経済の基礎
みんなが順序を付けても、多数決の結果が一つに決まらない?
各人の希望順位が変わらなくても、二案ずつの多数決が循環することがあります。その場合、最初にどの二案を対決させるかで最終案が変わり、多数決の勝者を一つの固定した集団順位とみなせません。
基本の用語
三人が三つの案へ順位を付け、同じ三人が二案ずつ一人一票で選ぶモデルを考えます。選挙区や議席配分の問題とは分けて、案の比較順序に注目します。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 選挙の一票は、どのように政治へ届く?代表を選ぶ仕組みと限界
個人の順位と、多数の順位は同じではない
甲はA、B、Cの順に好み、乙はB、C、A、丙はC、A、Bの順に好むとします。甲はAをBより、BをCより好み、AとCでもAを選びます。乙と丙も、自分の最上位を最下位より好んでおり、一人一人の順位には矛盾がありません。以下の対決でも、この順位に沿って票を投じると置きます。
ところがAとBを比べると甲と丙がAへ投票するのでAが勝ちます。BとCでは甲と乙がBを選び、CとAでは乙と丙がCを選びます。二対一の多数が、AはBより上、BはCより上、CはAより上という輪を作ります。
全ての対決に勝つ案がない場合
この三案には、残りのどの案と比べても勝つ案がありません。AがBに勝ったことから、AがCにも勝つとはいえず、Bに対する勝利だけを根拠に集団の最上位と呼べない状態です。
これは勝者を決める手続きが不可能だという意味ではありません。例えば二段階の対決で一案を選べます。ただし、その勝者は全ての二案比較で他案を上回る案とは限りません。選べたことと、一貫した順位を得たことを分けます。
先に対決させる二案によって、最後に残る案が変わる
最初にAとBを比べて勝ったAをCと比べれば、最後はCが勝ちます。最初にBとCを比べ、勝ったBをAと比べれば、最後はAが勝ちます。途中で誰の希望も変わっていないのに、対決の順序で結果が変わります。
三案以上がある全ての多数決で、この循環が起こるわけではありません。この例からわかるのは、順序の決め方が結果に関わりうることです。実際の投票を評価するときも、案の並べ方や採用手続きを、票数と分けて確認します。
- 甲
A → B → C の順に好む
- 乙
B → C → A の順に好む
- 丙
C → A → B の順に好む
各人の順位は固定。二案比較ではAがB、BがC、CがAに二対一で勝ちます。
同じ三人で、対決順だけを変える
架空の例
三人でA・B・Cの会場候補を選び、甲はA>B>C、乙はB>C>A、丙はC>A>Bの順に好むと置きます。A対Bの勝者AをCと比べる手続きならC、B対Cの勝者BをAと比べる手続きならAが選ばれます。
C対Aの勝者CをBと比べればBが選ばれます。どの最終案も二対一で勝っていますが、別の案との比較では負ける相手があります。希望の強さや費用を測る例ではなく、順位と多数決の順序だけを比べています。
持ち帰る見方
- 個人の一貫した順位から、集団の一貫した順位が必ず得られるわけではない。
- 循環する場合は、同じ投票者でも対決順が最終案を変える。
次に広がる疑問
- 代表を選ぶ選挙の仕組みを読む
- 参加者の選択と手続きを分けて考える
- 多数の勝敗と、各人の状況の改善を分ける
出典
Principles of Microeconomics 3e, 18.3 Flaws in the Democratic System of Government(OpenStax, Rice University)https://openstax.org/books/principles-microeconomics-3e/pages/18-3-flaws-in-the-democratic-system-of-government
確認日:2026-10-05
本文の出典・補足
個人の順位と、多数の順位は同じではない
各人が矛盾のない順位を付けても、集団の二案ずつの多数決ではAがBに勝ち、BがCに勝ち、CがAに勝つ循環が起こりうる。
- 対象
- 三者が三案に厳密な順位を付け、二案ずつ多数決するモデル。
- 条件
- 三者の順位がA>B>C、B>C>A、C>A>Bに分かれる。
- 例外・限界
- 三つ以上の案があれば必ず循環するわけではない。
Principles of Microeconomics 3e, 18.3 Flaws in the Democratic System of Government(OpenStax, Rice University)https://openstax.org/books/principles-microeconomics-3e/pages/18-3-flaws-in-the-democratic-system-of-government
全ての対決に勝つ案がない場合
多数決の循環では、どの案にも二案比較でそれを上回る別の案がある。その条件では、一つの案を集団の一貫した最上位と呼べない。
- 対象
- 三者が三案に厳密な順位を付け、二案ずつ多数決するモデル。
- 条件
- 各案を残り二案と同じ投票者・順位で比べる。
- 例外・限界
- 一回の投票で勝者を決められないという意味ではない。採用する手続によって最終案を決められる。
Principles of Microeconomics 3e, 18.3 Flaws in the Democratic System of Government(OpenStax, Rice University)https://openstax.org/books/principles-microeconomics-3e/pages/18-3-flaws-in-the-democratic-system-of-government
先に対決させる二案によって、最後に残る案が変わる
三案から二案を先に比べ、その勝者を残りの案と比べる手続では、循環する順位の下で対決の順序が最終結果を変える。
- 対象
- 三者が三案に厳密な順位を付け、二案ずつ多数決するモデル。
- 条件
- 途中で投票者の順位は変わらず、二段階の勝者を採用する。
- 例外・限界
- 順序依存の例だけで、現実の全ての投票を無意味と評価することはできない。
Principles of Microeconomics 3e, 18.3 Flaws in the Democratic System of Government(OpenStax, Rice University)https://openstax.org/books/principles-microeconomics-3e/pages/18-3-flaws-in-the-democratic-system-of-government