数字と報道

研究が何本もあるとき、結論は多数決で決める?

結論を研究本数の多数決で決めるのでなく、同じ問いの効果推定を、精度や統合方法の条件を考えてまとめます。研究ごとの違いや偏りが大きければ、平均を一つ出すだけでは説明できません。統合結果と個々の研究の幅を一緒に読みます。

基本の用語

効果の推定値には不確かさがあり、別の研究では対象や結果の尺度も違います。有意だった研究の本数だけでは、効果の大きさと精度は残りません。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

同じ問いの研究を選ぶ

メタ分析は、複数の研究の効果推定を統合する方法です。最初に、誰にどの介入を行い、何と比べ、どの結果を知りたいかを決めます。研究を選ぶ基準や、報告されていない結果の有無も、平均を計算する前の条件です。

同じ単位にそろえるだけで、異なる問いが同じになるわけではありません。短期の結果と長期の結果、支援の提供と実際の利用など、何の効果を推定したかを確認します。統計的な統合をしたというだけで、この違いは解決しません。

重みを付けて統合する

基本的な方法の一つは、効果推定の分散の逆数を重みにする加重平均です。標準誤差は推定値のばらつきの尺度で、その二乗が分散です。標準誤差が小さい推定は、この方法では大きな重みを持ちます。

この固定効果の説明では、各研究が同じ母効果を推定するという模型を置きます。人数をそのまま足す方法でも、一研究を常に一票と数える方法でもありません。実際の統合には他の方法もあり、効果の尺度やデータの性質に合う手順を選びます。

研究ごとの違いも読む

研究の対象、支援の内容、測定や研究方法が異なれば、推定値の違いは標本の偶然だけでは説明できないことがあります。この研究間の違いを異質性として考えます。

ランダム効果の方法は、研究が異なるけれど関連した効果を推定していると考えて統合します。しかし、研究の偏りを自動的に取り除く処理ではありません。異なるものを平均できる数学的な手順があることと、平均に意味があることを区別します。

例えば同じ就職という結果でも、支援の内容や追跡期間が大きく違うなら、一つの平均を政策の見込み値として使う理由が必要です。異質性を数字で表した後も、対象や実施の違いを言葉で確かめることは残ります。

平均の区間と効果の幅を分ける

ランダム効果で得た平均効果の信頼区間は、平均の位置の不確かさです。個々の研究の効果がどれほど広がるか、そのものを表しません。平均が精密でも、研究ごとの効果は広く異なりえます。

研究が少ない場合には、研究間の広がりの推定も不確かです。平均の値と区間に加え、個々の研究の結果、異質性、統合方法や研究選定を変えた場合の変化を読みます。平均の一つの数字だけを、どの場所でも得られる効果へ広げません。

統合表では、各研究の効果推定と区間、重み、最後の統合値を対応させて読みます。目立つ一研究だけを結論の代表にしない一方、大きな重みの研究がどんな対象や方法だったかも具体的に確認します。

架空の例:一研究一票と逆分散の重み

同じ効果を推定すると仮定した独立な2研究で、平均差がAは2点、Bは8点、標準誤差がそれぞれ1点と2点だったとします。逆分散の重みはAが1、Bが1/4です。

統合差は(1×2+0.25×8)÷1.25=3.2点です。単純平均の5点とは違います。この計算は重みの働きを示す模型で、2研究が本当に同じ効果を測ったことや、偏りがないことを証明するものではありません。

持ち帰る見方

  • 統合する問いと研究の適格条件を先に読む。
  • 本数だけでなく効果の大きさと精度を使う。
  • 平均の不確かさと、研究間の違いを分ける。

次に広がる疑問

  • 同じ結果と比較を測った研究をまとめているか。
  • 平均効果の区間と、研究間の広がりは分けて示されているか。

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出典

  • Cochrane Handbook Chapter 10: Meta-analysis(Cochrane)https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-10

    確認日:2026-10-05

本文の出典・補足

同じ問いの研究を選ぶ

メタ分析は複数研究の効果推定を統合する方法で、先に比較する問い・適格研究・データ・偏りを検討する必要がある。研究本数の多数決ではない。

対象
§10.1–10.2。
条件
比較対象と効果の尺度を対応させる。
例外・限界
研究が多いだけで妥当な統合とは限らない。
  • Cochrane Handbook Chapter 10: Meta-analysis(Cochrane)https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-10

重みを付けて統合する

固定効果の逆分散法では、各効果推定の分散の逆数を重みにして加重平均する。標準誤差が小さい推定ほど大きな重みになる。

対象
§10.3.1の基本的算式。
条件
同じ母効果という模型と、適切な推定分散を置く。
例外・限界
研究の人数だけをそのまま重みにする算式ではない。他の統合方法もある。
  • Cochrane Handbook Chapter 10: Meta-analysis(Cochrane)https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-10

研究ごとの違いも読む

研究間には対象・介入・方法の違いがありうる。ランダム効果の統合は異なる関連した効果の分布を考慮するが、研究の偏りを自動的に消すわけではない。

対象
§10.10.1/10.10.4。
条件
分布の仮定と研究間の異質性を確認する。
例外・限界
ランダム効果なら何でも一緒にまとめてよいとはならない。
  • Cochrane Handbook Chapter 10: Meta-analysis(Cochrane)https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-10

平均の区間と効果の幅を分ける

ランダム効果の平均推定の信頼区間は平均の位置の不確かさで、研究間の効果の広がりそのものではない。

対象
§10.10.4.2–3。
条件
平均区間と異質性/予測区間を区別する。
例外・限界
研究が少ないと研究間のばらつきの推定にも大きな不確かさがある。
  • Cochrane Handbook Chapter 10: Meta-analysis(Cochrane)https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-10