経済の基礎

会社は株主だけのために動く?

株主は重要な立場ですが、会社は経営者、従業員、顧客、取引先などとの関係でも動きます。所有者と経営者の役割を分け、誰が決め、誰が監督するかを考えるのが企業統治です。法律の義務、経営の原則、実際の行動を区別して読みます。

基本の用語

コーポレートガバナンスは企業統治と訳されます。ここでは株式会社の所有・経営・監督の関係を中心に考え、会社の形による違いを残します。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

所有する人と、経営する人を分ける

小さな会社では持ち主が日々の経営もする場合がありますが、所有と経営が分かれる会社では、株主がすべての現場の判断を直接するわけではありません。経営を任せることには専門性を使う利点がある一方、株主と経営者の目的や情報の違いを考える必要があります。

株主は投資の成果に関心を持ち、経営者は日々の業務に詳しいという条件を置くと、報告される情報だけでは経営者の行動を完全には分からない場合があります。企業統治の問いは、利益の金額だけでなく、その判断の権限と、判断を確かめる仕組みにも向かいます。

所有・経営・監督は役割の区別です。同じ人が複数の役割を持つ場合もあります。モデル上の図だけから、日本のすべての会社に同じ機関があると決めることはできません。法律や会社の機関設計を合わせて確かめます。

取締役は、会社のために職務を行う

日本の会社法第355条は、取締役が法令、定款、株主総会の決議を守り、株式会社のため忠実に職務を行うことを定めています。「株式会社のため」という義務を、ある一人の株主の目先の要求にすべて従うことと置き換えないようにします。

取締役会設置会社については、第362条が取締役会の業務執行の決定、取締役の職務執行の監督、代表取締役の選定・解職などを定めています。第295条第2項では、その会社の株主総会が決議できる事項を法に定める事項と定款で定めた事項へ限っています。株主総会と取締役会が何でも同じように決めるわけではありません。

これらは対象を伴う制度の説明です。すべての会社が取締役会設置会社とは限らず、機関設計による違いがあります。また、監督する権限があることと、実際に適切な監督ができたことも別です。制度の存在だけで問題が起きないと保証することはできません。

株主以外にも、会社を支える人がいる

東京証券取引所の2021年版コーポレートガバナンス・コードは、上場会社の成長や企業価値が、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会などの貢献にも支えられるとし、適切な協働へ努める原則を示しています。株主の権利と、株主以外の立場を両方扱っています。

これはコードに書かれた原則の確認で、会社法の条文そのものとは区別します。また、原則が示されたからといって、すべての会社が実現しているとか、特定の行動で企業価値が必ず上がったという実証にはなりません。ここで確認した版は2021年6月11日版です。

会社についての記事を読むときは、誰の利益をどの期間で考えるか、法的な義務か推奨される原則か、実際の判断をどう確かめるかを分けます。株主と他の関係者の利害がいつも対立するとも、いつも一致するとも先に決めず、具体的な選択と影響を見る必要があります。

今の支出と、将来の成果を考える

架空の会社が、顧客への応対を改善する研修に100万円を使う案を検討するとします。今期の費用が増えることは、将来の成果まで決めません。株主、経営者、従業員、顧客が何を期待し、誰が決め、何を報告するかを考えます。

研修で売上や満足が必ず増えるという例ではありません。費用、期待する便益、権限、監督を分けて検討するための設定です。短期の支出だけでも、望ましい目的だけでも、良い経営の結論にはできません。

考えるときの注意点

  • 2021年版コードの指定原則と会社法の指定条文を確認した説明です。現行市場すべての適用条件や、個別会社の義務・実践の全体を確認したものではありません。

持ち帰る見方

  • 所有・経営・監督の役割を分ける。
  • 会社法の義務は対象となる機関設計を確認する。
  • 株主以外との協働の原則と、実際の達成を分ける。

次に広がる疑問

  • 任せる側と動く側の情報差を見る
  • 資金を出す人と会社の関係を考える

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出典

  • The Economy 1.0, Unit 6: The firm: Owners, managers, and employees(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/06.html

    確認日:2026-10-04

  • 会社法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索(法令本文))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/417AC0000000086

    確認日:2026-10-04

  • コーポレートガバナンス・コード(2021年6月11日再改訂)(東京証券取引所(金融庁掲載))https://www.fsa.go.jp/news/r2/singi/20210611-1/05.pdf

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

所有する人と、経営する人を分ける

株主と経営者の分離による情報と利害の違いを所有・監督の模型として考える。

対象
CORE6.2 separation of ownership/control、6.1 information
条件
株式会社の概念と模型
例外・限界
日本法の全機関設計を模型から確定しない
  • The Economy 1.0, Unit 6: The firm: Owners, managers, and employees(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/06.html

取締役は、会社のために職務を行う

会社法355条は株式会社のための忠実義務、362条は取締役会設置会社の決定・監督等を定める。

対象
会社法本則第295条2項、第355条、第362条2項
条件
対象は株式会社、取締役会設置会社
例外・限界
全会社へ同じ機関を当てはめない
  • 会社法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索(法令本文))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/417AC0000000086

株主以外にも、会社を支える人がいる

2021年東証コードは上場会社と従業員・顧客・取引先・債権者・地域社会等との協働の原則を示す。

対象
2021年東証CGコードp.1定義、基本原則2(p.8)、4-5(p.17)
条件
原則・推奨であり会社法の条文と区別
例外・限界
全企業の現実の達成度・現行市場全適用を確認したとはしない
  • コーポレートガバナンス・コード(2021年6月11日再改訂)(東京証券取引所(金融庁掲載))https://www.fsa.go.jp/news/r2/singi/20210611-1/05.pdf