経済の基礎

二つの商品を一社で作ると、なぜ費用を節約できることがある?

違う商品を一緒に作り、設備や知識を共通で使うと、別々に作るより費用を節約できることがあります。これが範囲の経済です。一つの商品を大量に作る規模の経済とは違い、同じ数量・品質の商品を、共同で作る費用と分けて作る費用で比べます。

基本の用語

比較するのは費用の合計です。大きい会社、たくさんの商品を扱う会社というだけで、範囲の経済があるとは決まりません。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

量を増やす節約と、種類をまとめる節約

規模の経済は、ある商品の生産量を増やすと、一個あたりの費用が下がる関係を考えます。これに対して範囲の経済は、商品Aと商品Bを一緒に作る場合と、別々に作る場合を比べます。商品の種類を組み合わせることが論点なので、「二種類作る方が会社は大きい」という説明では区別できません。

例えばAを100個、Bを100個作るために、別々なら合計200万円、一緒なら160万円で済むという条件を置けます。比べた両方でAとBの数量・品質をそろえる必要があります。共同生産で片方の品質を下げたり、数量を減らしたりしたなら、低い費用だけで節約を判断することはできません。

規模の経済と範囲の経済は、一方があれば他方もあるとは限りません。Aだけを増産すると単価が下がっても、Bと組み合わせると設備の切替えが増えて費用が高くなる設定を置けます。逆に、単一商品では単価が変わらなくても、異なる商品で共通の費用を利用できる設定があります。この違いを確かめるには、比較前後で何を変えたかを書きます。Aの数量だけを変えたのか、AとBの一定数量をまとめて作る形へ変えたのかで、使っている概念が違います。

共通の設備や知識を、二つの商品で使う

共同生産の節約を考える入口は、何を共通に使えるかです。二つの商品のために同じ設備を別々に置く代わりに一台を使える場合や、同じ知識を異なる商品へ使える場合を、架空の設定として考えられます。それぞれに必要な費用を完全に二重に払わずに済むことが、節約の候補です。

COREの教材は、大学が学部教育、大学院教育、研究という複数の成果を一緒に生む例で、この概念を説明しています。ここで大切なのは、共通の活動を持つ複数の成果を比較することです。すべての大学や企業でどれだけ費用が下がるかは、定義だけから分かりません。現実の節約額には、投入と成果の測定が必要です。

まとめる費用も入れて比較する

共同で使う設備があっても、二つの業務の日程が重なれば容量を増やす必要があるかもしれません。商品ごとの判断を調整する人員も必要です。こうした費用を共同生産側から除けば、比較が有利な方へ偏ります。実際に同じ成果を作るために必要な費用の合計を対応させます。

会社が商品を増やすニュースでは、単に売上の種類が増えたことと、共同で作る費用が減ったことを分けます。いろいろな事業を持つことは、収入やリスクの組合せという別の目的にも関わりえます。それだけで範囲の経済の証拠にはなりません。どの設備・知識・作業を共有し、共有に伴う費用がいくら増えたかを見るのが、この概念の使い方です。

同じ数量・品質のAとBを作る架空の比較
  • 別々に作る

    検査設備100万円+他の費用120万円=220万円

  • 一緒に作る

    検査設備50万円+他の費用120万円+調整費20万円=190万円

共同生産の管理費を含めて比較します。

架空の二つの食品を、共同で作る

食品AとBを、それぞれ決まった数量・品質で作るとします。別々に検査設備を置けば、設備費が各50万円、商品ごとの他の費用が各60万円で、合計は220万円です。

一緒に作ると一組50万円の検査設備を共有でき、他の費用120万円に調整費20万円が加わるなら、合計190万円。節約は30万円です。ただし調整費が60万円になれば合計230万円で、分けた方が10万円安くなります。共有する設備があることと、最終的に安いことは同じではありません。

持ち帰る見方

  • 規模は同じ商品の量、範囲は異種商品の組合せによる費用を問う。
  • 同じ成果で比べ、共有の節約と追加の調整費を両方数える。

次に広がる疑問

  • 社内に工程をまとめる判断は、商品の種類を増やす判断とどう違うだろう?

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出典

  • The Economy 1.0, Unit 7: The firm and its customers(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/07.html

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

量を増やす節約と、種類をまとめる節約

範囲の経済は、二つ以上の商品を別々の企業で作る場合より共同生産費用が小さいことをいう。

対象
§7.3 Production: The cost function、economies of scope 定義と大学の例
条件
同じ数量・品質の異種商品を共同生産する費用と別々の費用を比較。
例外・限界
単一商品の生産量増加である規模の経済と区別。共通投入の存在だけで費用節約を断定しない。
  • The Economy 1.0, Unit 7: The firm and its customers(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/07.html

共通の設備や知識を、二つの商品で使う

単一商品を増やす規模の経済と、異種商品の共同生産費用比較は違う概念である。

対象
§7.3 Production: The cost function、economies of scope 定義と大学の例
条件
同じ数量・品質の異種商品を共同生産する費用と別々の費用を比較。
例外・限界
単一商品の生産量増加である規模の経済と区別。共通投入の存在だけで費用節約を断定しない。
  • The Economy 1.0, Unit 7: The firm and its customers(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/07.html

まとめる費用も入れて比較する

費用節約の有無は同じ数量と品質の共同費用と分離費用を比べて判断し、管理費を除外して結論しない。

対象
§7.3 Production: The cost function、economies of scope 定義と大学の例
条件
同じ数量・品質の異種商品を共同生産する費用と別々の費用を比較。
例外・限界
単一商品の生産量増加である規模の経済と区別。共通投入の存在だけで費用節約を断定しない。
  • The Economy 1.0, Unit 7: The firm and its customers(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/07.html