政治の仕組み
古い事件なら、もう起訴されることはない?
公訴時効には、犯罪の種類による期間、犯罪行為が終わった時からの起算、起訴や国外滞在などによる停止があります。全ての古い事件が同じ年数で起訴できなくなるわけではありません。死亡結果を生じさせる所定の罪や性犯罪等には特則もあり、単純な年月差だけで判断しません。
基本の用語
公訴は検察官が裁判所へ事件の判断を求める手続です。公訴の時間的な限界を定める時効と、民事の支払請求の時効、行為時の刑罰法の問題は別です。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 長い間請求しなければ、お金を受け取る権利はなくなる?まず請求権の種類と、行使できる時を確かめる。
罪の種類で期間が違う
刑事訴訟法250条は、人を死亡させた罪か、どの法定刑に当たるかなどで時効の期間を分けます。人を死亡させた罪で死刑に当たるものは、同条の時効の対象に含まれません。「どの罪も長く放置すれば時効」という説明ではありません。
期間を判断する基準は、その罪がどの法定刑に当たるかです。今回検察官が求刑した長さや、本人が実際に受けた刑の長さを、時効の期間へそのまま変換しません。同じ事件名でも具体的な罪や法定条件が分からなければ、期間を一つに決められません。
所定の性犯罪等には通常の分類とは別の期間があります。犯罪終了時に被害者が18歳未満である場合には、18歳になるまでの相当期間を加算する規定もあります。過去の事件は改正の経過措置の確認が必要で、現在の期間表を古い行為へ無条件に遡らせません。
犯罪終了時から起算する
253条では、時効は犯罪行為が終わった時から進行します。事件が報道された日、被害が発覚した日、逮捕された日から全事件一律に数える制度ではありません。行為がいつ終わったかを特定することが、年数計算の前提です。
共犯では最終の行為が終わった時から、全ての共犯について起算します。自分が関わるのを止めた日だけを使って共犯全員の期間を別々に確定すると、条文の起算条件を見落とします。行為の連なりと最後の時点を確かめる必要があります。
時効が完成した場合は、裁判所が免訴を言い渡す法定事由です。免訴という処理を、証拠から犯罪を認められず無罪とした判断と同じ意味で読まないようにします。何を理由として裁判が終わったかは、判決で示された根拠を確認します。
起訴や国外滞在などで進行が止まる
254条により、事件について公訴を提起すると時効の進行が停止します。管轄違いや公訴棄却の裁判が確定した時から再び進行する規定もあります。起訴前の経過と、起訴後に裁判をしている期間を、何も変わらない一つの時計として扱いません。
共犯の一人への起訴による停止は、他の共犯にも効力があります。また国外にいる期間や、逃げ隠れのため有効な起訴状謄本の送達・略式命令の告知ができなかった期間には停止の規定があります。逃げ隠れという言葉だけで、送達等ができない条件を省略しません。
古い事件の見通しを判断するときは、罪の分類、行為終了時、年齢等の特則、起訴や停止の事情、経過措置を並べます。どれかが不明なら、その項目が追加の確認対象です。事件から何年たったという一つの数字だけを、起訴可能性を確定する根拠にはしないようにします。
- 期間の分類
罪の法定刑・死亡結果・性犯罪等の特則
- 起算点
犯罪行為の終了。共犯では最終行為の終了
- 進行の停止
公訴提起、国外滞在、所定の逃げ隠れ等
古い事件の改正経過措置は個別に確かめます。年月の単純な引算で完成を決めません。
暦の差と停止期間(架空の例)
行為終了から長い年月がたった事件でも、その間に国外滞在の期間があったとします。暦の年月差だけを見ず、その期間について停止の規定がどう関わるかを確かめます。
共犯者の一人が起訴されたという事情も別に確認します。この例は特定犯罪の時効完成日を計算したものではなく、計算に必要な起算点や停止事由が足りているかを見るためのものです。
持ち帰る見方
- 公訴時効は罪の法定刑等で期間が異なり、人を死亡させた罪で死刑に当たるものは250条の時効対象に含まれない。所定の性犯罪等には特別の期間・未成年被害者への加算がある。
- 公訴提起で進行を停止し、共犯一人への起訴の停止は他の共犯にも効力がある。国外滞在、又は逃げ隠れのため有効な送達・告知ができない場合にはその期間進行を停止する。
次に広がる疑問
- 法律が変わった後で、昔の行為を新しい犯罪として罰せる?
- 長い間請求しなければ、お金を受け取る権利はなくなる?
- 逮捕されたら有罪と決まったことになる?
順番に読んでいる方へ
出典
刑事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
罪の種類で期間が違う
公訴時効は罪の法定刑等で期間が異なり、人を死亡させた罪で死刑に当たるものは250条の時効対象に含まれない。所定の性犯罪等には特別の期間・未成年被害者への加算がある。
- 対象
- 日本の刑事事件の公訴時効の期間と特則。2026年10月7日現在。
- 条件
- 刑訴250条全項。
- 例外・限界
- 実際に求刑された刑の長さから時効期間を決めない。旧事件の改正経過措置は個別確認。
刑事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131
犯罪終了時から起算する
時効は犯罪行為が終わった時から進行し、共犯は最終の行為終了時から全共犯につき起算する。完成時は免訴の判断対象となる。
- 対象
- 日本の刑事事件の公訴時効の起算と免訴。2026年10月7日現在。
- 条件
- 253条・337条4号。
- 例外・限界
- 発覚日・逮捕日から一律に数えない。
刑事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131
起訴や国外滞在などで進行が止まる
公訴提起で進行を停止し、共犯一人への起訴の停止は他の共犯にも効力がある。国外滞在、又は逃げ隠れのため有効な送達・告知ができない場合にはその期間進行を停止する。
- 対象
- 日本の刑事事件の公訴時効の進行停止。2026年10月7日現在。
- 条件
- 254・255条。
- 例外・限界
- 単純な暦年差だけで完成と判断しない。逃げ隠れには送達等の不能条件がある。
刑事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131