通報は、労働者、一定の退職者、派遣労働者等又は役員が不正目的でなく、役務提供先等について通報対象事実が生じ又はまさに生じようとしている旨を、法定の通報先へ伝えるものをいう。
- 対象
- 日本、2026年10月5日時点。公益通報者保護法(2026年7月17日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
- 条件
- 労働者等について通報日前1年以内に使用/役務提供等の関係があった者を含む。通報対象事実は同法及び別表掲載法律の犯罪行為/過料理由事実等、2条3項の限定。
- 例外・限界
- あらゆる労働不満や倫理的疑問が直ちに通報対象事実とは限らない。役員の保護条件は6条で異なり、本稿の通報先要件比較は主に労働者について行う。将来施行の保護範囲を現行へ混ぜない。
公益通報者保護法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/416AC0000000122_20260717_508AC0000000062
内部の窓口へ知らせるときの条件
労働者が通報対象事実が生じ又はまさに生じようとしていると思料し、役務提供先又はそのあらかじめ定めた者に公益通報した場合、その通報を理由とする使用事業者の解雇は無効となる。
- 対象
- 日本、2026年10月5日時点。公益通報者保護法(2026年7月17日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
- 条件
- 2条の公益通報定義を満たすことに加え、3条1号の内部通報先・思料の要件。
- 例外・限界
- 内部通報のこの要件を行政機関/その他外部通報へそのまま広げない。単なる不正目的の虚偽通報とは分ける。
公益通報者保護法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/416AC0000000122_20260717_508AC0000000062
権限のある行政機関へ知らせる二つの経路
処分又は勧告等の権限を持つ行政機関等への労働者の公益通報は、通報対象事実について信じる相当の理由がある場合、又は思料して法定事項を記載した書面を提出する場合に、3条2号の保護要件を満たす。
- 対象
- 日本、2026年10月5日時点。公益通報者保護法(2026年7月17日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
- 条件
- 書面経路は氏名/名称、住所/居所、事実内容、思料する理由、適切な措置が必要と思う理由を記載。電子記録も含む。
- 例外・限界
- どの行政窓口でも同一とはしない。書面があれば理由等を書かなくても足りる、又は行政機関通報には常に真実相当性だけ必要、と断定しない。
公益通報者保護法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/416AC0000000122_20260717_508AC0000000062
その他の外部へ知らせるときは追加の事情が要る
被害拡大防止等に必要と認められるその他の外部の者への労働者の公益通報では、信じる相当の理由に加え、不利益取扱いのおそれ、証拠隠滅のおそれ、通報者特定情報漏えいのおそれ、正当理由のない通報禁止要求、内部書面通報後の調査不対応、急迫した危険等のいずれかの法定事情が必要となる。
- 対象
- 日本、2026年10月5日時点。公益通報者保護法(2026年7月17日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
- 条件
- 3条3号イ–ヘを具体的に区別。ホは内部書面通報から20日経過しても調査を行う旨の通知なし、又は正当理由なしに調査しない場合。ヘの財産損害には対象者/回復不能又は著しく多数の個人の多額損害等の条件。
- 例外・限界
- 外部の相手も2条定義の範囲。不特定の公開投稿先が常に必要な者とは判定しない。内部通報を経ることを全外部経路共通の要件としない。
公益通報者保護法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/416AC0000000122_20260717_508AC0000000062
通報を理由とする解雇や降格を区別する
要件を満たす労働者の公益通報を理由とする解雇は無効となり、使用事業者は降格・減給・退職金不支給等の不利益取扱いもしてはならない。派遣先の契約解除/交代要求、役員の報酬減額等にも、それぞれの規定がある。
- 対象
- 日本、2026年10月5日時点。公益通報者保護法(2026年7月17日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
- 条件
- 3–5条の主体/通報要件に従う。役員の不利益禁止は6条の条件を満たす通報を対象。
- 例外・限界
- 役員の解任は5条3項の禁止から除かれ、6条には損害賠償の条件がある。公務員の免職等は9条で関係公務員法による。法要件外だから他法の保護もないとはしない(8条)。
公益通報者保護法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/416AC0000000122_20260717_508AC0000000062