政治の仕組み
法律が変わった後で、昔の行為を新しい犯罪として罰せる?
実行時に適法だった行為を、後で作った犯罪として処罰することはできません。すでに犯罪だった行為の刑が軽くなる場合や刑が廃止される場合は、別の規定を確かめます。
基本の用語
刑事責任は、犯罪について刑罰を科す責任です。被害についてお金の賠償を求める民事の問題と同じではなく、憲法39条は刑事責任に関する制限を定めます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 多数決で決まれば、何をしてもよい?基本的人権と権力の制限
行為時に適法だったことを後から罰しない
ある行為を犯罪として処罰できるかは、その行為をした時点の法律と結び付けて考えます。憲法39条は、実行時に適法だった行為について刑事責任を問うことを禁じています。後で新しく犯罪を定めても、以前に適法に行ったことを、その新しい犯罪として処罰することはできません。
ここで比べるのは「行為をした時」と「新しい規定が施行された時」です。今は禁止されているという説明だけでは、以前の行為を処罰する根拠になりません。施行前に完了した行為と、施行後にも続く行為では確認する時点が違うため、完了した行為の例をそのまま後者へ広げないようにします。
同じ犯罪の刑事責任を重ねない
憲法39条には、既に無罪とされた行為について刑事責任を問わず、同一の犯罪について重ねて刑事責任を問わないという制限もあります。先ほどの「後から犯罪を作ること」とは別に、同じ犯罪について既に裁判を受けた場合の責任を考える規定です。
刑事訴訟法337条は、確定判決を経たときに免訴の判決を言い渡すと定めます。判決が確定したことと、検察官が捜査の段階で不起訴にしたことは別です。一審で無罪と言い渡されたという出来事だけを、いつでも確定した無罪と同じには扱えません。どの段階の判断なのかを先に確かめます。
犯罪後に刑が軽くなったとき
行為時にも犯罪だった場合には、その後に刑が変更されるという別の問題があります。刑法6条は、犯罪後の法律によって刑が変更されたときは、その軽いものによると定めます。過去の行為には後の法律を一切考慮しない、という仕組みではありません。
後で刑が重くなったからといって、重い刑を過去の行為へそのまま当てはめる読み方はしません。一方、軽いものを使うという規定があっても、具体的な刑の軽重や、その改正に特別な経過措置があるかは、改正内容を確かめる必要があります。「行為時に適法だった」と「犯罪だったが刑が変わった」を分けることが出発点です。
刑の廃止と刑の軽減は別
刑を軽くする改正と、その行為について法令で刑を廃止する改正も違います。刑事訴訟法337条は、犯罪後の法令によって刑が廃止された場合に、裁判所が免訴の判決を言い渡すと定めます。刑を比べて軽いものを選ぶ場合とは、裁判での処理が異なります。
「法律が改正された」という名称だけでは、刑の変更なのか廃止なのかは分かりません。裁判中の行為にどの規定が関わるかは、改正の本文と経過措置を確認します。新しい犯罪を設ける場面、既存の刑を変える場面、刑を廃止する場面を、同じ一つの改正の話としてまとめないことが大切です。
6月に完了した行為と、8月施行の新しい犯罪
架空の例
ある行為が6月には適法で、8月施行の新しい法律によって初めて犯罪になったとします。Aさんが6月にその行為を完了していた設定なら、8月の法律で新しく犯罪になったことだけを理由に、6月の行為を刑事処罰することはできません。
別のBさんは、行為時から犯罪だった行為について裁判を受けているとします。その後の改正で刑が変わる場面は、Aさんの新しい犯罪の例とは分け、刑法6条や刑の廃止に関する規定を確かめます。
持ち帰る見方
- 行為時に適法だったことを、後の新しい犯罪として処罰しない。
- 確定判決と、不起訴や未確定の一審判決を分ける。
- 犯罪後の刑の変更と刑の廃止では、使う規定と判決の処理が違う。
次に広がる疑問
- 権力を法律で縛ることと、刑事処罰の制限を結び付ける
- 不起訴と裁判の判決が生じる段階を読む
- 刑を科せることと、刑の執行を猶予することを分ける
順番に読んでいる方へ
出典
日本国憲法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/321CONSTITUTION_19470503_000000000000000
確認日:2026-10-04
刑事訴訟法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131_20260813_508AC0000000067
確認日:2026-10-04
刑法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/140AC0000000045_20260521_507AC0000000039
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
行為時に適法だったことを後から罰しない
憲法39条は、実行時に適法だった行為について刑事責任を問うことを禁じる。後から新しく犯罪を定めても、それだけで過去の適法な行為を刑事処罰することはできない。
- 対象
- 日本、2026年10月5日時点。日本国憲法(1947年5月3日施行)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
- 条件
- 日本の刑事責任、行為が実行された時点で適法だった場合。架空例は施行前に完了した行為へ限定。
- 例外・限界
- 継続行為の終了時点や過去に既に違法だった行為を自動判定しない。民事の金銭請求を同じ条文の禁止と扱わない。
日本国憲法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/321CONSTITUTION_19470503_000000000000000
同じ犯罪の刑事責任を重ねない
憲法39条は既に無罪とされた行為及び同一犯罪について重ねて刑事責任を問うことを禁じる。刑訴法337条は確定判決を経た場合の免訴判決を定める。
- 対象
- 日本、2026年10月5日時点。日本国憲法(1947年5月3日施行)と刑事訴訟法(2026年8月13日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
- 条件
- 憲法の禁止と、確定判決を経た場合の刑事手続の処理を区別。
- 例外・限界
- 単なる不起訴や未確定の一審無罪をすべて再度扱えない確定無罪と同視しない。「同一犯罪」の個別判断/再審の詳細は扱わない。
日本国憲法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/321CONSTITUTION_19470503_000000000000000
刑事訴訟法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131_20260813_508AC0000000067
犯罪後に刑が軽くなったとき
刑法6条は犯罪後の法律によって刑が変更されたときは軽いものによると定める。後から犯罪を作って罰する禁止と、犯罪後の刑の変更は分けて考える。
- 対象
- 日本、2026年10月5日時点。刑法(2026年5月21日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
- 条件
- 元の行為が犯罪で、後の法律が刑を変更した場合。
- 例外・限界
- 具体的な刑の軽重比較や特別法の経過措置を自動計算しない。新しい刑が重いからと過去へそのまま適用しない。
刑法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/140AC0000000045_20260521_507AC0000000039
刑の廃止と刑の軽減は別
犯罪後の法令によって刑が廃止されたときは、刑訴法337条が免訴判決を定める。刑の変更に軽いものを使う場合と、廃止で免訴になる場合を区別する。
- 対象
- 日本、2026年10月5日時点。刑事訴訟法(2026年8月13日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
- 条件
- 犯罪後の法令による刑の廃止と、係属する刑事事件の判決処理。
- 例外・限界
- 改正の名称だけで「刑が廃止された」と決めない。個別の改正附則/経過措置がある事件は別確認。
刑事訴訟法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131_20260813_508AC0000000067