政治の仕組み

製品でけがをしたら、メーカーの過失を証明する必要がある?

製造物責任法では、メーカー等の不注意という過失を責任の要件とせず、製品の欠陥を基準にします。ただし、欠陥と損害、それらのつながりなどは必要です。事故が起きただけで必ず賠償になるわけではありません。

基本の用語

過失は必要な注意を欠くこと、欠陥は製造物が通常備えるべき安全性を欠くことです。誰が不注意だったかという問いと、製品が安全性を欠いていたかという問いを分けます。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

欠陥は、期待した性能ではなく安全性の問題

製造物責任法の対象は、製造又は加工された動産です。動産は土地や建物のような不動産と区別される物で、電気器具などを考えられます。何でもこの法律の製造物になるわけではなく、不動産や加工されていない自然物を当然に含めることはできません。

この法律の「欠陥」は、製品が通常備えるべき安全性を欠くことです。製品の特性、通常予見される使い方、メーカー等が引き渡した時期などを考慮します。期待した性能が出ないという不満と、身体などを害する安全性の問題を分けます。

事故が起きたときは、どんな製品を、どのように使い、どの安全性が欠けていたのかを結び付けて考えます。事故の発生と欠陥の存在は同じ言葉ではないため、事故があったという一点だけで欠陥と決めることはできません。

メーカーの過失に代えて、製品の欠陥を問う

メーカー等が引き渡した製品の欠陥によって、他人の生命・身体・財産を侵害した場合、この法律の賠償責任が問題になります。通常の責任要件に、メーカー等が注意を怠ったという過失は挙げられていません。「担当者の不注意を証明できない」というだけで、この責任がないとは決まりません。

一方、何も示さずに賠償を得られる仕組みでもありません。製品の欠陥、発生した損害、欠陥がその損害を生じさせたという因果関係などを確かめる必要は残ります。誰かが不注意だったかという問いと、欠陥が被害を生んだかという問いを区別します。

責任を負う「製造業者等」には、業として製造・加工・輸入した者のほか、製造業者として、又は製造業者と誤認させるように自分の名称等を製品へ表示した者などが含まれます。店で売った人が、必ずこの法律の製造業者等になるわけではありません。

製品だけが壊れた場合と、けがをした場合は違う

損害が、その欠陥のある製品自体にだけ生じた場合は、製造物責任法3条の責任の対象から除かれます。製品の故障だけで終わった場合と、けがをしたり周囲の物を壊したりした場合を分けて見ます。

この除外は、契約や民法に基づく別の請求まで一切できないという意味ではありません。製品が壊れたという同じ出発点でも、被害がどこまで及んだかによって、製造物責任法による問いは変わります。求める回復と、その根拠になる責任を対応させます。

メーカー等が証明すると責任を免れる事情

法律には、メーカー等が所定の事情を証明したときに賠償責任を免れる「免責」の規定もあります。一つは、引渡時の科学や技術の知見では欠陥を認識できなかった場合です。担当者が知らなかったというだけで、その時点の科学や技術でも認識できなかったとはいえません。

もう一つは、他の製品に使われた部品や原材料の欠陥が、専らその製品のメーカーの設計指示に従って生じ、しかも欠陥の発生について過失がない場合です。部品であることや指示を受けたことだけでは足りません。通常の責任要件で過失を問わないことと、この部品等の免責で過失がないことを要する点は区別します。

同じ器具の事故でも、被害の範囲を比べる

架空の例

A社が製造して引き渡した電気器具が、通常備えるべき安全性を欠き、その欠陥によってBさんがけがをしたとします。製造物責任では、担当者がどの注意を怠ったかだけに問題を絞りません。欠陥、けがによる損害、欠陥とけがのつながりを確かめます。

別の設定で器具だけが壊れ、けがも周囲の物への損害もなかった場合は、3条の責任から除かれる場合です。Bさんが購入先などに求める別の請求とは要件を分けます。製品名や故障の有無だけでなく、誰の身体やどの物に被害が及んだかが、二つの設定の違いです。

持ち帰る見方

  • メーカー等の過失に代えて、製品の欠陥と損害のつながりを問う。
  • 製品だけの損害は3条の対象から除かれ、免責にも所定の条件がある。

次に広がる疑問

  • 一般の不法行為の過失と、製品の欠陥を比べる
  • 食品の安全管理制度と、事故後の賠償責任を分ける
  • 欠陥と損害のつながりを示す資料を考える

学習地図で、ほかの分野とのつながりを見る

出典

  • 製造物責任法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/406AC0000000085_20200401_429AC0000000045

    確認日:2026-10-05

本文の出典・補足

欠陥は、期待した性能ではなく安全性の問題

製造物責任法は製造又は加工された動産を製造物とし、特性、通常予見される使用形態、引渡時期等を考慮して通常有すべき安全性を欠くことを欠陥とする。

対象
日本、2026年10月5日時点。製造物責任法(2020年4月1日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
条件
2条1・2項。何かが故障したというだけでなく安全性の欠陥の要件を区別。
例外・限界
不動産や未加工自然物を当然に同法の製造物へ含めない。具体使用が予見されるかなどの欠陥判断を教材だけで決めない。
  • 製造物責任法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/406AC0000000085_20200401_429AC0000000045

メーカーの過失に代えて、製品の欠陥を問う

製造業者等は引き渡した製造物の欠陥により他人の生命・身体・財産を侵害した場合に賠償責任を負う。3条は通常の責任要件として製造業者等の過失を挙げず、欠陥、侵害、損害、因果関係を定める。

対象
日本、2026年10月5日時点。製造物責任法(2020年4月1日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
条件
業として製造/加工/輸入した者、法定の表示製造業者等に当たる者とその引渡製造物。
例外・限界
欠陥又は因果関係等の要件がなくても事故だけで自動賠償ではない。販売者を常に製造業者等に含めない。過失不要を「何も示さなくてよい」と言い換えない。
  • 製造物責任法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/406AC0000000085_20200401_429AC0000000045

製品だけが壊れた場合と、けがをした場合は違う

製造物責任法3条は製品の欠陥による生命・身体や他の財産の損害を対象とする一方、損害が当該製造物にだけ生じた場合は同条の責任の対象から除く。

対象
日本、2026年10月5日時点。製造物責任法(2020年4月1日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
条件
製品だけが壊れた例と、けがや周辺物への損害が生じた例の比較。
例外・限界
製品自体だけの損害についてPL法3条が適用されないことを、あらゆる法的救済がないことと混同しない。民法による責任等は別の条件で判断。
  • 製造物責任法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/406AC0000000085_20200401_429AC0000000045

メーカー等が証明すると責任を免れる事情

製造業者等が、引渡時の科学/技術の知見では欠陥を認識できなかったこと、又は部品/原材料の欠陥が専ら他の製造業者の設計指示に従って生じかつ過失がないことを証明すれば、4条の免責となる。

対象
日本、2026年10月5日時点。製造物責任法(2020年4月1日施行版)の該当規定。過去の手続・行為は経過措置により適用が異なる場合がある。
条件
4条の製造業者等による証明。知見は実際の当該担当者の知識だけと同じではない。
例外・限界
単に会社が知らなかった、部品だった、設計指示があっただけで免責とはしない。過失不要の原則と、部品免責の過失なし条件を区別。
  • 製造物責任法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/406AC0000000085_20200401_429AC0000000045