社会保障
年金を受け取りながら働くと、年金は全部止まる?
働いたという理由だけで、年金が全部止まるわけではありません。在職老齢年金では、対象となる賃金と老齢厚生年金の基本月額を合算し、基準を超えた部分に応じて調整します。老齢基礎年金はこの調整で減りません。2026年度の基準額は月65万円です。
基本の用語
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、同じ年金でも別の部分です。在職老齢年金は、働きながら受け取る老齢厚生年金の支給額を調整する仕組みです。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 公的年金は自分の積立を返してもらう制度?公的年金は個人の積立預金の返却ではない。
賃金と厚生年金を合算する
対象となるのは、老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に加入して働く場合等です。70歳以降も厚生年金の適用事業所で働く場合には、被保険者でなくても在職による支給停止の対象となることがあります。年齢だけで調整の有無を決めません。
計算に使う基本月額は、加給年金を除いた老齢厚生年金の報酬比例部分の月額です。一方の総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額に、直近1年間の標準賞与額の合計を12で割って加えた額です。毎月の手取りと年金全額を足す計算ではありません。
賞与がある人は、月給が同じでも総報酬月額相当額が違い得ます。また70歳以上は標準報酬に相当する額等を用います。給料だけ、直近の振込額だけを見ず、制度が合算する賃金と年金の範囲をそろえます。
基準を超えた部分で調整する
2026年度は、基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下なら全額支給です。超える場合は、超過額の半分を基本月額から差し引きます。少し超えた途端に対象の年金が全部ゼロになるという境目ではありません。
計算結果がマイナスになる場合は、老齢厚生年金は加給年金を含めて全額支給停止となります。一部の停止か全部の停止かは、対象の額を計算して確認します。基準額を超えたという情報だけでは、実際に止まる額まで分かりません。
65万円は2026年度の値で、基準額は毎年度、賃金の変動に応じて改定されます。昔の案内の基準を今年へ使ったり、今年の数字を将来へ固定したりしません。給与等の変化がどの月の計算へ反映するかも合わせて確認します。
基礎年金と今後の加入を分ける
老齢基礎年金と経過的加算額は、この在職老齢年金の調整では全額支給です。厚生年金の停止があっても、公的年金のすべてが同じように止まるわけではありません。何の年金のどの部分かを分けて読むと、報道の「減額」の範囲が分かります。
働いて厚生年金に加入した期間が、後の年金額へ反映される仕組みもあります。65歳以上70歳未満の加入者には、9月1日在籍等の条件に応じ、10月分から再計算する在職定時改定があります。今年の支給停止と、加入期間による年金額の改定は別の動きです。
70歳以上の勤務期間は厚生年金の加入期間として年金額へ反映しません。また、受給開始を遅らせる繰下げとも別の制度です。働くかどうかを比べる際には、賃金、支給される年金、保険料等を分け、停止額だけを給与全体の損得と同じにしないことが大切です。
2026年度の基準を使う架空の計算
基本月額10万円、総報酬月額相当額60万円なら、合計70万円です。2026年度基準65万円との差5万円の半分、2.5万円が基本月額から差し引かれ、計算上の支給月額は7.5万円となります。加給年金や税などは省いています。
老齢基礎年金が別にあるなら、その額をこの70万円に混ぜて同じ停止計算をしません。例の数字は、基準を5万円超えた場合の構造を示すもので、本人の手取りや総収入を確定するものではありません。
持ち帰る見方
- 基本月額と総報酬月額相当額という、決められた二つの額を合算する。
- 年度の基準を超えた部分で停止額を計算する。
- 老齢基礎年金の支給と、加入による年金改定を分ける。
次に広がる疑問
- 標準報酬月額は、給与明細の手取りと同じ?
- 受給開始を遅らせる仕組みは、働く間の調整とどう違う?
順番に読んでいる方へ
出典
在職老齢年金の計算方法(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
賃金と厚生年金を合算する
在職老齢年金は老齢厚生年金の基本月額と、標準報酬月額+直近1年標準賞与額合計÷12の総報酬月額相当額により支給停止を計算する。
- 対象
- 厚生年金加入等で就労中の老齢厚生年金
- 条件
- 基本月額は加給年金を除く報酬比例部分。
- 例外・限界
- 70歳以降も適用事業所勤務では停止対象の場合。給与手取りではない。
在職老齢年金の計算方法(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html
基準を超えた部分で調整する
2026年度は合計65万円以下なら全額支給、超える場合は超過額の半分を基本月額から減じ、計算額がマイナスなら老齢厚生年金等は全額停止。
- 対象
- 2026年度の在職老齢年金
- 条件
- 対象賃金・年金額を月額へそろえる。
- 例外・限界
- 基準額は毎年度賃金変動で改定。加給年金の停止等も別条件。
在職老齢年金の計算方法(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html
基礎年金と今後の加入を分ける
老齢基礎年金と経過的加算額は在職老齢年金で全額支給。65〜70歳の加入期間は条件に応じ在職定時改定等で年金額へ反映される。
- 対象
- 老齢基礎年金と厚生年金の改定
- 条件
- 9月1日在籍等の条件と反映時期を確認。
- 例外・限界
- 70歳以上は厚生年金の加入期間として反映しない。
在職老齢年金の計算方法(日本年金機構)https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/roureinenkin/zaishoku/20150401-01.html