お金と金融
保険の告知は、担当者へ口頭で話せば済む?
営業担当者との会話だけでは、生命保険の正式な告知になりません。保険会社が質問した重要な事項について、指定の告知書や医師への回答などで事実を伝えます。違反があっても、契約解除の条件と、起きた事故への給付の条件は分けて読む必要があります。
基本の用語
告知は、保険会社が危険を判断するための質問に答える手続です。ここでは2010年4月1日施行の保険法を、原則その施行後の生命保険契約について読みます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 保険は、みんなが払った以上のお金を配れる?一人の多額の給付は、多数の人の分担で支えられる。
聞かれた健康状態などを、指定の方法で告げる
保険法37条は、生命保険の危険に関する重要な事項のうち、保険会社が質問したものについて、事実を告げる義務を定めています。思い付く健康情報を際限なく全部話すという説明ではなく、質問の内容と期間に沿って事実を答える関係です。
生命保険文化センターは、現在の健康状態、過去の病歴、職業などを、告知書や保険会社の指定した医師の質問に対して正確に伝えると説明しています。営業職員や保険代理店の担当者などへ口頭で話しただけでは告知になりません。「担当者が聞いた」と「会社に正式に告知した」を分けます。
質問に病歴を答えたからといって、必ず加入できないとも限りません。通常の条件や特別の条件で引き受けられる場合などがあります。加入できるかを自己判断して回答を省くのではなく、聞かれた事項の事実を所定の方法で伝え、その回答に基づく条件を確認します。
告知義務違反でも、解除には条件がある
保険法55条では、故意または重大な過失によって告知せず、あるいは虚偽の告知をした場合、保険会社が契約を解除できると定めています。回答が違っていたという一点だけから、あらゆる誤記について同じ解除ができると読むことはできません。違反の要件を照らす必要があります。
保険会社が事実を知っていた場合や、過失によって知らなかった場合には、解除できない規定があります。また、契約の媒介者が告知を妨げたり、事実を告げないことや虚偽の告知を勧めたりした場合にも、解除できない規定が設けられています。
もっとも、媒介者の行為がなくても同じ告知義務違反をしたと認められる場合には、その妨害などの例外は適用されません。担当者が何を言ったか、正式な質問が何で、どう回答したかを分けて記録します。口頭説明が正式告知にならないことと、媒介者の行為が無関係になることは同じではありません。
解除と、起きた事故への給付を分ける
解除できるかという問題の次に、解除前に起きた事故に保険金などを払うかという問題があります。保険法59条は、告知義務違反による解除の場合、解除前の事故についても原則として給付責任を負わないと定めつつ、違反した事実に基づかずに発生した事故を別に扱っています。
そのため、「告知に間違いがあったら、どんな事故も必ず不払い」とは整理できません。解除の要件を満たすか、事故が告知されなかった事実に基づくかを区別します。逆に、事故との関係がないことだけから、契約を続けられるかまで同じ結論にしてはいけません。
確認には、申込時の質問と回答、担当者とのやり取り、問題になった事実、発生した事故の関係が必要です。正式な告知を行うことは、契約条件の確認にもつながります。会話の記憶だけに頼らず、どの質問へどの方法で回答したかを追えるようにすると、論点を整理しやすくなります。
会話した内容が告知書に入っていない場合
架空のAさんは、営業担当者へ通院歴を話しましたが、告知書の該当する質問には記入しませんでした。担当者が聞いていたという事情だけで、指定の告知手続が済んだとはいえません。質問の期間と内容、実際の回答をまず確認します。
担当者から記入しないよう勧められていたなら、そのやり取りは解除の条件を検討する別の論点になります。さらに給付については、発生した事故と告知されなかった事実との関係も確認する必要があります。
持ち帰る見方
- 指定の質問へ、正式な方法で事実を伝える。
- 口頭の会話と告知、解除の条件を区別する。
- 契約解除と、事故への給付の条件を別に読む。
次に広がる疑問
- 生命保険を途中でやめると、払った保険料が全部戻る?
- 契約は紙に署名しないと成立しない?
順番に読んでいる方へ
出典
保険法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/420AC0000000056
確認日:2026-10-07
契約申込みから契約成立までの流れと重要事項(生命保険文化センター)https://www.jili.or.jp/knows_learns/basic/point/18.html
確認日:2026-10-07
保険法の概要(生命保険文化センター)https://www.jili.or.jp/knows_learns/law/
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
聞かれた健康状態などを、指定の方法で告げる
生命保険の告知義務は危険に関する重要事項のうち保険者が質問したものの事実を告げる義務である。営業担当者への口頭説明だけでは告知にならない。
- 対象
- 2010-04-01施行保険法37条、原則施行後契約。 2026-10-07取得本文に照合した範囲。
- 条件
- 2010-04-01施行保険法37条、原則施行後契約。
- 例外・限界
- 指定医師への告知等と営業職員への会話を区別。
保険法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/420AC0000000056
契約申込みから契約成立までの流れと重要事項(生命保険文化センター)https://www.jili.or.jp/knows_learns/basic/point/18.html
保険法の概要(生命保険文化センター)https://www.jili.or.jp/knows_learns/law/
告知義務違反でも、解除には条件がある
故意又は重大な過失による不告知・虚偽告知は解除理由になるが、保険者の認識・媒介者の妨害や不実告知の勧め等には解除できない規定がある。
- 対象
- 保険法55条。 2026-10-07取得本文に照合した範囲。
- 条件
- 保険法55条。
- 例外・限界
- 媒介者の行為がなくても違反したと認められる場合は妨害等の例外不適用。
保険法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/420AC0000000056
解除と、起きた事故への給付を分ける
告知違反による解除前の事故でも原則免責となるが、違反事実に基づかず発生した事故は別である。
- 対象
- 保険法59条2項1号。 2026-10-07取得本文に照合した範囲。
- 条件
- 保険法59条2項1号。
- 例外・限界
- 単なる誤記を全て不払いにせず原因と解除要件を照合。
保険法(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/420AC0000000056