数字と報道

公表された研究だけを集めると、効果が大きく見える?

公表されやすさが結果の向きや大きさに依存すると、公表研究だけの一覧は研究全体を偏って表すことがあります。何本あるかに加え、登録された研究や報告されなかった結果がないかを調べます。見えない研究があるだけで、偏りの向きや量が確定するわけではありません。

基本の用語

研究をまとめるには、同じ問いに答える研究を選ぶ必要があります。選ばれた根拠の量と、その根拠がどのように見えるようになったかは別の問題です。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

研究が見える条件を調べる

効果が大きい研究ほど公表されやすい場合、読者が手にする研究は、実施された研究の無作為な一部ではなくなります。公表の有無だけでなく、いつ、どこで結果が示されるかによる見つけやすさも関わります。

Cochraneの方法書は、p値、効果の向き、大きさが報告の選択に関わる問題を扱っています。研究を正確に検索できても、検索できる場所に現れなかった結果は取り込めません。公表論文が多いことだけで、根拠が漏れなくそろったとはいえません。

研究丸ごとの欠落もある

見えなくなる単位は研究丸ごとの場合も、特定の結果だけの場合もあります。ある研究の報告があっても、調べたい指標の推定値や不確かさが示されていなければ、その指標の統合には使えないことがあります。

ただし、項目が載っていない理由は一つではありません。そもそも測定していなかった、機器の不具合で測れなかったという場合もあります。欠落を見つけたら、計画や方法の記述と照合し、都合の悪い結果だから隠されたと直ちに決めません。

公表論文の外も確かめる

研究登録や研究計画、規制機関の資料など、公表論文以外の場所にも情報があります。登録に存在する研究が最終報告にないか、計画した結果が別の結果へ変わっていないかを確認する材料になります。

登録の最新版だけでなく、計画変更があったかも見ます。登録があっても結果が必ず取得できるわけではありません。不明な結果を0の効果として補うのでなく、何が利用できず、その欠落が結論へどう関わりうるかを示す必要があります。

研究の数を数える際も、一つの研究が複数の報告を持つことと、複数の独立した研究があることを混同しないよう、どの研究とどの結果を探しているかを決めます。論文の一覧を完成させることと、適格研究の結果をそろえることを分けて考えます。

図の非対称は原因の確定ではない

小規模研究の結果が大規模研究より一方へ寄る図は、報告偏りを疑う手がかりになります。効果と推定精度などを並べるfunnel plotの非対称として検討されますが、その形だけで原因は決まりません。

対象や実施方法の違いによる真の効果の差、研究の方法上の偏り、偶然などでも非対称になりえます。図を一枚見て欠けた研究の数や真の効果を決めず、研究の登録・計画・選定の記録と合わせて読みます。

利用できない結果があったら、報告されなかった理由が分かるかを確認します。結論が変わらないと決め付けることも、必ず逆転すると決め付けることも避け、どの欠落が統合する問いに関係しているかを明確にします。

架空の例:見えている3本と残る7本

同じ問いの研究が10本行われ、大きい効果の3本だけが公表されたとします。公表された3本を正確に平均しても、計算が正しいことと、10本全体を表すことは同じではありません。

残る7本の結果が分からなければ、全10本の平均は求まりません。未公表という理由で効果0とも、逆方向の効果とも置けません。登録等から残る研究を特定し、利用できる結果と不明な結果を分けることが次の確認になります。

持ち帰る見方

  • 公表された本数と、実施された研究の範囲を分ける。
  • 研究全体と特定の結果の欠落を点検する。
  • 図の非対称だけで報告偏りを確定しない。

次に広がる疑問

  • 登録された適格研究のうち、結果が見つからないものはあるか。
  • 報告されていない指標は、元の計画で測る予定だったか。

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出典

  • Cochrane Handbook Chapter 13: Missing evidence(Cochrane)https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-13

    確認日:2026-10-05

本文の出典・補足

研究が見える条件を調べる

研究や結果が公表されるか、公表までの時間や場所が、p値・効果の方向・大きさに依存すると、利用できる研究は研究全体を偏って表しうる。

対象
介入研究の体系的レビュー。
条件
結果と報告の選択との関係を調べる。
例外・限界
公表されていない研究があることだけで偏りの方向は確定しない。
  • Cochrane Handbook Chapter 13: Missing evidence(Cochrane)https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-13

研究丸ごとの欠落もある

研究全体の報告が欠ける場合と、一研究の特定の結果が欠ける場合の両方が、統合で使える根拠を偏らせうる。

対象
報告の欠落と結果の欠落。
条件
統合する問いに適格な結果を定義する。
例外・限界
測定していない項目の欠落を結果による隠蔽と即断しない。
  • Cochrane Handbook Chapter 13: Missing evidence(Cochrane)https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-13

公表論文の外も確かめる

研究登録・研究計画・規制資料等も調べ、公表結果と照合することで、公表論文だけでは見えない適格研究や結果を確認できる場合がある。

対象
§13.2と§13.3.1.3。
条件
登録の版や変更理由、結果の利用可否も確認する。
例外・限界
登録があっても結果が必ず取得できるわけではない。
  • Cochrane Handbook Chapter 13: Missing evidence(Cochrane)https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-13

図の非対称は原因の確定ではない

小規模研究の効果が大規模研究と違うfunnel plotの非対称は報告偏りの兆候になりうるが、真の効果の違い・方法上の偏り・偶然等でも起こりうる。

対象
§13.3.4.3。
条件
図以外の情報とも照合する。
例外・限界
非対称だけから報告偏りや欠落研究の数を確定しない。
  • Cochrane Handbook Chapter 13: Missing evidence(Cochrane)https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-13