財政と暮らし

来年度の予算が決まる前に、国は数年分の契約を結べる?

将来の支払義務を伴う契約も、国会が予算で承認した範囲等に基づいて結べます。ただし、数年分を契約する権限と、各年にお金を支払う権限は分けます。国庫債務負担行為と継続費を読み分けると、契約総額を今年の支出と取り違えずに済みます。

基本の用語

国の予算は毎年度決めますが、工事や設備の契約が一年で終わるとは限りません。契約で約束した額と、今年実際に払う額は別です。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

契約する権限と、支払う権限を分ける

長い工事や機器の製造では、完成までの契約を先に結び、支払いが翌年度以降に分かれることがあります。毎年の支払いだけを見れば、今年の予算書にある歳出額より、国が約束する総額の方が大きくなる場合があります。将来分を自由に約束してよいという意味ではありません。

財政法は、法律に基づくものや歳出予算・継続費の範囲にあるもののほか、国が債務を負担するには、あらかじめ予算で国会の議決を経ることを求めます。この予算に基づく債務負担の仕組みを国庫債務負担行為といいます。

ここで承認するのは支払義務を負う行為の範囲です。その額を、その年に全額支出できる歳出予算と同じものとして読んではいけません。将来の支払いを約束したことと、その支払いに充てる年度の予算を用意したことを対にして追います。

支出すべき年限は原則として当該年度以降5年度以内ですが、国会の議決による延長や、土地・建物の借料などの例外があります。「国の契約はすべて必ず5年で終わる」とは言えません。具体的な契約ではどの根拠と年限を使ったかを確認します。

継続費は、総額と年度別の支出を決める

継続費は、完成に数年度を要する工事・製造等の事業について、特に必要な場合に使う制度です。経費の総額と年割額を決め、あらかじめ国会の議決を経て、その議決に従い数年度にわたり支出します。

国庫債務負担行為が債務を負う行為の承認であるのに対し、継続費では複数年度の事業の支出と年割額を承認する点に注目します。どちらも長い事業に関係しますが、「何が議決された額か」という問いは同じではありません。

継続費の支出年限も原則5年度以内で、予算による国会議決で延長できます。また、後の年度の予算審議で継続費を重ねて審議することは妨げられません。最初に長期の枠が決まったことを、その後の国会の審議が不要になると理解しないことが大切です。

予算書では、総額と今年の額を読み分ける

報道の「契約額」「今年度の予算額」「後年度負担額」は、異なる時点と承認範囲の数字です。比べる際には契約総額のうち既に支払う分と将来に支払う分を分けます。今年の歳出と、そこに含まれる契約分をもう一度足すと、同じ支払いを二重に数えます。

前年度の歳出予算を翌年度へ使う繰越しとも区別します。繰越しは確保した歳出を別の年度に執行する扱いで、将来の債務負担を新たに承認することと同一ではありません。予算書の見出しと、どの年度の何の額かを先に確認します。

将来の約束が見えることは、毎年の支払額だけから財政を読む際の補助になります。一方、契約に沿って何が納まり、その結果どんなサービスが提供されたかは別の確認です。契約の承認、支払い、完成、利用の成果をつなげると、長い事業を一つの年度の数字だけで評価せずに済みます。

3年間の契約を、今年の支払いと分ける

架空の国の設備契約で、総額を90万円、今年の支払いを20万円、翌年を30万円、翌々年を40万円と仮定します。総額90万円の約束と今年の支出20万円は、同じ年度の二つの支出ではありません。90万円に20万円を足して今年の事業費110万円とすると重複します。

将来の70万円については、どの仕組みで債務を負い、支出する権限を用意しているかを確かめます。この配分は実在契約や継続費の議決を再現したものではなく、金額の範囲を分ける例です。

持ち帰る見方

  • 契約する権限と支出する権限を分ける。
  • 国庫債務負担行為と継続費は役割が違う。
  • 契約総額と今年の歳出を二重に足さない。

次に広がる疑問

  • 会計年度と予算の繰越しを確認する
  • 相手を選ぶ契約手続きと履行を読む

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出典

  • 財政法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000034

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

契約する権限と、支払う権限を分ける

国庫債務負担行為は将来支払う債務を負担する行為の予算承認で、原則当該年度以降5年度以内に支出する。

対象
日本の国の予算による国庫債務負担行為の承認
条件
法律/歳出予算/継続費範囲以外の債務負担は国会予算議決。
例外・限界
国会議決延長や土地建物借料等の列挙例外あり。
  • 財政法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000034

継続費は、総額と年度別の支出を決める

継続費は数年度を要する事業に特に必要な場合、総額と年割額を国会が議決して数年度にわたり支出する制度。

対象
日本の国の複数年度事業の継続費と総額・年割額の議決
条件
完成に数年度要する工事製造等、特に必要な場合。
例外・限界
原則5年度、国会議決延長あり、後年度予算審議で重ねて審議可能。
  • 財政法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000034

予算書では、総額と今年の額を読み分ける

複数年度契約の総額と、今年の支払額・翌年の支出予算、前年度予算の繰越しは別の数字。

対象
日本の国の複数年度の契約・支出予算・前年度歳出の繰越しの比較
条件
制度区分と承認範囲を見る。
例外・限界
国庫債務負担行為額を今年歳出へ単純加算しない。
  • 財政法(e-Gov法令API取得本文)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000034