政治の仕組み
契約をしていなくても、相手に賠償を求められる?
契約をしていない相手にも、一定の条件で損害賠償を求められます。不法行為は、故意や過失によって他人の権利・保護される利益を侵害し、損害を生じさせたことを問題にします。損害があったこと、相手が責任を負うこと、金額を回収できることを分けます。
基本の用語
民事の賠償は損害への責任を問う手続で、刑事の処罰や契約上の約束の履行とは、根拠と要件が異なります。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 契約は紙に署名しないと成立しない?申込みと承諾、法令の特則を確かめる。
契約がなくても責任の根拠がある
民法709条は、故意又は過失により他人の権利や法律上保護される利益を侵害した者に、それによって生じた損害の賠償責任を定めます。契約の相手でなくても、事故などの行為についてこの責任が問題になります。契約書がないというだけで、賠償の根拠がないとは限りません。
ただし、困ったことや損失が生じたというだけで全要件がそろうわけではありません。誰のどの行為があり、故意や過失、侵害、損害とそのつながりをどう示すかが重要です。契約で約束した義務を守らない場合の債務不履行の責任とは、適用する根拠を分けて確かめます。
相手の行為と損害が同じ時期にあったというだけでは、損害の全てがその行為によるものと分かりません。修理の記録、事情の説明、出来事の順序などを、示したい事実に対応させます。責任を求める言葉を強くすることより、どの要件をどの資料で確かめるかが重要です。
金銭以外の被害も損害として考える
賠償の対象は、物の修理費などの財産上の損害だけに限られません。民法710条は、709条の責任がある者に財産以外の損害についても賠償を求めます。一般に慰謝料と呼ばれる問題も、責任と損害の内容を確認する必要があります。つらかったという言葉だけで希望した額が決まる規則ではありません。
被害者にも過失があった場合には、裁判所がそれを考慮して賠償額を定めることができます。損害の総額と、相手が負担する賠償額を必ず同じにするわけではありません。具体的な行為や事情に基づく判断が必要で、事故という名称から一律の過失割合を当てはめないようにします。
本人の責任と監督する人の責任
本人に責任を理解する能力がない場合には、責任の扱いが異なります。未成年者については、自分の行為の責任を理解するに足りる能力がなかった場合に免責する規定があります。18歳未満であるだけで、全員の賠償責任がなくなるわけではありません。
本人が責任能力を欠いて免責される場合には、法定の監督義務者などの責任が問題になります。監督義務を怠らなかった場合や、怠らなくても損害が生じた場合などの免責条件もあります。家族という関係だけで、常に全ての損害を代わりに払うと決める説明にはしません。
仕事中の行為では使用者の責任も問題になる
仕事の場面では使用者責任があります。民法715条は、被用者が事業の執行について第三者に加えた損害について、使用者の責任を定めます。加害した本人との関係だけでなく、誰がどの事業のためにその人を使用していたかも見る必要があります。
法は選任・監督の相当な注意などの免責条件と、使用者から被用者への求償も定めます。雇用されているというだけで、全ての私生活の行為を会社が負担するものではありません。また、賠償を求められる相手が分かっても、支払いや回収は別です。証拠の整理と、必要な手続を合わせて考えます。
通行人の物を壊した場合を考える
架空のAさんが不注意で通行人Bさんの持ち物を壊したとします。二人の間に売買などの契約はありません。それでも、不注意、権利の侵害、修理費などの損害とのつながりを確認する不法行為の問いがあります。
Aさんが会社の仕事として行動していたなら、事業の執行についての損害か、使用者責任の条件も調べます。ここでAさん又は会社の責任や金額を確定するのではなく、契約の有無とは別の確認項目を示しています。
持ち帰る見方
- 契約がないことと賠償の根拠がないことは別。
- 行為・過失等・侵害・損害のつながりと、責任を負う主体を確認する。
次に広がる疑問
- 契約は紙に署名しないと成立しない?
- 民事裁判で「言った・言わない」はどう確かめる?
順番に読んでいる方へ
出典
民法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/129AC0000000089_20260624_508AC0000000045
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
契約がなくても責任の根拠がある
民法709条は故意又は過失による権利又は法律上保護利益の侵害と生じた損害への賠償責任を定める。415条の債務不履行とは根拠が異なる。
- 対象
- 不法行為の要件と契約不履行、刑事責任はどう違うか。:契約がなくても責任の根拠がある
- 条件
- 指定2026-06-24版、行為・過失等・侵害・損害の関係。
- 例外・限界
- 被害の主張だけで全要件が成立するわけではない。
民法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/129AC0000000089_20260624_508AC0000000045
金銭以外の被害も損害として考える
民法710条は財産以外の損害の賠償を定め、722条2項は被害者の過失を考慮して賠償額を定めることができるとする。
- 対象
- 不法行為の要件と契約不履行、刑事責任はどう違うか。:金銭以外の被害も損害として考える
- 条件
- 709条による責任がある場合。
- 例外・限界
- 慰謝料額や過失割合を自動計算する規定ではない。
民法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/129AC0000000089_20260624_508AC0000000045
本人の責任と監督する人の責任
民法712–714条は責任能力を欠く未成年者等の免責と法定監督義務者等の責任・免責条件を定める。
- 対象
- 不法行為の要件と契約不履行、刑事責任はどう違うか。:本人の責任と監督する人の責任
- 条件
- 責任を弁識する能力がない場合。
- 例外・限界
- 未成年者全員が免責ではない。監督義務者も法定の免責条件がある。
民法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/129AC0000000089_20260624_508AC0000000045
仕事中の行為では使用者の責任も問題になる
民法715条は事業の執行について被用者が加えた損害の使用者責任と相当注意等による免責、被用者への求償を定める。
- 対象
- 不法行為の要件と契約不履行、刑事責任はどう違うか。:仕事中の行為では使用者の責任も問題になる
- 条件
- 被用者の事業執行における損害。
- 例外・限界
- 雇用があるだけで全私生活の行為について責任を負うとはしない。
民法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/129AC0000000089_20260624_508AC0000000045