政治の仕組み
刑事裁判では、伝え聞いた話もそのまま証拠になる?
法廷で伝え聞いた話を述べたり、法廷外の供述を記した書面を出したりしても、常にそのまま証拠に使えるわけではありません。まず証拠に使える条件を確かめ、その後に内容の信用性を判断します。伝聞の制限、法定の例外、同意、証人への質問の機会を分けて読みます。
基本の用語
証拠能力は裁判で証拠として使えるか、証明力はその証拠がどれだけ事実を裏付けるかという異なる問いです。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 逮捕されたら有罪と決まったことになる?逮捕、起訴、判決は別の段階。
使える証拠かと信用できるかは別
刑事訴訟法は、事実の認定を証拠によって行い、証拠の証明力を裁判官の自由な判断に委ねると定めます。証拠の内容をどう評価するかに判断があることと、どんな情報でも証拠に使えることは同じではありません。使える証拠の範囲には別の規則があります。
例えば、内容を信用できそうだと感じても、法定の証拠使用の条件を除けるわけではありません。反対に、使用条件を満たした証拠でも、書かれた内容の全てが事実だと自動認定されません。証拠能力と証明力を二つの欄に分けると、裁判が何を判断しているかを理解しやすくなります。
法廷の外の供述を使う原則と例外
320条は、公判での供述に代えて書面を使うことや、公判の外で他の人が述べた内容を伝える供述を使うことを、所定の例外を除き制限します。目撃者が話したという話と、目撃者本人の供述は同じではありません。どこで誰が何を述べ、何を示すための証拠なのかが重要です。
例外にも種類と条件があります。321条1項3号の所定の供述書等では、供述者が死亡や所在不明等の理由で供述できず、犯罪事実の証明に欠かせず、特に信用できる情況で述べたことなどが必要です。裁判官や検察官の面前の供述を記した書面等には別の条件があり、全書面をこの一つの条件で判断しません。
同意や使う目的によっても規則が違う
検察官と被告人が証拠とすることに同意した書面や供述については、326条の規則があります。それでも、作成や供述の情況を考慮して相当と認めることが必要です。同意という一語で、裁判所の判断や他の証拠の制約が全て不要になるわけではありません。
使う目的にも違いがあります。328条は、所定の書面等を、法廷での供述の証明力を争うために使う場合を認めます。犯罪事実があったこと自体の証明と、法廷供述が信用できるかを問い直すことを分けます。資料が使われたという情報だけでは、どの事実や信用性の判断に使えたかは分かりません。
証人に質問する機会を保障する
憲法37条は、刑事被告人へ証人に審問する機会を充分に与えることなどを保障しています。供述の内容を受け取るだけでなく、その人が何を見聞きし、どのような事情で述べたかを質問できることが、防御を考える重要な条件です。供述の記録があることと、審問の機会があることを分けます。
自白にはさらに任意性や、それだけを唯一の不利益な証拠にして有罪にしないという特則があります。これらの条件が捜査から裁判へ進むどの段階で判断されたかも、合わせて読みます。本人の自白、他人の伝聞、法廷の証言を一つの発言としてまとめず、証拠の種類ごとに使用条件と評価を確かめます。
- 証拠能力
その種類・内容・作成等の条件や使う目的に照らして、証拠に使えるか。
- 証明力
使える証拠が、認定したい事実をどれだけ裏付けるか。
同意による使用にも相当性の判断が必要。使える証拠であることは、有罪認定とは別。
目撃者の話を伝える資料の二つの問い
架空の事件でAさんが「Bさんから現場を見たと聞いた」と話し、その内容を書いた資料が提出されます。まず、犯罪事実を示すための伝聞証拠なのか、法定の例外や同意の条件で使えるのかを確かめます。Bさんの話を信用できそうだという印象だけで、使用条件は決まりません。
仮に証拠に使える場合でも、Bさんが実際に何を見たのか、記録や他の証拠との関係はどうかという証明力の問いが残ります。証拠に使えると判断したことを、有罪認定と同じにはしない例です。
持ち帰る見方
- 証拠能力と証明力を分ける。
- 伝聞の種類・法定例外・同意・使用目的・審問機会を対応させる。
次に広がる疑問
- 逮捕されたら有罪と決まったことになる?
- 民事裁判で「言った・言わない」はどう確かめる?
順番に読んでいる方へ
出典
刑事訴訟法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131_20260813_508AC0000000067
確認日:2026-10-04
日本国憲法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/321CONSTITUTION_19470503_000000000000000
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
使える証拠かと信用できるかは別
刑訴法317・318条は証拠による事実認定と裁判官の証明力判断を定め、320条は法定の場合以外の伝聞証拠の使用を制限する。
- 対象
- 日本の刑事公判の証拠規則:使える証拠かと信用できるかは別
- 条件
- 刑事裁判の証拠能力と証明力。
- 例外・限界
- 自由判断によって320条の使用条件を除けない。
刑事訴訟法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131_20260813_508AC0000000067
法廷の外の供述を使う原則と例外
刑訴法320条は公判供述に代える書面等を原則制限し321–328条等の例外を置く。321条1項3号は所定書面につき供述不能、不可欠性、特信情況等を求める。
- 対象
- 日本の刑事公判の証拠規則:法廷の外の供述を使う原則と例外
- 条件
- 被告人以外の供述書等のうち321条1項3号の書面。
- 例外・限界
- 裁判官面前・検察官面前等は別条件。全ての書面を同じ要件としない。
刑事訴訟法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131_20260813_508AC0000000067
同意や使う目的によっても規則が違う
刑訴法326条は検察官及び被告人の同意と作成等情況を踏まえた相当性の条件による証拠使用を認め、328条は供述の証明力を争うための所定使用を認める。
- 対象
- 日本の刑事公判の証拠規則:同意や使う目的によっても規則が違う
- 条件
- 326条の同意書面等と328条の弾劾証拠。
- 例外・限界
- 同意だけで裁判所の相当性判断が不要になるわけではない。犯罪事実の立証と証明力争いの目的を混同しない。
刑事訴訟法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131_20260813_508AC0000000067
証人に質問する機会を保障する
憲法37条は刑事被告人に証人への充分な審問機会等を保障する。刑訴法319条は自白の任意性制限と唯一証拠の場合の有罪禁止を別に定める。
- 対象
- 日本の刑事公判の証拠規則:証人に質問する機会を保障する
- 条件
- 刑事被告人の防御と証人審問、自白の特則。
- 例外・限界
- 各証拠の存在から有罪を自動認定しない。
刑事訴訟法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000131_20260813_508AC0000000067
日本国憲法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/321CONSTITUTION_19470503_000000000000000