数字と報道

地域別の予測を足した数と全国予測が違うとき、どちらを使う?

地域別を足した数と全国予測が違うなら、加算構造を確かめ、予測整合化で足し算の制約を満たす方法があります。整合していることと、実際の値をよく当てることは別です。どの基礎予測をどう重み付けしたかも確認します。

基本の用語

全国が地域AとBの合計になるなど、下位の値を上位へ足せる構造を階層として扱います。期間と単位が同じで、対象が重複なく全体を覆うことが前提です。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

予測にも足し算の制約を置く

全国、地方、地域を別々に予測すると、地域の合計が全国予測に一致しないことがあります。各方法が足し算の制約を無視して作った予測を、基礎予測と呼びます。どの系列が何の合計かを先に確認すると、不整合を見つけられます。

対象地域が重複している、期間や単位が違う場合は、先に加算構造を直します。割合や連鎖実質値など、そもそも単純加算できない値へ無条件には適用しません。予測整合化は、定義が違う系列を同じにする操作ではありません。

全国予測だけを正解として全地域へ配る方法と、地域を予測して合計する方法では、使う情報が異なります。どちらが常に優れているとは、この足し算の関係から決まりません。構造の整合と予測の成績を別の問いとして扱います。

すべての階層を整合させる

整合化では基礎予測から下位系列の予測を作り、その下位を合計して全階層の整合した予測に戻します。最下位の予測だけを足す方法も、上位を下位へ配る方法も、どの予測を使ったかの違いとして考えられます。

全階層の情報を組み合わせる整合化法もあります。結果表では、変更前の基礎予測と変更後の整合予測を並べると、どの値がどう変わったかを追えます。足し算が合った後でも、各地域の変化が内容に合うかを説明します。

整合化は単に計算ミスを修正するだけではありません。異なる方法が別々に作った予測を、同じ合計制約の中で扱う操作です。どの情報や重みを採用したかを残すと、表の値が変わった理由と、検証すべき対象が分かります。

誤差の共分散を使う方法もある

MinTという方法では、基礎予測誤差の分散共分散を使います。基礎予測の無偏性などの条件の下で、整合予測の誤差分散の総和を最小にする考え方です。誤差の単独の大きさだけでなく、各系列の誤差が一緒に動くことも関わります。

整合前後の表では、地域A、B、全国の行を同じ順に並べます。合計の制約を満たしたかを各列で計算した後、どの行の値を変えたかを読みます。全国だけを変更した結果と、地域に配分した結果を、同じ修正という語だけでまとめません。

共分散をどう推定したかと、その推定に利用した情報を確認します。過去の誤差の関係を使う模型なら、それが予測する条件に合うかも残ります。名称に最適という意味があっても、すべての地域で毎回の誤差が必ず減る保証ではありません。

検証では足し算の一致を調べた後、同じ評価期間の予測誤差を見ます。全国だけ良い場合と地域まで良い場合も区別します。何の意思決定に必要な階層かを定め、整合の確認と、必要な水準での精度の確認を両方示します。

加算構造から整合化と評価へ
  1. 加算構造

    どの下位が上位の合計になるか確認

  2. 整合化

    基礎予測を足し算に合う予測へ写す

  3. 精度の評価

    整合後に同じ評価データで誤差を見る

模型の方法を整理した図です。具体的な系列の予測結果や性能を示していません。

地域110件と全国100件を整合する(架空)

地域Aの基礎予測60件、B50件、全国100件とします。地域合計は110件で、全国の100件と一致しません。下位の予測を採用して全国を110件にすれば、足し算は整合します。

逆に全国100件をA60件、B40件へ配る方法でも整合します。どちらも同じ制約を満たしますが、実際の値をよく予測するかは別の評価です。この例では精度や最適な重みを推定していません。

持ち帰る見方

  • 独立に作った階層予測の不整合を見つけ、整合化の根拠を読む。
  • 全ての地域の毎回の誤差が必ず減るという保証ではない。

次に広がる疑問

  • 階層を足せても、年間合計の区間はそのまま足せる?

順番に読んでいる方へ

学習地図で、ほかの分野とのつながりを見る

出典

  • Forecasting: Principles and Practice §11.3 Forecast reconciliation(Rob J Hyndman / George Athanasopoulos(著者原教材、OTexts))https://otexts.com/fpp3/reconciliation.html

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

予測にも足し算の制約を置く

階層・グループ時系列には下位系列が上位へ合計される制約があり、独立に作る基礎予測はその制約を無視しうる。

対象
地域別・商品別など、下位系列の合計が上位系列になる時系列予測。
条件
同じ単位・期間、重複なしの加算構造。
例外・限界
割合や連鎖実質値など加算できない対象へ無条件に適用しない。
  • Forecasting: Principles and Practice §11.3 Forecast reconciliation(Rob J Hyndman / George Athanasopoulos(著者原教材、OTexts))https://otexts.com/fpp3/reconciliation.html

すべての階層を整合させる

予測整合化は基礎予測を写像して下位予測を作り、合計構造を用いて整合した全系列予測へ戻す。

対象
同じ合計構造を持つ階層・グループ時系列の基礎予測の整合化。
条件
明示した合計構造と整合化法。
例外・限界
足し算が合うことだけで実際の結果への正確さは確定しない。
  • Forecasting: Principles and Practice §11.3 Forecast reconciliation(Rob J Hyndman / George Athanasopoulos(著者原教材、OTexts))https://otexts.com/fpp3/reconciliation.html

誤差の共分散を使う方法もある

MinT整合化は基礎予測誤差の分散共分散を用い、条件下で整合予測の誤差分散の総和を最小化する。

対象
MinTによる整合化で使う基礎予測誤差の分散共分散と、整合予測の誤差分散。
条件
基礎予測の無偏性等の制約と適切な共分散推定。
例外・限界
全ての地域の毎回の誤差が必ず減るという保証ではない。
  • Forecasting: Principles and Practice §11.3 Forecast reconciliation(Rob J Hyndman / George Athanasopoulos(著者原教材、OTexts))https://otexts.com/fpp3/reconciliation.html