経済の基礎
失業率が同じでも、仕事を失う人と見つける人は違う?
失業率が同じでも、その間に仕事を失った人と就職した人の数は違いえます。時点の人数と、その間の移動を分けると、失業が増えた理由も読みやすくなります。単純な二状態の模型では、失職と就職の二つの率で定常失業を考えます。
基本の用語
ストックはある時点の残高、フローは期間中の出入りです。失業者の分類を確認した上で、どちらの数字を比べているかを分けます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 求人があるのに失業が残るのはなぜ?求人の総数と、仕事が合うことを分ける。
- 働いていない人は全員、失業者に数えられる?完全失業者には活動と就業可能性の条件がある。
失業者の人数は、その時点の残高
失業者の数は時点のストックであり、次の時点へは失業への流入を足し、失業からの流出を引いて変化する。
失業者が100人いるという数字だけでは、その前に何人が失業し、何人が就職したかは分かりません。人数の変化を説明するには、期間の初めの100人へ新しい失業者を足し、そこから就職した人を引きます。
ここでは働く人と仕事を探す人の総数を固定し、就業と失業の二状態だけを考えます。進学や引退による労働力の出入りを含む統計へ適用するなら、それらの別の移動も必要です。単純な足し引きの範囲を明示します。
同じ人数でも、出入りは違う
失業への流入と就業への流出が同じなら失業者のストックは変わらないが、その間に仕事を失った人と就職した人の人数はゼロとは限らない。
ある地域で流入20人、流出20人なら、失業者100人は変わりません。別の地域で流入2人、流出2人でも100人のままです。同じ残高でも、仕事を失う経験をした人数や、仕事へ戻った人数は大きく違います。
二つの時点で同じ人数だったことは、同じ人が全期間ずっと失業していたという意味ではありません。反対に移動が多いことだけから、全員が短期間で仕事へ戻れたともいえません。個人の経路は集計の出入りだけでは決まりません。
二つの率で、定常失業を考える
二状態連続時間模型では失業率uの変化はs(1−u)−fuであり、流入と流出がつり合う定常失業率はs/(s+f)となる。
就業者の割合が1−uなので、失業へ入る流れはs(1−u)です。失業者の割合がuなので、仕事へ戻る流れはfuです。二つが等しくなる状態を定常と呼び、方程式を解くとu=s/(s+f)になります。
例えば連続時間で一定の率s=0.02、f=0.18なら定常失業率は0.1です。sとfをともに半分にしても0.01/(0.01+0.09)=0.1です。同じ定常率でも移動の速さは違います。数値は観測統計ではなく模型の設定です。
率の分母を合わせて読む
失職率sの分母は就業者、就職率fの分母は失業者であり、同じ人数の移動でも二つの率は異なる。
失職した20人を就業者900人で割るのと、就職した20人を失業者100人で割るのでは分母が違います。移動人数が等しくても、率は約2.22%と20%です。この短期間の実人数計算を、連続時間の率へ自動的に置き換えません。
またfは失業者が仕事を見つける率です。企業の求人が何件増えたかをそのまま入れる値ではありません。失業率が上がったニュースを読むときは、流入増か流出減か、分母と期間は何かを確かめ、定常式を当月の値へ機械的に当てはめないようにします。
先に時点の人数を置き、期間中の流入と流出を書き、その後に変化を計算します。この順序なら、残高が一定という情報から、出入り自体が止まっていたと誤解せずに済みます。
条件を置いた具体例
架空の例
労働力1000人、就業900人、失業100人から始まる短期間を考えます。20人が仕事を失い、20人が就職すると、失業者は100+20−20=100人のままです。
失職人数を初めの就業者で割ると20/900、就職人数を初めの失業者で割ると20/100です。流入と流出の人数の一致と、二つの率の一致は別です。期間内の細かな往復や非労働力への移動は省いています。
持ち帰る見方
- 失業率が同じでも、その間に仕事を失った人と就職した人の数は違いえます。
- 失職率sの分母は就業者、就職率fの分母は失業者であり、同じ人数の移動でも二つの率は異なる。
次に広がる疑問
- 求人があるのに失業が残るのはなぜ?
- 給料は、働く量だけで決まる?
