政治の仕組み
行政文書に自分の会社の情報があると、公開を拒否できる?
行政文書に会社など第三者の情報がある場合、その第三者が意見を出す手続があります。ただし、反対すれば必ず非公開になる拒否権ではありません。行政機関は法律の開示・不開示の条件で判断し、反対意見書があるのに開示する場合には、通知と少なくとも2週間の猶予を設けます。
基本の用語
開示請求をした人と、文書に書かれている人は同じとは限りません。ここでは国の行政機関の情報公開法における、請求者以外の第三者の手続を見ます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 行政が持つ情報は全部公開される?行政文書の対象と保有する機関を確かめる。
意見を聞くことと同意を得ることは別
文書には、行政が調べた会社の情報や、提出を受けた資料が含まれることがあります。第三者に関する情報が記録されているとき、行政機関の長は、その第三者へ対象文書などを通知し、意見書を提出する機会を与えることができます。第三者の側から、公開によってどんな利益が害されるのかを説明する機会です。
この一般規定は、第三者の情報が一文字でもあれば全員の承諾を得る、という仕組みではありません。意見を聞くことと同意を得ることを分けます。会社が秘密だと言ったことだけでなく、権利や競争上の地位など正当な利益を害するおそれと、法律の不開示条件との対応を行政機関が判断します。
文書のうち会社が問題にする部分と、行政が実際に開示する部分は、必ずしも同じではありません。反対の内容、開示決定の対象、守るべき利益を対応させると、どこで見方が異なったかを具体化できます。文書全体への反対だけで、各部分の法的な扱いが同じになるわけではありません。
一定の開示では意見を聞く義務がある
第三者の情報を人の生命・健康・生活・財産の保護のために公開する場合など、法律が定める一定の場合には、意見書提出の機会を与えなければなりません。公益上特に必要だとして裁量的に開示する場合も含まれます。通常は開示決定に先立ち、書面で対象文書などを通知します。
第三者の所在が判明しない場合は、この事前通知の例外があります。また、意見を提出する機会が義務であることは、その意見を必ず採用する義務とは別です。意見書には、単に反対と書くより、どの記載がどんな不利益に結び付くかを具体化すると、開示判断の条件との関係を整理できます。
反対しても開示される場合の猶予
機会を与えられた第三者が開示に反対する意見書を出し、それでも行政機関が開示決定をするときは、決定日と開示実施日の間を少なくとも2週間置かなければなりません。決定後、第三者へ決定した旨、理由、実施日を直ちに書面で通知することも必要です。
この間隔は、反対した第三者が決定を知る機会を確保します。反対意見書を出すこと、開示決定を争うこと、開示を一時的に止めることは、それぞれ別の手続です。2週間あるから自動的に開示が取り消されるわけではありません。受け取った通知で、対象、理由、実施日をそろえて確認します。
意見書提出の機会を与える通知と、反対後の開示決定を知らせる通知も別です。前者は判断の前に意見を聞く段階、後者は決定した理由と実施日を伝える段階です。どちらの通知かを確かめると、まだ意見を出す場面なのか、既に決定が出た場面なのかを読み違えずに済みます。
会社の反対と一部開示の決定(架空の例)
会社が行政へ提出した資料について開示請求があり、会社は技術情報の公開に反対する意見書を出したとします。行政が法の条件を確認して一部開示を決めることは、会社の反対だけでは妨げられません。
反対意見書が出ている場合の通知と猶予を確かめた上で、会社が問題にしている箇所と開示される箇所が一致するかを見ます。「反対したのに公開」という一語で、手続違反や正当性の結論は出しません。
持ち帰る見方
- 第三者の意見提出は、開示の同意権ではない。
- 反対後の決定では、理由の通知と実施までの間隔を読む。
次に広がる疑問
- 行政が持つ情報は全部公開される?
- 文書があるかないかも、役所が答えないことがある?
- 行政の決定に納得できないとき、何を争える?
順番に読んでいる方へ
出典
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(法令API本文)(デジタル庁(e-Gov法令検索))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/411AC0000000042
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
意見を聞くことと同意を得ることは別
第三者に関する情報を含む行政文書では、行政機関の長は第三者に意見書提出の機会を与えることができる。
- 対象
- 行政機関の保有する情報の公開に関する法律対象施行版 411AC0000000042_20260717_508AC0000000062
- 条件
- 国の行政機関情報公開法13条1項。
- 例外・限界
- 情報を載せた第三者全員へ常に意見聴取する義務とはしない。
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(法令API本文)(デジタル庁(e-Gov法令検索))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/411AC0000000042
一定の開示では意見を聞く義務がある
第三者の情報を生命等の保護のために開示する場合や公益上の理由による裁量的開示の場合には、原則として事前に書面で通知し意見書提出機会を与える。
- 対象
- 行政機関の保有する情報の公開に関する法律対象施行版 411AC0000000042_20260717_508AC0000000062
- 条件
- 13条2項が定める場合。
- 例外・限界
- 第三者の所在が判明しない場合は例外。会社の反対だけで不開示は決まらない。
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(法令API本文)(デジタル庁(e-Gov法令検索))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/411AC0000000042
反対しても開示される場合の猶予
反対意見書を提出した第三者の情報を開示するときは、開示決定と実施の間を少なくとも2週間置き、第三者へ決定・理由・実施日を直ちに書面通知する。
- 対象
- 行政機関の保有する情報の公開に関する法律対象施行版 411AC0000000042_20260717_508AC0000000062
- 条件
- 13条3項の反対意見書。
- 例外・限界
- 猶予期間だけで取消しや執行停止が認められるわけではない。
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(法令API本文)(デジタル庁(e-Gov法令検索))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/411AC0000000042