経済の基礎
競争で利益がゼロになるなら、会社は何のために残る?
経済的利益がゼロでも、資本をその事業へ置くために必要な報酬は費用として数えられています。売上も現金収入もゼロという意味ではありません。自由に参入できる長期競争の模型では、それを超える利益が参入を呼ぶため、正常利益までを得る状態を考えます。
基本の用語
利益は、何を費用へ数えるかで値が違います。支払った経費だけでなく、同じ資金を別の用途へ置いた場合の収益も、選択の比較へ入れます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 売上が増えれば、会社はもうかる?売上・費用・利益と現金の違い
- 赤字でも、すぐ生産を止めない方がよいことがある?赤字と、休止すれば有利になる状態を分ける。
支出のほかに、資金の代替収益を数える
経済的利益は売上から費用を引く際、資本の機会費用を含める。会計利益の計算にはその機会費用が同じ形で含まれるとは限らない。
自己資金を使うと、他人から借りた時のような利払いが帳簿へ出ない場合があります。それでも資金を別の適切な用途へ置く機会を手放しています。経済的利益は、その代替収益も費用へ含めて事業の採算を比較します。
例えば売上100、指定する経費80、資本の機会費用20なら、経費だけを引く簡略な会計利益は20です。さらに機会費用を引く経済的利益は0になります。二つの名称を区別せず「利益20なのにゼロ」と読むと、比較の費用が変わったことを見落とします。
ゼロでも、必要な資本の報酬は残る
資本をその事業に提供してもらうため必要な収益を正常利益と呼び、経済的利益の費用に含める。正常利益だけを得る企業の経済的利益はゼロである。
正常という名前は、大半の会社が実際にその額を得ているという統計ではありません。その事業へ資本を提供してもらうために必要な収益という概念です。必要な収益が費用として既に控除されるので、ゼロでも資本への報酬は残ります。
機会費用20を得られる例なら、残った20が必要な報酬にちょうど当たります。経済的利益が正ならそれを超す上乗せがあり、負なら代替用途と比べて届きません。赤字という日常語だけでどちらの採算を指すかを決めないようにします。
上乗せ利益は、参入を呼ぶ
同一企業の自由参入・退出を許す完全競争の長期模型では、正の経済的利益は参入、負の経済的利益は退出を促し、ゼロ経済的利益の状態へ向かう。
同じ技術を使う企業が自由に入れる模型では、上乗せ利益があると新しい企業が供給します。価格を受け入れる企業同士の長期のつり合いでは、参入する追加の魅力がなくなるゼロ経済的利益を考えます。
退出も自由とするので、必要な報酬に届かない企業がそのまま無期限に残る状態は置きません。ただしこの長期の比較は、実際の価格が何日で均衡へ着くかを保証する過程の説明ではありません。今期だけの操業停止の判断とも分けます。
条件が違えば、残る利益も違う
同一企業かつ投入価格一定等の条件では長期価格は最小平均費用に一致するが、企業の効率差や参入障壁、産業拡大に伴う投入価格変化があれば単純な長期供給の形は変わる。
各企業が同じ最小平均費用を持ち、産業が拡大しても材料などの投入価格が変わらないなら、長期の供給をその費用の価格で考えられます。最小費用という条件と、投入価格一定の条件をまとめて省かないことが大切です。
参入の許可が限られる、既存企業の方が効率的、材料の需要増で材料価格も上がる場合には、同じ形の結論を使えません。ある企業に利益が残るニュースでは、どの費用を引いた利益かと、誰が同じ条件で参入できるかを先に確かめます。
条件を置いた具体例
架空の例
売上100、ここで数える経費80、同じ資本を別の用途へ置けば得られる必要収益20とします。経費だけとの差額を、例の簡略な会計利益20と呼びます。
経済的利益は100−80−20=0です。資本への正常利益20は残っており、売上も100あります。経費の細かな会計分類を再現する例ではなく、機会費用を控除するかでゼロの意味が違うことを示します。
持ち帰る見方
- 経済的利益がゼロでも、資本をその事業へ置くために必要な報酬は費用として数えられています。
- 同一企業かつ投入価格一定等の条件では長期価格は最小平均費用に一致するが、企業の効率差や参入障壁、産業拡大に伴う投入価格変化があれば単純な長期供給の形は変わる。
次に広がる疑問
- 売上が増えれば、会社はもうかる?
