数字と報道

死亡数が多い地域は、年齢構成を考えても危険?

死亡数だけでは分かりません。標準化死亡比(SMR)は、標準の年齢別死亡率を地域の人口へ当てはめた期待死亡数と、実際の死亡数を比べる指標です。ただしSMR同士の差にも人口構成による重みが残り、原因を直接示す数字ではありません。

基本の用語

年齢構成が違う地域を比べるとき、人数を人口で割るだけでは同じ条件の比較にならない場合があります。SMRは、地域の年齢別人口を使って「標準の死亡率だったら何人か」という比較の基準を作ります。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

死亡数と年齢構成を分ける

死亡数は人口規模にも年齢構成にも左右されます。死亡数を人口で割った粗死亡率なら規模の違いは調整できますが、年齢別の死亡率が違うときには、年齢構成の違いが全体の率に反映されます。

同じ期間、同じ死因、同じ男女の区分などをそろえた上で、年齢ごとの人口と死亡状況を見ます。高齢者が多い地域の粗死亡率が高いことだけから、その地域の環境や政策が死亡を増やしたとは決められません。

標準の率を当てはめて期待死亡数を求める

標準の年齢別死亡率を、対象地域の各年齢階級の人口へ掛けて合計します。これが期待死亡数です。実際に今後必ず起きる死亡を予言した数ではなく、標準の率を当てはめた比較用の数です。人口10万人当たりの率なら、その単位を換算して掛けます。

厚生労働省のここで使う表記では、SMR=実際の死亡数÷期待死亡数×100です。期待数が正であることを前提に、100なら両者が同じ、120なら実際の数が期待数の1.2倍です。120%の住民が死亡したという意味ではありません。

直接調整とSMRで、そろえる側が違う

直接年齢調整では、地域の年齢別死亡率を、共通の標準人口構成で平均します。地域の率を使い、人口の重みをそろえる方法です。対してSMRは、共通の標準死亡率を各地域の人口へ当てはめます。

そろえる側が違うため、直接調整した死亡率と、100を基準とするSMRを同じ単位の数字として並べることはできません。どちらを用いたか、標準の人口又は率、期間や年齢区分が何かを確かめて比較します。

SMR同士の差は、重みも確かめる

SMRを年齢別の「地域率÷標準率」の平均として書き直すと、重みは各年齢の期待死亡数が全期待死亡数に占める割合になります。地域の人口構成が変われば、この重みも変わります。

年齢別の地域率が全て標準率の同じ倍率なら、SMRはその倍率の100倍になり、この重みの差は消えます。しかし倍率が年齢で異なるときには、同じ年齢別の地域率を持つ二地域でもSMRが違い得ます。SMRの大小だけを全住民に共通する危険や因果の差として読むのは避けます。

年齢比較で共通にするものを分ける
  • 直接年齢調整

    地域の年齢別率を、共通の人口構成で平均する。

  • SMR

    共通の標準率を地域人口へ掛け、観測数と期待数を比べる。

同じ期間・死因・性別などを対応させる。率と100基準の比は別の単位。

年齢別の率が同じ二地域を比べる

架空の例

二つの年齢階級について、標準死亡率を1%と10%、二地域に共通の実際の率を2%と10%と置きます。人口が900人と100人の地域では、期待数は9+10=19人、実際の数は18+10=28人で、SMRは約147.4です。

もう一地域の人口が100人と900人なら、期待数は1+90=91人、実際の数は2+90=92人で、SMRは約101.1です。各年齢の率は同じでも、標準に対する倍率が2倍と1倍で異なり、期待数の重みが違うため値が変わります。

持ち帰る見方

  • SMRは、標準の年齢別率から求めた期待死亡数と、実際の死亡数との比です。
  • SMR同士を比べるときも、年齢別の倍率と期待死亡数の重みを確かめます。

次に広がる疑問

  • 集団の構成が全体の割合を変える仕組みを読む
  • 高齢化と人口構成の変化を読む
  • 死亡状況から平均寿命を作る方法を読む

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出典

  • 標準化死亡比(SMR)(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/rouken/tdfk-d2/smr.html

    確認日:2026-10-05

  • CDC WONDER Underlying Cause of Death: Age-Adjusted Rates(米国疾病予防管理センター(CDC)/National Center for Health Statistics)https://wonder.cdc.gov/wonder/help/ucd.html

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

死亡数と年齢構成を分ける

死亡率は年齢によって異なるため、年齢構成の違う地域の死亡数や粗死亡率だけで、同じ条件の死亡状況を比べたとはいえない。

対象
同じ期間・死因・男女などの定義による地域比較。
条件
同じ人口規模でも年齢構成が異なれば死亡数や粗死亡率が変わりうる。
例外・限界
年齢をそろえた比較だけで、特定の環境や政策が死亡の原因だと決められない。
  • 標準化死亡比(SMR)(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/rouken/tdfk-d2/smr.html

  • CDC WONDER Underlying Cause of Death: Age-Adjusted Rates(米国疾病予防管理センター(CDC)/National Center for Health Statistics)https://wonder.cdc.gov/wonder/help/ucd.html

標準の率を当てはめて期待死亡数を求める

SMRは、標準の年齢別死亡率を対象地域の年齢別人口へ当てはめた期待死亡数と、実際の死亡数との比である。厚生労働省のこの表記では、実際の死亡数÷期待死亡数を100倍し、100を基準とする。

対象
間接標準化によるSMR。100を基準とする比の表示。
条件
期待死亡数は年齢別人口×標準の年齢別死亡率を合計し、期間・性別・死因・単位を対応させる。期待死亡数は正とする。
例外・限界
100は死亡した人の割合が100%という意味ではない。100を超えると期待死亡数より実際の数が多い。
  • 標準化死亡比(SMR)(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/rouken/tdfk-d2/smr.html

直接調整とSMRで、そろえる側が違う

直接年齢調整は、対象地域の年齢別死亡率を共通の標準人口構成で平均する。SMRでは標準の年齢別死亡率を対象地域の人口へ当てはめるため、標準とする側が異なる。

対象
直接法と間接法の統計的な比較。
条件
直接法では同じ年齢区分・標準人口の重みを使い、SMRでは同じ標準死亡率を使う。
例外・限界
直接調整死亡率は率の指標、100基準のSMRは観測数と期待数の比であり、数値の単位を同じにしない。
  • 標準化死亡比(SMR)(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/rouken/tdfk-d2/smr.html

  • CDC WONDER Underlying Cause of Death: Age-Adjusted Rates(米国疾病予防管理センター(CDC)/National Center for Health Statistics)https://wonder.cdc.gov/wonder/help/ucd.html

SMR同士の差は、重みも確かめる

年齢別の実際の死亡率を標準死亡率で割った比が年齢によって異なる場合、SMRは地域の年齢構成によっても変わる。共通の標準率を使ったSMR同士でも、年齢別の率が同じ二地域の値が一致するとは限らない。

対象
SMRの算式から導かれる年齢別の比の加重平均。
条件
各年齢の標準死亡率を正とし、D=年齢別人口×地域の年齢別率の合計。重みは各年齢の期待死亡数が全期待死亡数に占める割合。
例外・限界
全ての年齢で地域率が標準率の同じ倍率なら、SMRはその倍率の100倍で、年齢構成によるこの差は生じない。
  • 標準化死亡比(SMR)(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/rouken/tdfk-d2/smr.html