政治の仕組み

民事裁判は、希望すれば全部オンラインで参加できる?

民事の口頭弁論は、裁判所が相当と認め、当事者の意見を聴いたうえで、映像と音声の通話方法を使える制度があります。希望だけで全手続がオンラインになるわけではありません。口頭弁論、審尋、証人尋問では条件と方式が異なります。

基本の用語

遠隔参加は、法に定められた方法で裁判の期日に関与することです。訴えの提出を電子化することや、一般の人が裁判を配信で見ることとは別の問いとして扱います。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

口頭弁論は裁判所が相当性を判断する

民事訴訟法87条の2は、裁判所が相当と認めるとき、当事者の意見を聴いて、所定の映像・音声で互いの状態を認識できる通話方法により口頭弁論期日の手続を行えるとします。判断する主体は裁判所です。

当事者が希望したことと、裁判所がその方法で行うとしたことは別です。また、条文が求める意見を聴くことを、すべての当事者の希望どおりに決めることへ読み替えません。どの期日について、どの参加方法が定められたかを確認します。

「裁判のオンライン化」という説明でも、書面の提出、期日への参加、証拠を調べる方法は同じものではありません。ここでの規定は口頭弁論期日の手続です。画面で話せる制度があることから、書類や証拠の扱いまで一括して決めないようにします。

方式に沿った参加は出頭とみなされる

同条は審尋の期日についても、裁判所が相当と認め、当事者の意見を聴いたうえで、所定の音声の送受信による同時通話方法を使えると定めます。口頭弁論での映像と音声による方法と、審尋での音声による方法を、同じ条件の一つの名称にまとめません。

これらの方法で手続へ関与した当事者は、裁判所に現地出頭していなくても、その期日に出頭したものとみなされます。法定の方式に沿った関与をどう扱うかという規定です。単に欠席して私的な電話をしたこととは違います。

期日の案内を読む際は、期日の種類、指定された方法、本人がどのように関与するかをそろえます。別の事件で音声参加が使われたから、今回の口頭弁論にも同じ方法が当然に使えるとは判断できません。方式を具体的に確認して準備します。

証人尋問には別の条件がある

証人の尋問には204条の別の条件があります。住所、年齢、心身の状態等による出頭困難、同席の場で話すことによる心理的な圧迫等、又は当事者に異議がない場合に、裁判所が相当と認めて所定の映像と音声の方法を使えます。

証人の条件は、当事者が口頭弁論へ関与する場合の条件と同一ではありません。誰が遠隔で参加するのか、どんな手続かを先に分けると、出頭困難の説明と当事者の意見の扱いを取り違えずに読めます。

遠隔の方法が認められても、証言の内容が真実と確定したことや、事件全体がその場で決着したことにはなりません。参加方式、証拠の内容、最終の判決は別です。便利かどうかの評価と、法が定める参加の条件も区別して考えます。

遠隔方式を確認する単位
  • 口頭弁論

    裁判所の相当性・当事者の意見・映像と音声

  • 審尋

    所定の音声による同時通話の規定

  • 証人尋問

    出頭困難等又は異議なし・相当性判断

誰のどの期日かを確かめてから、方式と効果を読みます。

架空の遠隔口頭弁論と証人尋問

遠方の当事者Dについて、裁判所が映像と音声の方法で口頭弁論を行うことにしたとします。Dが指定された方式で期日に関与した場合、現地にいないことだけを理由に欠席だったとは扱いません。

同じ事件で証人Eの遠隔尋問を希望する場合は、204条の事情と裁判所の相当性判断を別に確認します。Dの参加が認められたという事実だけでEの方法も自動的に決まるわけではありません。また、この例は法廷の一般向け動画配信を意味しません。

持ち帰る見方

  • オンライン希望と裁判所が定めた参加方法を分ける。
  • 当事者の口頭弁論と証人尋問の条件を混同しない。

次に広がる疑問

  • 民事裁判で「言った・言わない」はどう確かめる?
  • 民事裁判の証人は、質問に必ず全部答えなければならない?

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出典

  • 民事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/408AC0000000109

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

口頭弁論は裁判所が相当性を判断する

裁判所は相当と認め、当事者の意見を聴いて、所定の映像と音声で相互に状態を認識できる通話方法により口頭弁論期日の手続を行える。

対象
日本のウェブ口頭弁論・証人尋問の裁判所判断と条件。2026年10月7日現在。
条件
民事訴訟法87条の2第1項。
例外・限界
当事者が希望すれば当然に遠隔方式が決まる制度ではない。
  • 民事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/408AC0000000109

方式に沿った参加は出頭とみなされる

審尋には所定の音声による同時通話方式の規定があり、口頭弁論又は審尋の期日に現地へ出頭せずその手続へ関与した当事者は出頭したものとみなす。

対象
日本のウェブ口頭弁論・証人尋問の裁判所判断と条件。2026年10月7日現在。
条件
87条の2第2・3項。
例外・限界
単に欠席して私的に電話することを法定参加と同一にしない。
  • 民事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/408AC0000000109

証人尋問には別の条件がある

映像と音声による証人尋問は、出頭困難、同席場所での陳述による心理的圧迫等、又は当事者に異議がない場合に、裁判所が相当と認めて行える。

対象
日本のウェブ口頭弁論・証人尋問の裁判所判断と条件。2026年10月7日現在。
条件
204条。
例外・限界
口頭弁論参加の条件を証人尋問へそのまま移さない。
  • 民事訴訟法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/408AC0000000109