- 無料でも費用があるとはどういうこと?
出典
7.6 Setting price and quantity to maximize profit(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy/microeconomics/07-firm-and-customers-06-maximize-profit.html
確認日:2026-10-04
Lecture Summary08: Competition II, MIT14.01 (2023)(MIT OpenCourseWare / Jonathan Gruber)https://ocw.mit.edu/courses/14-01-principles-of-microeconomics-fall-2023/mit14_01_f23_lec8.pdf
確認日:2026-10-05
本文の出典・補足
支出のほかに、資金の代替収益を数える
経済的利益は売上から費用を引く際、資本の機会費用を含める。会計利益の計算にはその機会費用が同じ形で含まれるとは限らない。
- 対象
- 機会費用を含む経済的利益と自由参入の長期競争模型。
- 条件
- 価格受容、同じ技術の企業、自由な参入退出の長期。正常利益を資本の機会費用として費用へ含める。
- 例外・限界
- ゼロ経済利益はゼロ売上やゼロ現金収入ではない。参入障壁・企業差・投入価格変化なら結論の条件を見直す。架空例の会計利益は指定費用だけの簡略差額。
7.6 Setting price and quantity to maximize profit(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy/microeconomics/07-firm-and-customers-06-maximize-profit.html
ゼロでも、必要な資本の報酬は残る
資本をその事業に提供してもらうため必要な収益を正常利益と呼び、経済的利益の費用に含める。正常利益だけを得る企業の経済的利益はゼロである。
- 対象
- 機会費用を含む経済的利益と自由参入の長期競争模型。
- 条件
- 価格受容、同じ技術の企業、自由な参入退出の長期。正常利益を資本の機会費用として費用へ含める。
- 例外・限界
- ゼロ経済利益はゼロ売上やゼロ現金収入ではない。参入障壁・企業差・投入価格変化なら結論の条件を見直す。架空例の会計利益は指定費用だけの簡略差額。
7.6 Setting price and quantity to maximize profit(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy/microeconomics/07-firm-and-customers-06-maximize-profit.html
上乗せ利益は、参入を呼ぶ
同一企業の自由参入・退出を許す完全競争の長期模型では、正の経済的利益は参入、負の経済的利益は退出を促し、ゼロ経済的利益の状態へ向かう。
- 対象
- 機会費用を含む経済的利益と自由参入の長期競争模型。
- 条件
- 価格受容、同じ技術の企業、自由な参入退出の長期。正常利益を資本の機会費用として費用へ含める。
- 例外・限界
- ゼロ経済利益はゼロ売上やゼロ現金収入ではない。参入障壁・企業差・投入価格変化なら結論の条件を見直す。架空例の会計利益は指定費用だけの簡略差額。
Lecture Summary08: Competition II, MIT14.01 (2023)(MIT OpenCourseWare / Jonathan Gruber)https://ocw.mit.edu/courses/14-01-principles-of-microeconomics-fall-2023/mit14_01_f23_lec8.pdf
条件が違えば、残る利益も違う
同一企業かつ投入価格一定等の条件では長期価格は最小平均費用に一致するが、企業の効率差や参入障壁、産業拡大に伴う投入価格変化があれば単純な長期供給の形は変わる。
- 対象
- 機会費用を含む経済的利益と自由参入の長期競争模型。
- 条件
- 価格受容、同じ技術の企業、自由な参入退出の長期。正常利益を資本の機会費用として費用へ含める。
- 例外・限界
- ゼロ経済利益はゼロ売上やゼロ現金収入ではない。参入障壁・企業差・投入価格変化なら結論の条件を見直す。架空例の会計利益は指定費用だけの簡略差額。
Lecture Summary08: Competition II, MIT14.01 (2023)(MIT OpenCourseWare / Jonathan Gruber)https://ocw.mit.edu/courses/14-01-principles-of-microeconomics-fall-2023/mit14_01_f23_lec8.pdf