数字と報道
平均で毎年10%増えたら、2年で21%増えている?
「平均」が算術平均なら、そうとは限りません。毎期の増減は率を足すのでなく、1+率という倍率を掛けて累積します。同じ最終値を作る一定の毎期成長率を知りたいときは、正の倍率の幾何平均から求めます。
基本の用語
毎期10%という一定率なら、二期の倍率は1.1×1.1=1.21です。しかし、違う増減率を平均して10%だった場合、同じ計算になるとは限りません。何を平均し、どんな変化を一つの数で表したいかを先に決めます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 同じ年利でも、利息を受け取るか残すかで増え方は変わる?複利は積み上がった利息にも次の利息を付ける。
- 統計の数字は、何を数えたもの?対象・分母・期間・平均を確かめる
増減率を倍率へ直して掛ける
成長率を小数のrで表すと、期末の値は期首の値の1+r倍です。30%増は1.3倍、10%減は0.9倍になります。期間ごとの率が負でも、減少が100%未満なら倍率は正です。率そのものと倍率の符号を混同しないようにします。
正の数を等しい重みでまとめる幾何平均は、それらの積のn乗根です。成長をまとめる場合には、同じ長さの期間の倍率をこの方法で平均します。年率と月率をそのまま同じ重みで並べる比較ではありません。
同じ最終値を作る一定率を求める
各期の倍率の積をPとします。同じ倍率をn回掛けてPを作るなら、一回の倍率はPのn乗根です。そこから1を引くと、同じ累積変化を作る一定の毎期成長率になります。始点と終点をつなぐ等期間の相当率です。
この計算では、期末値が期首値にその期の倍率を掛けて変わる形を置きます。追加入金や引き出しなど、別の金額変化を率の変化に混ぜません。また、同じ始点と終点でも途中の上昇・下落の大きさが同じになるわけではありません。
平均10%という言葉の計算法を確かめる
二期の率が30%と−10%なら、算術平均は(30−10)÷2=10%です。しかし累積倍率は1.3×0.9=1.17なので、二期を通じた増加は17%です。平均した10%を二回掛ける1.21とは異なります。
この二期と同じ最終値を作る一定率は、√1.17−1で約8.17%です。算術平均の10%も計算自体が誤りなのではなく、「各期の率を足して割る平均」と「一定率を繰り返して同じ最終値を作る平均」が答える問いの違いです。
ゼロや負の倍率を同じ式へ入れない
正の倍率なら、幾何平均は対数を取って平均し、指数に戻す形でも表せます。通常の実数対数は正の入力で定義されるため、この計算で確認するのは成長率rの正負ではなく、倍率1+rが正かどうかです。
−100%なら倍率は0です。積を0とする計算と、0の実数対数が使えることは別で、同じ対数式には入れられません。さらに負の倍率も同じ式の対象外です。残高が0になった後の成長率は、前期残高で割る通常の比としても定義できません。
100から始めて二期の倍率を掛ける
架空の例
初期値100に一期間目の1.3を掛けると130、次の0.9を掛けると117です。一定10%なら100から110、121となり、最終値が違います。√1.17という一定倍率を二回掛ければ117となります。
同じ長さの二期間で、入出金や費用を置かない計算です。この一定率は始点と終点を結びますが、実際の経路にあった30%増と10%減という途中の変動までは表しません。
持ち帰る見方
- 等期間の成長率を倍率へ直し、その積から一定の相当率を求めます。
- 算術平均と幾何平均が答える問いを分け、倍率が正という条件を確認します。
次に広がる疑問
- 一定の利率を繰り返す複利の仕組みを読む
- 数字の対象と単位を確かめる
- 隣接期間の比較をつなぐ実質GDPを読む
出典
gmean — SciPy Manual(SciPy community)https://docs.scipy.org/doc/scipy/reference/generated/scipy.stats.gmean.html
確認日:2026-10-05
College Algebra 2e, 6.4 Graphs of Logarithmic Functions(OpenStax/Jay Abramsonほか)https://openstax.org/books/college-algebra-2e/pages/6-4-graphs-of-logarithmic-functions
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
増減率を倍率へ直して掛ける
等しい重みの正の数の幾何平均は、それらを掛け合わせた積のn乗根である。等しい長さの期間ごとの成長率をまとめるときは、率そのものではなく、1+成長率という倍率を平均する。
- 対象
- 正の成長倍率の幾何平均と、それを成長率へ戻す計算。
- 条件
- 成長率rを小数で表し、倍率1+rが正で、各期間の長さをそろえる。
- 例外・限界
- 成長率が負でも倍率が正なら使える。例えば−10%は倍率0.9であり、負の倍率ではない。
gmean — SciPy Manual(SciPy community)https://docs.scipy.org/doc/scipy/reference/generated/scipy.stats.gmean.html
同じ最終値を作る一定率を求める
各期の倍率を掛けた積をPとすると、n期を通じて同じ累積倍率を作る一定の毎期成長率は、Pのn乗根から1を引いた値になる。算術平均の率を毎期の固定率として繰り返す計算とは異なる。
- 対象
- 幾何平均の定義からの複利の算術整理。
- 条件
- 等期間で、期末値が期首値×その期の倍率となり、追加入金など別の金額変化を混ぜない模型。
- 例外・限界
- 始点と終点が同じでも、途中の変動の大きさまで同じとはいえず、将来も同じ率になる保証ではない。
gmean — SciPy Manual(SciPy community)https://docs.scipy.org/doc/scipy/reference/generated/scipy.stats.gmean.html
平均10%という言葉の計算法を確かめる
二期の増減率を30%と−10%にすると、算術平均は10%だが、累積倍率は1.3×0.9=1.17で17%増となる。毎期10%で増える1.1×1.1=1.21とは一致しない。
- 対象
- 二つの正の倍率の幾何平均を示す架空計算。
- 条件
- 等しい長さの二期。初期額に1.3、次に0.9を掛け、費用や入出金はない。
- 例外・限界
- この二期の幾何平均成長率は√1.17−1で約8.17%。実際の金融商品やGDPの過去・将来の成長率を表す数値ではない。
gmean — SciPy Manual(SciPy community)https://docs.scipy.org/doc/scipy/reference/generated/scipy.stats.gmean.html
ゼロや負の倍率を同じ式へ入れない
幾何平均を対数の平均で計算する形は、正の倍率に限る。−100%で倍率が0になる場合や、それより小さく倍率が負になる場合を、同じ実数対数の式へ入れることはできない。
- 対象
- 実数対数による正の成長倍率の平均。
- 条件
- 正の倍率では幾何平均=exp(対数の平均)となる。率が負かどうかでなく、1+率が正かを確認する。
- 例外・限界
- 倍率0の積を0と置く計算と、対数式が定義されることは別。残高0の次期成長率は通常の前期残高で割る比でも定義できない。
gmean — SciPy Manual(SciPy community)https://docs.scipy.org/doc/scipy/reference/generated/scipy.stats.gmean.html
College Algebra 2e, 6.4 Graphs of Logarithmic Functions(OpenStax/Jay Abramsonほか)https://openstax.org/books/college-algebra-2e/pages/6-4-graphs-of-logarithmic-functions