数字と報道
失業率が下がっても、働き足りない人は減っていない?
完全失業率だけでは、短時間で追加の仕事を望む人や、一定条件で働ける非労働力人口を捉えきれません。労働力調査のLU指標はそうした不足も段階的に扱います。ただしLU1の失業者や分母は、基本集計の完全失業率と同一ではありません。
基本の用語
就業者・失業者・非労働力人口の区分は集計方法によって違います。ここでは2018年以降の詳細集計にある未活用労働指標の定義を使います。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 働いていない人は全員、失業者に数えられる?完全失業者には活動と就業可能性の条件がある。
働いている人にも不足はある
追加就労希望就業者は、働いている人の中で週間就業時間が35時間未満、追加就労を希望する、追加就労ができる、という条件を満たす人です。働いていても、希望に比べて時間が不足する状態を扱います。
短時間就業者を全員ここへ数えるわけではありません。短い時間を希望どおり選んでいる人や、時間を増やしたくても追加就労できない人では条件が違います。就業時間だけで、望む追加の働き方まで分かるとはしません。
一人を失業者と追加就労希望就業者へ重ねて数えるわけでもありません。前者は就業していない状態、後者は就業者の内数です。この区分を押さえると、LU指標で人数を足す意味が分かります。
仕事探しの期間が違う
基本集計の完全失業者は調査週間中の求職活動等を条件にします。2018年以降の詳細集計の失業者は、1か月以内の求職活動、仕事をしていないこと、すぐに就業できることを条件にします。
詳細の失業者には完全失業者も含まれ、詳細の労働力人口は就業者と失業者の合計です。基本集計の労働力人口は就業者と完全失業者なので、同じ名称でも範囲が異なります。LU1を見出しの完全失業率と読み替えません。
求職期間を広げる変更は単なる表示名の違いではありません。比率を比較するときは、どの集計でどの期間の活動を数えたかを確認し、片方の分子をもう片方の分母へ入れて計算しないようにします。
潜在的に働ける人も別に数える
潜在労働力人口は、就業者でも失業者でもない人のうち、二つの条件付き区分を合わせます。拡張求職者は1か月以内に仕事を探し、すぐではないが2週間以内には就業できる人です。
就業可能非求職者は1か月以内に仕事を探しておらず、就業を希望し、すぐ働ける人です。仕事探しを諦めた人などが該当しえますが、非労働力人口の全員を潜在労働力へ入れるわけではありません。
希望と可能性、求職の期間を組み合わせて数える区分です。「働いていない」「働きたい」という一つの回答だけで分類できません。対象の条件を読むことで、LU指標が何を補うかが具体的になります。
LU1からLU4へ分母も読む
LU1は失業者を労働力人口で割り、LU2は分子へ追加就労希望就業者も加えます。LU3は失業者と潜在労働力人口を、労働力人口と潜在労働力人口の合計で割ります。
LU4はLU3の分子へ追加就労希望就業者も加えます。より広い不足を扱うとき分母も変わる点が大切です。全住民に占める困窮者の割合ではなく、詳細集計の条件に沿った未活用の指標です。
公式解説はLU1低下とLU2上昇が両立する場面を説明します。失業者の減少だけに注目せず、時間を追加したい就業者や潜在労働力も読むと、雇用のどの面が改善したかを分けて考えられます。
失業者が減ってLU2が上がる
架空の二時点で詳細の労働力人口をともに1000人とします。失業者が60人から40人へ、追加就労希望就業者が60人から100人へ変わるなら、LU1は6%から4%へ下がります。
LU2は(60+60)÷1000の12%から(40+100)÷1000の14%へ上がります。これは詳細のLU指標の計算例で、基本集計の完全失業率がこの値だという意味ではありません。
考えるときの注意点
- 日本の未活用労働の定義と指標の構成を説明する。最近の雇用情勢や特定政策の因果効果を判定するものではない。
持ち帰る見方
- 追加就労希望は三つの条件で数える。
- LU1と完全失業率の定義を分ける。
- 広い指標では分母も確認する。
次に広がる疑問
- 働いていない人は全員、失業者に数えられる?
- 残業代を払えば、何時間でも働かせてよい?
- どの集団でも改善したのに、全体の割合が悪化することはある?
順番に読んでいる方へ
出典
労働力調査の解説 第5版 — 第2章基本的諸概念と用語(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/hndbk5_2.pdf
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
働いている人にも不足はある
追加就労希望就業者は、就業者のうち週間就業時間が35時間未満で、追加就労を希望し、追加就労ができる者である。
- 対象
- 2018年以降の詳細集計の定義を第5版で確認。最新値は用いない。
- 条件
- 2018年以降の詳細集計。
- 例外・限界
- 短時間で働く全員が該当するわけではない。
労働力調査の解説 第5版 — 第2章基本的諸概念と用語(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/hndbk5_2.pdf
仕事探しの期間が違う
詳細集計の失業者は1か月以内の求職活動等で定義され、基本集計の完全失業者は調査週間中の求職活動等を用いる。詳細の労働力人口は就業者と失業者である。
- 対象
- 2018年以降の詳細集計の定義を第5版で確認。最新値は用いない。
- 条件
- 仕事なし・すぐ働ける等の条件も満たす。
- 例外・限界
- LU1の失業者や分母を基本集計の完全失業率と同一視しない。
労働力調査の解説 第5版 — 第2章基本的諸概念と用語(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/hndbk5_2.pdf
潜在的に働ける人も別に数える
潜在労働力人口は就業者でも失業者でもなく、1か月以内に求職して2週間以内には働ける拡張求職者、又は求職していないが就業希望がありすぐ働ける就業可能非求職者である。
- 対象
- 2018年以降の詳細集計の定義を第5版で確認。最新値は用いない。
- 条件
- 二つの区分の希望/求職/就業可能時期の条件。
- 例外・限界
- 非労働力人口全員を潜在労働力と数えない。
労働力調査の解説 第5版 — 第2章基本的諸概念と用語(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/hndbk5_2.pdf
LU1からLU4へ分母も読む
LU2は失業者と追加就労希望就業者を労働力人口で割る。LU3/4は潜在労働力人口も分子・分母へ加え、LU4はさらに追加就労希望就業者を含む。LU1低下とLU2上昇は両立する。
- 対象
- 2018年以降の詳細集計の定義を第5版で確認。最新値は用いない。
- 条件
- 同じ詳細集計の時期/定義。
- 例外・限界
- LU4は全住民に占める困窮割合ではない。
労働力調査の解説 第5版 — 第2章基本的諸概念と用語(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/roudou/pdf/hndbk5_2.pdf