金融と企業のお金
1株だけ買っても、株主として投票できる?
日本の単元株制度では、単元未満の株主には議決権がありません。東証の内国株の売買単位は100株なので、1株を持つことと株主総会で投票することは別です。一方、配当などの経済的な権利は残り、少数株の扱いを「権利が全くない」とまとめるのも誤りです。
基本の用語
単元は、会社が定款で定める株式のまとまりです。取引の単位、投票の権利、配当を受ける権利には、それぞれの条件があります。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 株価が上がると、会社にお金が入る?新規発行の代金と、投資家間売買の代金は行き先が違う。
売買の単位と、議決権の単位を読む
会社法188条は、会社が定款で一単元の株式数を定められるとしています。東証の内国株の売買単位は、2018年10月1日以後100株に統一されています。通常の取引所の注文を読む際は、このまとまりを基準にすることになります。
会社法189条では、単元未満株の株主には株主総会の議決権がないとされています。100株が一単元の会社で1株を持っていても、通常の議決権を持つ株主と同じ投票ができるわけではありません。「株主になった」という事実だけで、あらゆる権利が同じになるとは読めません。
この整理は、単元を設けている日本の会社についてのものです。単元のない会社や外国株、種類によって権利が異なる株式へ、100株という数字だけを広げることはできません。何株から投票できるかを考える前に、どの制度と種類の株式なのかを確かめます。
投票できなくても、経済的な権利は残る
単元未満でも、経済的な権利がすべてなくなるわけではありません。会社法は残余財産の分配などの権利を保護し、会社法施行規則35条は剰余金の配当による金銭等を受ける権利も保護しています。議決権の有無から、配当の権利まで同じ結論にすることはできません。
ただし、配当を受ける権利があることと、会社が実際に配当を行うことは別です。配当が決まっているか、権利を得る基準日にどの株式を持つかなどを確認します。1株を買えば、必ず一定の金額が支払われるという保証ではありません。
株主優待についても、議決権や法律で保護される配当の権利と一緒にまとめず、会社の実施内容や必要株数などを確認します。少数の株を持つ意味を考えるなら、投票、配当、優待の三つを別々の欄に置くと、それぞれが何を条件にしているのかを読みやすくなります。
売る方法は、通常の100株注文だけではない
会社法192条は、単元未満株の株主が、会社に対してその株式を買い取るよう請求できると定めています。この法定の買取請求は、100株をまとめて取引所へ売り注文する方法とは別です。単元未満だから、法律上どんな換金方法もないというわけではありません。
買取請求をした後の撤回には、会社の承諾が必要です。通常の注文を取り消す感覚だけで、同じように撤回できるとは考えません。少数株を手放すときにも、何の手続を使うかで条件が変わるため、請求の性質を確認することが大切です。
証券会社の少数株取引サービスは、会社への法定買取請求と同一ではありません。取引時刻、価格の決まり方、費用などはサービスの条件を確認します。「1株から買える」という入口の説明から、売るときの手続や投票の権利まで一括して推測しないことが、単元未満株を読む基本です。
1株の配当と、総会の投票を分ける
架空のA社は普通株100株を一単元とし、所定の基準日の株主へ1株につき20円の金銭配当を行うとします。条件を満たす1株の株主は20円の配当を受ける一方、その1株だけで議決権を持つことにはなりません。
100株の株主には配当の対象となる数量も増えますが、ここでの違いは金額だけではありません。配当という経済的な権利と、単元に対応する議決権を別々に確認すると、「同じ株主」の中にある条件の違いが見えます。
持ち帰る見方
- 株主であることと、議決権を持つことを分ける。
- 単元未満でも残る経済的権利を確認する。
- 少数株サービスと、会社への法定買取請求を混ぜない。
次に広がる疑問
- 配当の基準日に株を買えば、配当を受け取れる?
- 株式分割で持ち株が増えたら、資産も増える?
出典
売買単位(日本取引所グループ)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/03.html
確認日:2026-10-07
会社法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索(法令本文))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/417AC0000000086
確認日:2026-10-04
会社法施行規則(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/418M60000010012
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
売買の単位と、議決権の単位を読む
日本の会社は定款で一単元の株式数を定められ、東証内国株の売買単位は100株。単元未満株には議決権がない。
- 対象
- 会社法188・189条、東証内国株。 2026-10-07取得本文に照合した範囲。
- 条件
- 会社法188・189条、東証内国株。
- 例外・限界
- 単元を定めない会社や外国株、種類株へ一律に当てはめない。
売買単位(日本取引所グループ)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/03.html
会社法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索(法令本文))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/417AC0000000086
投票できなくても、経済的な権利は残る
単元未満株主には残余財産分配や買取請求等の権利があり、剰余金の配当による金銭等を受ける権利も省令で保護される。
- 対象
- 会社法189条2項・施行規則35条。 2026-10-07取得本文に照合した範囲。
- 条件
- 会社法189条2項・施行規則35条。
- 例外・限界
- 実際の配当や優待の有無は会社の決定・条件を確認。
会社法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索(法令本文))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/417AC0000000086
会社法施行規則(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/418M60000010012
売る方法は、通常の100株注文だけではない
単元未満株主は会社に単元未満株の買取請求ができ、請求後撤回は会社の承諾が必要。
- 対象
- 会社法192条。 2026-10-07取得本文に照合した範囲。
- 条件
- 会社法192条。
- 例外・限界
- 証券会社の少数株サービスと法定買取請求の取引条件を混ぜない。
会社法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索(法令本文))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/417AC0000000086