数字と報道
月別予測の上下限を足せば、年間予測の幅になる?
平均の点予測は足せますが、月別の予測区間の端を足しても、年間合計の同じ確率水準の区間になるとは限りません。合計の誤差には月同士の関係が入ります。将来の経路ごとに合計を作るなど、合計の予測分布を調べます。
基本の用語
一年の合計は各月の値を足したものです。ただし予測区間の端は、その月の値の確率分布の位置です。値の合計と、分位点の合計は別の計算になります。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 予測の幅と、複数のシナリオは何が違う?点予測・将来値の予測区間・平均の推定区間・前提を変えるシナリオを区別する。
- 毎月の数字が似ていると、観測数が多くても精度は上がらない?ラグは観測間隔と併せて読む。
平均予測の合計と幅を分ける
各月の点予測が平均なら、12か月の点予測を足して年間合計の平均を求められます。どの月を含め、同じ単位で重複なく足したかを確認します。中央値など、平均以外の点予測も無条件で同じ加算関係になると考えません。
一方、月別の80%区間の上下端をそれぞれ足しても、年間合計の80%区間と決まるわけではありません。各月の端はそれぞれの分布の順位です。複数の月の値がどんな組合せで現れるかを、端の二列だけからは復元できません。
すべての月が一緒に高くなる場合と、一方が高いと他方が低くなる場合では合計の変動が違います。月別の幅が同じでも、合計がどれくらい動くかは同じとは限りません。区間表に加え、模型が月間の依存をどう表しているかを読みます。
一つの未来の経路ごとに足す
合計の分布を近似する方法として、模型から複数の将来標本経路を生成します。一つの経路には同じ仮想の未来の12か月が含まれ、その経路内の値を足します。経路ごとに得た年間合計の分布から、平均や指定した区間を求めます。
各月を無条件でばらばらに生成すると、元の模型にある時間の関係を失う場合があります。独立かどうかを先に仮定するのでなく、採用した模型の依存を保った経路を使います。生成回数だけを増やして、誤った依存の置き方を直したことにはなりません。
表では各経路の月別値、経路内合計、合計全体の分布という順番を分けます。月の分位点を先に選んで足すことと、各経路を足した後で分位点を選ぶことの違いが見えます。これは合計の不確かさを作るための手順です。
合計誤差にも共分散が入る
二期間の合計誤差の分散は、それぞれの分散に共分散の2倍を加えたものです。有限分散の模型での和の分散の展開です。独立なら共分散0とできますが、独立を確認せずにその項を落とすと、合計の幅に必要な情報を省きます。
月の図では良い予測でも、予算に必要なのが年合計なら年合計の評価が必要です。月ごとの上下限を足した数字を予算の確率幅として採用する前に、合計をどう作ったかを尋ねます。「合計点予測」と「合計区間」を別々の欄にすると、必要な計算を区別できます。
個別の標準偏差をそのまま足す公式とも違います。分散と標準偏差の単位を分け、どの合計の誤差について計算したかを示します。全月の予測水準をよく当てたことと、全月が同じ方向に外れる可能性を扱ったことは別の点検です。
実際の予測では、月別の実測で方法を評価する問いと、年間合計で評価する問いを分けます。合計だけなら月の正負の誤差が打ち消す場合もあります。予算などに何の値が必要かを定め、合計の点と幅をその用途に合わせて報告します。
- 経路を生成
模型の時点間の依存を保った将来経路を作る
- 経路内で合計
各経路に含まれる月の値を足す
- 合計分布を要約
合計の平均と指定した確率水準の区間を見る
模型の方法を整理した図です。具体的な系列の予測結果や性能を示していません。
月別80%の端を足すと合計66%(架空)
二か月の各値を90、100、110件とし、それぞれの確率を10%、80%、10%、月間は独立と置きます。各月の区間[100,100]は、その月の値を80%含みます。端を足した合計区間は[200,200]です。
合計200件になるのは100+100、90+110、110+90です。確率は0.8×0.8+0.1×0.1+0.1×0.1=0.66です。月別80%の端を足した区間が、合計では66%を含む例になります。
持ち帰る見方
- 合計の点予測と合計の不確かさを分け、誤差間の依存を見る。
- 標準偏差を単純に足す公式でも、常に独立とする公式でもない。
次に広がる疑問
- 地域の合計予測と全国予測の整合は、どう確かめる?
順番に読んでいる方へ
出典
Forecasting: Principles and Practice §13.5 Prediction intervals for aggregates(Rob J Hyndman / George Athanasopoulos(著者原教材、OTexts))https://otexts.com/fpp3/aggregates.html
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
平均予測の合計と幅を分ける
各期間の点予測が平均なら合計で全期間合計の平均を求められるが、予測区間には誤差間の相関が関わる。
- 対象
- 月別件数など、同じ単位の複数期間の予測値を足した合計。
- 条件
- 同じ将来期間を重複なく足す。
- 例外・限界
- 個別区間の上限と下限を足せば同じ確率水準になるとはいえない。
Forecasting: Principles and Practice §13.5 Prediction intervals for aggregates(Rob J Hyndman / George Athanasopoulos(著者原教材、OTexts))https://otexts.com/fpp3/aggregates.html
一つの未来の経路ごとに足す
合計の予測分布は、模型から将来の標本経路を生成し、各経路内の値を足して近似する方法がある。
- 対象
- 模型から生成した将来の標本経路を、各経路の中で合計する予測分布の近似。
- 条件
- 時点間の依存を保持する模型の経路生成。
- 例外・限界
- 各月を無条件に独立生成すれば元の依存を失う。
Forecasting: Principles and Practice §13.5 Prediction intervals for aggregates(Rob J Hyndman / George Athanasopoulos(著者原教材、OTexts))https://otexts.com/fpp3/aggregates.html
合計誤差にも共分散が入る
二期間の合計誤差の分散は、それぞれの分散と共分散の2倍の合計となる。
- 対象
- 二期間の合計予測誤差の分散と、期間間の誤差の共分散。
- 条件
- 有限分散の確率模型で和の分散を展開する編集上の整理。
- 例外・限界
- 標準偏差を単純に足す公式でも、常に独立とする公式でもない。
Forecasting: Principles and Practice §13.5 Prediction intervals for aggregates(Rob J Hyndman / George Athanasopoulos(著者原教材、OTexts))https://otexts.com/fpp3/aggregates.html