出典
Lectures11–13: Search, Matching and Unemployment, MIT14.661 (2017)(MIT OpenCourseWare / Daron Acemoglu)https://ocw.mit.edu/courses/14-661-labor-economics-i-fall-2017/e1fd925bb0b2ab9452147baee5c1b0b5_MIT14_661F17_lec11_13.pdf
確認日:2026-10-05
本文の出典・補足
失業者の人数は、その時点の残高
失業者の数は時点のストックであり、次の時点へは失業への流入を足し、失業からの流出を引いて変化する。
- 対象
- 労働力一定の就業/失業二状態連続時間フロー模型。
- 条件
- 労働力を1とし、就業者の失職率s、失業者の就職率fを一定とする。実人数の架空例は短期間の流入/流出差のみ。
- 例外・限界
- 就職率は新しく作られた求人の率と同一ではない。非労働力との移動、人口変化、雇用間移動は単純模型へ含めない。定常式を任意の当月の観測率へ自動適用しない。
Lectures11–13: Search, Matching and Unemployment, MIT14.661 (2017)(MIT OpenCourseWare / Daron Acemoglu)https://ocw.mit.edu/courses/14-661-labor-economics-i-fall-2017/e1fd925bb0b2ab9452147baee5c1b0b5_MIT14_661F17_lec11_13.pdf
同じ人数でも、出入りは違う
失業への流入と就業への流出が同じなら失業者のストックは変わらないが、その間に仕事を失った人と就職した人の人数はゼロとは限らない。
- 対象
- 労働力一定の就業/失業二状態連続時間フロー模型。
- 条件
- 労働力を1とし、就業者の失職率s、失業者の就職率fを一定とする。実人数の架空例は短期間の流入/流出差のみ。
- 例外・限界
- 就職率は新しく作られた求人の率と同一ではない。非労働力との移動、人口変化、雇用間移動は単純模型へ含めない。定常式を任意の当月の観測率へ自動適用しない。
Lectures11–13: Search, Matching and Unemployment, MIT14.661 (2017)(MIT OpenCourseWare / Daron Acemoglu)https://ocw.mit.edu/courses/14-661-labor-economics-i-fall-2017/e1fd925bb0b2ab9452147baee5c1b0b5_MIT14_661F17_lec11_13.pdf
二つの率で、定常失業を考える
二状態連続時間模型では失業率uの変化はs(1−u)−fuであり、流入と流出がつり合う定常失業率はs/(s+f)となる。
- 対象
- 労働力一定の就業/失業二状態連続時間フロー模型。
- 条件
- 労働力を1とし、就業者の失職率s、失業者の就職率fを一定とする。実人数の架空例は短期間の流入/流出差のみ。
- 例外・限界
- 就職率は新しく作られた求人の率と同一ではない。非労働力との移動、人口変化、雇用間移動は単純模型へ含めない。定常式を任意の当月の観測率へ自動適用しない。
Lectures11–13: Search, Matching and Unemployment, MIT14.661 (2017)(MIT OpenCourseWare / Daron Acemoglu)https://ocw.mit.edu/courses/14-661-labor-economics-i-fall-2017/e1fd925bb0b2ab9452147baee5c1b0b5_MIT14_661F17_lec11_13.pdf
率の分母を合わせて読む
失職率sの分母は就業者、就職率fの分母は失業者であり、同じ人数の移動でも二つの率は異なる。
- 対象
- 労働力一定の就業/失業二状態連続時間フロー模型。
- 条件
- 労働力を1とし、就業者の失職率s、失業者の就職率fを一定とする。実人数の架空例は短期間の流入/流出差のみ。
- 例外・限界
- 就職率は新しく作られた求人の率と同一ではない。非労働力との移動、人口変化、雇用間移動は単純模型へ含めない。定常式を任意の当月の観測率へ自動適用しない。
Lectures11–13: Search, Matching and Unemployment, MIT14.661 (2017)(MIT OpenCourseWare / Daron Acemoglu)https://ocw.mit.edu/courses/14-661-labor-economics-i-fall-2017/e1fd925bb0b2ab9452147baee5c1b0b5_MIT14_661F17_lec11_13.pdf