国際関係

国どうしが合意すれば、国際法のどんな規則も変えられる?

国が合意しても逸脱を許されない「強行規範」があります。締結時にそれに抵触する条約は無効で、後から新しい強行規範が成立した場合には、抵触する既存条約が無効となり終了します。規範の地位、抵触する時点、その後の効果を分けて読みます。

基本の用語

条約は当事国の合意ですが、すべての国際法規則を自由に外せるわけではありません。ここではウィーン条約法条約第53・64・71条による、条約と強行規範の関係を説明します。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

合意で外せない規範がある

第53条の定義では、強行規範は国家の国際社会全体によって受け入れられ、認められた一般国際法の規範です。その規範からの逸脱は許されず、同じ性質を持つ後の一般国際法規範によってのみ変更できます。

ある規則に多くの国が賛成した、重要な目的を掲げているという情報だけで、この地位を確定しません。法として成立しているかという問いに加えて、逸脱を許さない規範として受け入れられ認められているかを確かめる必要があります。

そのため慣習法の一般慣行と法的確信を確認する話と、強行規範の地位を確認する話は関連しても同じではありません。当事国が特定の規則を外すと合意した事実は、その規則が強行規範かどうかの答えにはなりません。

抵触した時点を分ける

条約を締結した時点ですでに強行規範へ抵触する場合、第53条はその条約を無効とします。後で政策の優先順位が変わったためやめたいという話ではなく、締結時の条約の内容と規範との抵触を扱います。

第64条は、後から新しい強行規範が成立する場合を扱います。それに抵触する既存の条約は無効となり終了します。締結時に抵触していた場合と、後に新しい規範が成立した場合では、時間関係が違います。

報道では、どの規範が問題で、いつ強行規範として成立したとされ、条約のどの内容と抵触するかを対応させます。「新しい国際ルールができた」という見出しだけで、既存条約がすべて無効になるわけではありません。

無効になった後の関係も読む

第71条は無効となった後の効果も区別します。第53条の場合、当事国は抵触する規定を信頼して行った行為の結果を可能な限り取り除き、相互の関係を強行規範に合致させる必要があります。無効と言うだけで対応が終わる制度ではありません。

第64条の後発規範の場合は、それ以降の履行義務から解かれます。終了前の実施から生じた権利・義務・法的状態への影響も区別しますが、維持できるのは、その維持自体が新しい強行規範に抵触しない範囲です。過去の状態が無条件に保護されるとはいえません。

個別の事件を判断するには規範の地位と抵触の根拠、関係国に適用される手続が必要です。ここでは特定の行為の適法性や規範の一覧を確定せず、締結時と後発の違いから、必要な調査項目を整理します。

強行規範への抵触と時間
  • 締結時に抵触

    第53条の無効と第71条1項の対応

  • 後から規範が成立

    第64条の無効・終了と第71条2項の効果

  • 確認の前提

    規範の地位と具体的な抵触を確かめる

政策の変更だけで強行規範の成立や条約の無効を判定する図ではありません。

規範が成立した時点を比べる

A・B国の架空の条約の条項が、ある強行規範と抵触すると仮定します。その規範が締結時すでに存在したという設定と、後に新たに成立したという設定を分けます。

前者は第53条と第71条1項、後者は第64条と第71条2項の問題です。条約が無効という同じ言葉でも、行為の結果を除く対応や、過去の状態を維持できる範囲を同じ扱いにしません。

持ち帰る見方

  • 強行規範の地位と条約の抵触を別々に確かめる。
  • 締結時と後発では、その後の法的効果も分ける。

次に広がる疑問

  • 条約に書かれていない規則も、国際法になる?
  • 条約に入った国でも、一部の条項を適用しないことがある?
  • 脅されて結んだ条約も、署名があれば有効になる?

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出典

  • Vienna Convention on the Law of Treaties(国連国際法委員会(条約本文))https://legal.un.org/ilc/texts/instruments/english/conventions/1_1_1969.pdf

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

合意で外せない規範がある

強行規範は国家の国際社会全体が受け入れ認め、逸脱を認めず同性質の後の一般国際法規範のみで変更できる規範である。

対象
1969年条約の基本規定。第4条の時間的適用による:第53条
条件
国家の国際社会全体に受け入れ認められ、逸脱が許されず同性質の後の規範のみで変更できるという第53条定義。
例外・限界
政策目標・多数国の賛成のみで強行規範と確定しない。第71条の締結時と後発で効果を分ける。
  • Vienna Convention on the Law of Treaties(国連国際法委員会(条約本文))https://legal.un.org/ilc/texts/instruments/english/conventions/1_1_1969.pdf

抵触した時点を分ける

締結時に強行規範に抵触する条約は無効。後に新しい強行規範が成立すれば、それに抵触する既存条約は無効となり終了する。

対象
1969年条約の基本規定。第4条の時間的適用による:第53・64条
条件
国家の国際社会全体に受け入れ認められ、逸脱が許されず同性質の後の規範のみで変更できるという第53条定義。
例外・限界
政策目標・多数国の賛成のみで強行規範と確定しない。第71条の締結時と後発で効果を分ける。
  • Vienna Convention on the Law of Treaties(国連国際法委員会(条約本文))https://legal.un.org/ilc/texts/instruments/english/conventions/1_1_1969.pdf

無効になった後の関係も読む

締結時の抵触では抵触条項を信頼した行為の結果を可能な限り除き、関係を規範に合致させる。後発規範の場合は従前の法的状態の維持が新規範に抵触しない範囲に限られる。

対象
1969年条約の基本規定。第4条の時間的適用による:第71条
条件
国家の国際社会全体に受け入れ認められ、逸脱が許されず同性質の後の規範のみで変更できるという第53条定義。
例外・限界
政策目標・多数国の賛成のみで強行規範と確定しない。第71条の締結時と後発で効果を分ける。
  • Vienna Convention on the Law of Treaties(国連国際法委員会(条約本文))https://legal.un.org/ilc/texts/instruments/english/conventions/1_1_1969.pdf