数字と報道
産業の分類が変わると、同じ業種の増減を比べられる?
同じ名前の業種でも、分類の改定で含まれる活動が変わると、前後の数字は同じ範囲を数えていない場合があります。新旧の対応表、同じ分類で再集計した過去の値、二つの分類で並べた値を確認してから増減を読みます。
基本の用語
統計の増減を読むには、対象の定義をそろえる必要があります。分類の番号はその定義を整理する道具であり、番号の一致だけが比較条件ではありません。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 前に発表された統計が後で変わるのはなぜ?追加情報による推計改定、基準や定義の変更、誤りの訂正と公表版を区別する。
- 行政が持つ記録を集めれば、社会全体の統計になる?行政手続きの記録対象と、統計で知りたい社会の対象・単位・時点を比べる。
分類の版をそろえる
産業分類は、経済活動を区分して集計する枠組みです。分類の版が変われば、ある活動が別の項目へ移るなど、内訳の範囲が変わりえます。社会で実際に生産が変わることと、同じ活動を入れる箱が変わることを分けます。
以前100、現在120という数字が同じ業種名で載っていても、以前は含まなかった活動を現在含めるなら、20の増加全てをその業種の成長とは読めません。項目の定義、分類の版、切替時点を確認します。
対応表は移る先を示す
Eurostatは、産業分類NACEのRev.2からRev.2.1への対応表を提供しています。旧区分の活動が新分類でどこへ入るかを示す資料です。これはEUの分類移行の例で、日本の分類と同じ番号を使うという意味ではありません。
対応が分かることと、移る各活動の値が分かることは違います。旧区分が二つへ分かれる場合、旧区分の合計だけでは各部分の金額は決まりません。番号を機械的に置き換えるだけで、同じ範囲の過去系列が得られるとは限りません。
対応表を読むときは、旧区分から新しいどの区分へ活動が移るかを追います。複数の旧区分が集まる場合と、一つが分かれる場合を区別すると、合計だけで作れる比較と、より詳しい資料が必要な比較が見えます。
過去を新分類で再集計する
同じ版の時系列を作るため、過去の値を新しい分類で示し直すbackcastingがあります。一定期間、旧分類と新分類の両方で報告するdouble reportingも、切替えの影響を見る材料になります。
Eurostatはこうした方法を案内していますが、全統計の全期間が必ず接続済みという意味ではありません。使う表がどの版へどこまで作り直されたか、どんな再推計方法かを確認します。最新の表であることだけで、古い表の内訳と同じ比較にはなりません。
合計の一致だけでは足りない
全体の合計が同じでも内訳は変わりえます。分類替えで一方へ活動が移れば、別の区分は減り、全体を足すと変化しない場合があります。合計の一致だけで、各業種の比較まで成立したとはいえません。
共通の広い範囲へまとめて比べられる場合もあります。ただし、その範囲が本当に新旧で同じかを確認します。必要な細区分が分からなければ、分割割合を推測して実測値にせず、再集計された系列や両分類の対応データを探します。
架空の例:旧合計100から新内訳は決まらない
旧分類のAは100、新分類ではその活動がBとCへ分かれるとします。BとCの合計が100だと分かっても、B60・C40か、B20・C80かは旧合計だけでは決まりません。
現在のBが70でも、旧Bに相当する部分が不明なら、Bが何%成長したかは計算できません。同じ分類で過去を再集計した値があるか、BとCをまとめた同じ範囲なら比較できるかを確認します。
持ち帰る見方
- 分類の版と、項目へ含む活動の範囲をそろえる。
- 対応表の存在と、過去の値の再集計を区別する。
- 全体合計の一致だけで、内訳の比較を保証しない。
次に広がる疑問
- 新旧の区分は一対一で対応するか、分割や統合があるか。
- 同じ分類で作り直した過去の値は公表されているか。
出典
NACE Rev.2.1 — Transition(Eurostat)https://ec.europa.eu/eurostat/web/nace/transition
確認日:2026-10-05
本文の出典・補足
分類の版をそろえる
分類が変わると、一つの項目へ含まれる活動の範囲が変わりうる。同じ名前や番号だけで前後の値を同じ範囲の増減として比べない。
- 対象
- 取得時の分類変更・対応表・backcastingの方法説明。
- 条件
- 産業分類の版・定義・適用時点を確認する。
- 例外・限界
- 社会の変化と分類替えが同時に起こる可能性がある。
NACE Rev.2.1 — Transition(Eurostat)https://ec.europa.eu/eurostat/web/nace/transition
対応表は移る先を示す
Eurostatは旧NACE Rev.2の活動がRev.2.1のどこへ入るか示す対応表を提供している。
- 対象
- 取得時の分類変更・対応表・backcastingの方法説明。
- 条件
- 活動の対応と公表済み合計値の対応を区別する。
- 例外・限界
- 旧合計が複数区分へ分かれる場合、対応表だけでは各部分の金額が決まらない。
NACE Rev.2.1 — Transition(Eurostat)https://ec.europa.eu/eurostat/web/nace/transition
過去を新分類で再集計する
同じ版の時系列を作るため、Eurostatは過去を新分類で示すbackcastingや、一定期間両分類で報告するdouble reportingを案内している。
- 対象
- 取得時の分類変更・対応表・backcastingの方法説明。
- 条件
- 当該統計で再推計された範囲と方法を読む。
- 例外・限界
- 全統計の全期間が必ず接続済みという意味ではない。
NACE Rev.2.1 — Transition(Eurostat)https://ec.europa.eu/eurostat/web/nace/transition
合計の一致だけでは足りない
全体合計が変わらない分類替えでも内訳は変わりうる。新旧の区分を比べるには、再集計の情報か、同じ広い範囲へまとめられる条件を確認する。
- 対象
- 取得時の分類変更・対応表・backcastingの方法説明。
- 条件
- 一つの合計を分ける数学的な整理。
- 例外・限界
- 分割の割合を推測して実測の増減としない。
NACE Rev.2.1 — Transition(Eurostat)https://ec.europa.eu/eurostat/web/nace/transition