政治の仕組み

市議一人の提案だけで、条例案を議会へ出せる?

市議は議案を提出できますが、議員の定数の12分の1以上の者の賛成と、文書による提出が必要です。提出できたことは可決とは別です。予算は議員提出の対象から外れ、委員会が議案を提出する経路もあります。

基本の用語

条例の制定・改廃は議会の議決事項です。ここでは地方議員が議案を出す入口を扱います。住民が署名して行う直接請求や、国会議員の法案提出とは条件が違います。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

議員の発議には賛成者と文書が必要

地方自治法112条は、地方議員が議会の議決すべき事件について議案を提出できると定めます。ただし、提出には定数の12分の1以上の者の賛成が必要です。案を考えた議員の人数と、提出に必要な賛成者の条件を区別します。

例えば定数24人なら、12分の1は2人です。定数30人なら2.5人なので、人数が整数である以上3人以上を要します。当日会議に来た人数を分母にしたり、端数を切り捨てたりすると、法が求める割合を満たせません。

提出は文書で行います。会議で政策への希望を述べたこと、条例案の文書が提出されたこと、議会が採決したことは違う段階です。議案の表題や提出者を見たら、賛成者と提出日も合わせて確かめると、その案の位置が分かります。

予算は議員提出の対象から外れる

議員の議案提出権には、予算を除くという明示の規定があります。「議決する案件なら議員が何でも提出できる」と広げると、この除外を落とします。条例案と予算案そのものを、同じ提出条件で整理してはいけません。

これは、議員が予算を審議したり、費用の妥当性を問いただしたりできないという説明ではありません。案を正式に提出する権限と、提出された案を審議し議決する役割は別です。議員の発言がどちらに当たるかを、会議録の扱いから確認します。

また、政策にお金が関係するという日常的な意味と、提出する文書が予算そのものかという問いも分けます。ニュースの「予算を伴う提案」という言葉だけで、議案の法的な種類を推測せず、実際の議案名と内容を読みます。

委員会が提出する経路もある

109条は、委員会がその部門に属する議決事件について、議会へ議案を提出できると定めます。こちらも文書で提出し、予算は除外されています。議員個人の発議と、委員会としての提出は別の経路です。

委員会の名前が提出者になっている案に、個人の提出に必要な12分の1という条件をそのまま当てはめることはできません。まず、誰がどの条文の権限で提出したかを確かめます。提出者の形式が違えば、見るべき手続記録も違います。

どの経路でも、案が出たことは議会が承認したことではありません。提出条件の賛成と、最終の議決の賛成を同じ数字だと思わず、議案の提出記録と採決記録を分けて読みます。成立した条例を知りたいときは、公布と施行の時点まで続けて確かめます。

議案を出す経路
  • 議員の提出

    定数の12分の1以上の賛成・文書

  • 委員会の提出

    その部門の議決事件を文書で提出

  • 予算案

    この二つの提出権の対象から除外

提出の条件を満たすことと、議会の可決は別です。

架空の図書館利用条例案

定数30人の市議会で、ある議員が図書館の利用ルールを変える条例案をまとめたとします。提出段階では、12分の1以上という条件を人数で満たしているかと、文書による提出を確認します。2人だけでは2.5人相当の基準に達しません。

所定の賛成者を得て案が提出されても、残りの議員が賛成したとは言えません。後の審議で内容が修正されるか、可決されるかは別です。委員会名で別案が出た場合も、誰の提案かを一つの人数条件へまとめずに読みます。

持ち帰る見方

  • 定数を分母にし、提出段階の賛成者を確かめる。
  • 個人発議、委員会提案、予算案を分ける。

次に広がる疑問

  • 議員が出す法案と、内閣が出す法案は何が違う?
  • 市議会で賛否が同数になったら、議案は否決?

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出典

  • 地方自治法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/322AC0000000067

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

議員の発議には賛成者と文書が必要

地方議会の議員は議決すべき事件について議案を提出でき、定数の12分の1以上の者の賛成と文書による提出が必要である。

対象
日本の議員発議の賛成者要件と予算除外。2026年10月7日現在。
条件
地方自治法112条。
例外・限界
提出要件の人数と可決に必要な人数は別。
  • 地方自治法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/322AC0000000067

予算は議員提出の対象から外れる

議員による議案提出権の対象から予算は除かれている。

対象
日本の議員発議の賛成者要件と予算除外。2026年10月7日現在。
条件
112条1項ただし書。
例外・限界
予算について発言や審議ができないという意味ではない。
  • 地方自治法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/322AC0000000067

委員会が提出する経路もある

委員会はその部門に属する議決事件について文書で議案を提出できるが、予算は除かれる。

対象
日本の議員発議の賛成者要件と予算除外。2026年10月7日現在。
条件
109条6・7項。
例外・限界
議員個人の賛成者要件を委員会提案にそのまま適用しない。
  • 地方自治法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/322AC0000000067