国際関係

海外で採った植物を研究した利益は、採った人だけのもの?

提供国の対象遺伝資源を研究開発に使う場合には、その国の法令等に従う事前同意と、利益配分などの合意条件が関わります。名古屋議定書は利用の利益を公正・衡平に分ける仕組みを置きますが、一律の配分率を定める制度ではありません。

基本の用語

遺伝資源の取得、研究開発による利用、その後の応用・商業化を分けます。植物を持ち帰れることと、研究利用の条件を満たすこと、利益の扱いを合意することは別の問いです。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

採集と利用の範囲を確かめる

名古屋議定書は「利用」を、遺伝資源の遺伝的・生化学的な構成についての研究開発などと定義します。植物を見た、売った、採ったという行動の名前だけでは、議定書の利用に当たるかを説明したことになりません。

対象は議定書の範囲にある遺伝資源と、関連する伝統的知識、利用からの利益です。どの資源、どの利用、どの提供国との関係かを具体化します。すべての生物を使う全取引に一律の手続がかかると広げません。

第4条4項には、議定書の目的と整合する専門の国際的な取得・利益配分制度が適用される場合、その制度の対象資源と目的について当該参加国へ議定書を適用しない規定があります。対象資源と使う制度を先に確かめる必要があります。

事前同意と合意条件を読む

第6条は、利用のための取得について、天然資源への主権的権利の行使と提供国の国内法等に従い、原産国又は条約に従って資源を取得した提供国の事前同意を原則とします。提供国が別段に決定する場合を除くため、国の制度を読まず一律と考えません。

同意を要する国は、申請方法や判断の手続を明確にし、取得を認める許可等を発行する仕組みなどを整えます。取得への同意と、相互に合意した条件が成立しているかを区別します。単に採集の案内者の了解を得たという情報では、この制度上の条件は分かりません。

合意条件には利益配分、後の第三者利用、利用意図の変更等を盛り込めると定めます。非商業研究を始めた後に商業目的へ変える計画なら、元の条件を確認します。研究という名前だけで後の利用まで無条件に認められたと広げないようにします。

売上だけでなく研究成果も対象になる

第5条は、利用とその後の応用・商業化からの利益を、提供国との相互に合意した条件により、公正・衡平に配分するとします。議定書だけで売上の何%をどこへ払うかが一律に決まるわけではありません。

利益には金銭と非金銭の両方があります。売上からの支払いだけでなく、研究成果の共有等も合意条件で考えます。研究が利益を生んだことと、その条件どおりに配分したことを別に確かめます。

実際の計画では、対象資源と利用、提供国の現在の法令、同意の要否、許可、合意条件、利用の変更、配分の実行を追います。特許が得られたかという知的財産の問いだけでは、取得や利益配分の条件を満たしたかは答えられません。

遺伝資源の利用で分ける条件
  • 取得

    提供国の法令、事前同意、許可

  • 合意

    利益配分、第三者利用、意図の変更等

  • 実行

    利用からの金銭・非金銭利益を合意どおり扱う

対象範囲、提供国の別段の決定、専門制度等を確認し、一律の配分率を示しません。

研究から商業化へ移る計画

架空のB国研究機関がA国の対象資源を利用し、A国の制度に従って取得の同意と利益配分条件を合意したとします。後に企業へ研究成果を渡すなら、第三者利用や意図の変更に関する元の条件を確認します。

金銭の支払いと研究成果の共有が合意されたという設定なら、両方の実行を追います。「研究した人が特許を持つ」ことだけで、提供国との合意条件がなくなったとは考えません。

持ち帰る見方

  • 資源の対象と研究開発の利用を特定する。
  • 提供国の同意、合意条件、利益配分の実行を分ける。

次に広がる疑問

  • 条約上の義務と具体的な手続を分けて読む
  • 特許権者の同意なしに、薬などの発明を使えることがある?
  • 発明をまねすることを一定期間制限するのはなぜ?

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出典

  • 名古屋議定書本文(Convention on Biological Diversity Secretariat)https://www.cbd.int/abs/doc/protocol/nagoya-protocol-en.pdf

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

採集と利用の範囲を確かめる

利用は遺伝的・生化学的構成についての研究開発等をいい、議定書は対象遺伝資源・関連知識とその利用の利益に適用する。専門の国際制度が適用する場合の除外を読む。

対象
2010年議定書第2–8条・附属書:第2(c)・3・4条4項
条件
対象遺伝資源の利用、提供国の法規と事前同意、相互合意条件に基づく公正衡平な金銭非金銭利益配分。
例外・限界
提供国が別段決定する場合、専門国際制度の特定資源目的適用、非商業研究措置等。配分率は一律でない。
  • 名古屋議定書本文(Convention on Biological Diversity Secretariat)https://www.cbd.int/abs/doc/protocol/nagoya-protocol-en.pdf

事前同意と合意条件を読む

利用のための取得は提供国の国内法等に従い、原産国等の提供国の事前同意を原則とするが、提供国が別段に決定する場合を除く。合意条件を定める手続等も確認する。

対象
2010年議定書第2–8条・附属書:第6条1・3項
条件
対象遺伝資源の利用、提供国の法規と事前同意、相互合意条件に基づく公正衡平な金銭非金銭利益配分。
例外・限界
提供国が別段決定する場合、専門国際制度の特定資源目的適用、非商業研究措置等。配分率は一律でない。
  • 名古屋議定書本文(Convention on Biological Diversity Secretariat)https://www.cbd.int/abs/doc/protocol/nagoya-protocol-en.pdf

売上だけでなく研究成果も対象になる

利用と後の応用・商業化からの利益は相互に合意した条件で公正・衡平に配分し、金銭・非金銭の利益を含む。一律の割合を議定書が決めるわけではない。

対象
2010年議定書第2–8条・附属書:第5条1・4項・附属書
条件
対象遺伝資源の利用、提供国の法規と事前同意、相互合意条件に基づく公正衡平な金銭非金銭利益配分。
例外・限界
提供国が別段決定する場合、専門国際制度の特定資源目的適用、非商業研究措置等。配分率は一律でない。
  • 名古屋議定書本文(Convention on Biological Diversity Secretariat)https://www.cbd.int/abs/doc/protocol/nagoya-protocol-en.pdf